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日本人選手のデータをチェック!! WSLの24/25シーズンの(ほぼ)前半戦の総括3 :: WSL Watch #139

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各チームの選手の出場時間とかスタッツをチェックしてみた"WSL Watch #135"と"WSL Watch #137"に続いて、せっかくだから今回は日本人選手のデータを並べてチェックしてみる感じで。データとかスタッツは主にFBref.comとかFOTMOBを参考にしつつ。


基本的には"WSL Watch 002"で「個人的には日本人選手だけに特に注目して観てるって感じじゃないんだけど、多くの選手がプレイしてるんで、せっかく日本語でWSLについて書いてるんだし、タイミングを見てちょっと触れていこうとは思ってる」って書いた通りのスタンスなんだけど、たまにはこういう記事もいいかな、と。

8チームで活躍する日本人選手12人の出場時間をチェック

"WSL Watch #108"の「WSLウォッチ・ガイド24/25」で書いた通り、今シーズンのWSLでは8チームで計12人の日本人選手がプレイしてるっていう事態になってて、それはそれでシンプルにすごいことだなって思いつつ、贔屓目抜きにかなり活躍してて、今シーズンのWSLを語る上で欠かすことができない存在感を放ってるって言っていいんじゃないかな。

で、12人の日本人選手のここまでの出場時間が長い順に並べると以下の通りになる。フルタイム出場はウェスト・ハム・ユナイテッドの植木理子だけで、オリンピックでのケガで長期離脱中の清水梨沙は出場してない。

  1. 植木理子(ウェスト・ハム・ユナイテッド)- 900分(10試合フルタイム出場)

  2. 長谷川唯(マンチェスター・シティ)- 883分(10試合スタメン出場)

  3. 林穂乃香(エヴァートン)- 825分(10試合出場 / 9試合スタメン)

  4. 長野風花(リヴァプール)- 760分(9試合スタメン出場)

  5. 籾木結花(レスター・シティ)- 749分(10試合出場 / 8試合スタメン)

  6. 藤野あおば(マンチェスター・シティ)- 625分(10試合出場 / 7試合スタメン)

  7. 清家貴子(ブライトン&ホーヴ・アルビオン)- 592分(9試合出場 / 6試合スタメン)

  8. 山下杏也加(マンチェスター・シティ)- 540分(6試合フルタイム出場)

  9. 宝田沙織(レスター・シティ)- 537分(10試合出場 / 6試合スタメン)

  10. 浜野まいか(チェルシー)- 423分(7試合出場 / 6試合スタメン)

  11. 宮澤ひなた(マンチェスター・ユナイテッド)- 282分(7試合出場 / 3試合スタメン)

  12. 清水梨沙(マンチェスター・シティ)- 0分(0試合出場)

"WSL Watch #135"と"WSL Watch #137"では全10試合=900分の半分の450分以上出場してる選手を'主力選手'、450分には達してないけど5試合以上出場してる選手を'準主力選手'って呼んだけど、その分類で考えると12人の中の9人が主力、2人が準主力に該当してて、ケガの清水梨沙以外で主力にも準主力にもなれてない選手はいないってことになる。

ポジションもチーム事情も違うから単純に比べるのは難しいけど、数字の部分も挙げとくと清家貴子が5ゴールでトップ、植木理子と林穂乃香が2ゴール、籾木結花と浜野まいかが1ゴール、浜野まいかと藤野あおばと植木理子がそれぞれ1アシスト、山下杏也加がクリーンシート2試合って感じ。

植木 理子(ウェスト・ハム・ユナイテッド / FW): 900分

▶︎ 10試合フルタイム出場
▶︎ 900分出場(チーム内1位タイ)
▶︎ 2得点 / 1アシスト

ウェスト・ハム・ユナイテッドに加入して2シーズン目になる植木理子は、完全にチームの中心的な選手、攻撃の部分で大きな役割を担う存在って言っていい活躍を見せてるんじゃないかな。

昨シーズンまでは5バックで撤退するような闘い方を選んでたけど、今シーズンのウェスト・ハム・ユナイテッドは保持時の低い位置からのビルドアップにも非保持時のハイプレスにも意欲的に取り組んでる印象で。植木理子はパワフルなプレイが持ち味のヴィヴィアン・アッセイ(Viviane Asseyi)と最前線の近い位置でプレイすることが多いんだけど、非保持では試合を通じて最前線から献身的なプレッシングでチームの守備を牽引しつつ、保持ではわりとビルドアップのリンクになるようなプレイも上手くこなしてる。もちろん、積極的にシュートも打ってるし、2得点・1アシストって数字だけを見ると少し物足りないのかもしれないけど、実はアシストの手前で上手く絡んでるシーンが目立ってて、貢献度は実際の数字以上って印象だったりする。

▶︎ 植木理子のワンタッチ・フリックで局面を打開して生まれた得点

サムネイルでわかるように大勝したクリスタル・パレス戦のゴール・シーンなんだけど、植木理子がアシストの前で関わってて、しかも、シンプルだけど絶妙な技アリのワンタッチ・フリックで局面を変えてる。個人的にはこういうプレイが得意な選手ってイメージはあまりなかったから、いい意味でちょっとビックリしたんだけど。

▶︎ ポジティブ・トランジション局面で植木理子のパスから生まれた得点

同じくクリスタル・パレス戦のゴール・シーンで、同じくアシストにはならなかったけどパスで局面を変えた植木理子のプレイ。ポジティブ・トランジションの局面なんだけど、相手に当たったこぼれ球に素早く反応して前を向いて、左足のワンタッチで浮き球の絶妙なパスをラインの裏に落としてる。上で挙げたプレイもそうだけど、「こんなことできるんだったっけ?」って感じの見事なプレイでかなり驚いちゃった。

▶︎ 植木理子の惜しいヘディング・シュートのシーン

これも同じくクリスタル・パレス戦からなんだけど、植木理子らしいシュートのシーン。クロスに対してボックス内の適切なポジションで待ってて、頭で合わせて枠に飛ばせてる。相手にブロックされちゃったけど、サイドから攻めてるときは常にボックス内の勝負できる場所にいる植木理子らしさが出たシーンなんじゃないかな。

▶︎ 植木理子のパスによる展開から生まれた得点

同じくクリスタル・パレス戦のゴール・シーンなんだけど、植木理子がちょっと低い位置まで下りてビルドアップに関わって、広いエリアにパスで展開したところからゴールが生まれてる。基本的にはヴィヴィアン・アッセイとの2トップみたいな起用が多いんだけど、ちょっと低い位置で組み立てに関わる役割も植木理子が担ってて、こういうプレイもけっこう上手い。

▶︎ 植木理子の惜しいミドル・シュートのシーン

同じくクリスタル・パレス戦の植木理子のミドル・シュートのシーン。わりとシンプルなプレイだけど、常にゴールを意識してプレイできてる感じがわかりやすく出てる。

▶︎ 植木理子のフリックで上手く前進したフィニッシュ・シーン

これはアストン・ヴィラ戦でのシュートのシーンで、ここでも植木理子がビルドアップに上手く関わってボールを前進させて、最終的にシュートまで繋げられてる。ライン間でのプレイもわりと上手いし、前への意識も強くて、ウェスト・ハム・ユナイテッドの攻撃の中で上手くアクセントになれてることがよくわかる。

▶︎ 植木理子のポスト・プレイからのフィニッシュ・シーン

同じくアストン・ヴィラ戦のシュートのシーンなんだけど、植木理子のポスト・プレイから生まれてる。FWに求められる典型的なポスト・プレイだと思うけど、対戦相手のサイズが大きいCBとマッチアップしても、身体を上手く使いながらこういうプレイもこなせてる。

ここで挙げた7シーンは全部直近の2試合、逆転勝ちした9節のクリスタル・パレス戦と負けたアストン・ヴィラ戦のハイライト映像からの抜粋なんだけど、2試合のハイライト映像からでもこれだけのチャンス・シーンがピックアップできるくらいチャンスに絡むプレイができてて。身体を張ってキープするみたいな泥臭いプレイを頑張れる印象は前からあったけど、「あれ? ビルドアップを助けるプレイもこんなに上手かったっけ?」って思うようなプレイも今シーズンはすごく目立ってる。もちろん、「2度追い3度追いは当たり前」「GKまでも当然のように追う」って感じのハイプレスでの非保持の貢献度の高さ、サイズでは上回れない相手にも空中戦を果敢に挑む勇敢さも相変わらずだし。出場時間の長さだけじゃなく、貢献度の高さでも12人の日本人選手の中でも屈指の働きを見せれてるんじゃないかな。

長谷川 唯(マンチェスター・シティ / MF): 883分

▶︎ 10試合スタメン出場
▶︎ 883分出場(チーム内2位)
▶︎ 0得点 / 0アシスト

何度も書いてる気がするけど、マンチェスター・シティのサッカーには欠かせない存在になってる長谷川唯は、今シーズンも継続的に質が高いプレイができてるって印象。"WSL Watch #135"でも書いた通り、「いかに長谷川唯の負担を減らすか」がマンチェスター・シティの大きなテーマだと思うんで、そういう意味ではフルタイム出場じゃないのはポジティブだとも言えるけど、逆に言うと、大勝した9節のレスター・シティ戦以外では長谷川唯を休ませられる展開にできなかったって言い方もできるのかな。

マンチェスター・シティでの長谷川唯のプレイに関しては、4-3-3のCMFってポジションとタスクの影響もあって、ハイライトとかでわかりやすく目立つような感じじゃない(実際に数字的にも得点もアシストもない)ことが多くて。基本的には円滑なビルドアップで相手陣内まで前進することと相手陣内で保持を安定させることが主なタスクなんだけど、実はセカンド・ボールの回収とかネガティブ・トランジションで相手の攻撃を遅らせたりボールを奪ったりするシーンものすごく多くて、役割的には完全に中盤で攻守の両面をコントロールするMFって感じだったりする。

▶︎ 長谷川唯のキープからのスルー・ボールから生まれた得点

最終的には長谷川唯のスルー・ボールがアシストの前のパスになってるんだけど、その前を見ると、まずは右サイドで裏を取った右SBのカースティン・カスパライ(Kerstin Yasmijn Casparij)のクロスでボールをボックス内に送り込めたんだけどクリアされて、そのセカンド・ボールを長谷川唯が回収したところからの2次攻撃でゴールが生まれてて。ゴール・シーンのクロスでカディジャ・ショウ(Khadija Shaw)のゴールをアシストしたのもカースティン・カスパライなんだけど、直前のシーンで裏抜けしてクロスを上げてたから当然オフサイド・ポジションにいて、そのカースティン・カスパライが戻ってポジションを取り直してもう1回裏に走る時間を長谷川唯がボールをキープしながら作ってて、絶妙なタイミングでスルー・ボールを出してて。長谷川唯のスルー・ボールの精度もカースティン・カスパライのクロスもカディジャ・ショウのヘディング・シュートも技術的にもちろん見事なんだけど、その前のシーンで当たり前のようにボールがこぼれてくる場所を予測してセカンド・ボールを拾って、'タメ'(漢字だと'溜め'なのかな?)なんて言い方をしたりするけど、ボールをキープして時間を作りながら相手選手の注意を引きつけつつ味方選手にポジションを取り直す時間と余裕を与えて、なおかつ、次のプレイの質も高くて、まさに長谷川唯の真骨頂って言えるようなシーンだったんじゃないかな、と。

▶︎ 長谷川唯のワンタッチで前進したところから生まれた得点

このシーンも同じレスター・シティ戦の得点のシーンなんだけど、長谷川唯の関わりで前の選手を上手く押し出したところから生まれてる。4-4-2の陣形で守るレスター・シティの非保持は基本的に前に立つ宝田沙織と籾木結花で長谷川唯を管理してて、マンチェスター・シティの左CBのアレックス・グリーンウッド(Alex Greenwood)からの縦パスを後ろ向きで受けたインサイドMFのジル・ロード(Jill Roord)が長谷川唯との短いワンツーで前を向いて、ジル・ロードからのパスを前に走りながら受けたジェス・パーク(Jess Park)が決めてるんだけど、ジル・ロードと長谷川唯がパス交換をしてるスペースはけっこう狭くて、でも、後ろ向きだったジル・ロードを正確なワンタッチで前向きにしてあげて、その瞬間にジェス・パーク以外の選手も含めてマンチェスター・シティの前の選手はゴール方向にアクションできてて。細かい部分だけど、やっぱり抜群に質が高いな、と。

▶︎ 長谷川唯のセカンド・ボールの回収から生まれた得点

もうひとつ、長谷川唯のセカンド・ボールの回収から生まれたゴール・シーンを同じレスター・シティ戦から。レスター・シティの自陣でのスローインから始まってるんだけど、ハイプレスからメアリー・ファウラー(Mary Fowler)が相手のパスをインターセプトしてショート・カウンター発動、そのままカディジャ・ショウに渡してシュートを打ったけどGKがストップ、レスター・シティが何とかクリアしたボールを長谷川唯が回収したところから2時攻撃が始まってて、アレックス・グリーンウッドとのパス交換でペースを落としてチームが陣形を整え直す時間を作って、左タッチライン際で寄せてきた籾木結花をドリブルでちょっと外して藤野あおばにパスして、さらに藤野あおばがオーバーラップしたレイラ・ウアハビ(Leila Ouahabi)を使って、レイラ・ウアハビのクロスのこぼれ球を最終的にメアリー・ファウラーがボレーで叩き込んだんだけど、やっぱり局面を変えてるのは長谷川唯がセカンド・ボールを回収したところからだったりして。

▶︎ ハイプレスからボールを奪った長谷川唯のシュート・シーン

このシーンはトッテナム・ホットスパーでの長谷川唯のシュート・シーンで、チーム全体でハイプレスで相手に圧をかけて、長谷川唯のところで見事にボールを奪って、そのまま枠内チュートまで繋がってる。こういうシーンはそれほど多くないんだけど、このくらいのエリアから長谷川唯がシュートを打てるようなシーンをもうちょっと増やせると、マンチェスター・シティはもっと良くなりそうかな。

レスター・シティ戦は内容的にも圧倒して、それこそ長谷川唯を74分に交代させて休ませる余裕があったような試合だったんだけど、それでも約4分半のハイライト映像を見るだけでこれくらいピックアップできるようなシーンがあって、選ばなかったけどボックス外からのミドル・シュートなんかもあったりして。もちろん、この試合はチームとして特に出来が良かった感はあったけど、程度の差こそあれ、基本的に長谷川唯はこれくらいの水準のプレイを毎試合できてるんで、やっぱり別格の存在感を放ってるって言っていいんじゃないかな。正直なところ、怖いのはケガだけっつうか、代表も含めて長期間にわたってかなりの負担がかかっててもおかしくないと思うから、プレイ時間(=負担)のコントロールとコンディションの維持だけかな、長谷川唯の不安材料は。

最後に長谷川唯のインタビュー記事が『スポルティーバ』に載ってたんで備忘として。今シーズンのマンチェスター・シティの現状をわりといろいろ話してて興味深いんで。あと、12月に行われた9節のレスター・シティ戦のタイミングで現地で取材したらしくて、籾木結花のコメントも紹介されてる。

林 穂乃香(エヴァートン / MF): 825分

▶︎ 10試合出場(スタメン9試合)
▶︎ 825分出場(チーム内5位)
▶︎ 2得点 / 0アシスト

2シーズン在籍したウェスト・ハム・ユナイテッドを離れて今シーズンからエヴァートンでプレイしてる林穂乃香は、ケガ人が続出してるエヴァートンの中盤で欠かせない存在になってるって言っていいはず。出場時間はチーム内5位って数字だし。

ウェスト・ハム・ユナイテッド時代はCMF、もっと言えば守備的MFってイメージに近い感じで、豊富な運動量で中盤を広範囲にカバーするのがタスクって感じだったけど、今シーズンのエヴァートンではもうちょっと高い位置、CMFとインサイドMF、6番と8番の間みたいな役割を担ってる印象で、チームのプレイモデルの違いはもちろんあるだろうけど、非保持でのハイプレスのファースト・ディフェンスなんかも含めて昨シーズン以上に高い位置でもプレイしてる印象かな。ここまで2得点でチーム内得点王だし。

▶︎ マンチェスター・シティ戦での林穂乃香の得点

マンチェスター・シティ戦での林穂乃香の今シーズン2点目のゴールのシーン。基本的にはハーフウェイ・ライン辺りでのボール奪取からの典型的なカウンターで、林穂乃香自身はボール奪取には関わってないんだけど、ものすごい勢いで逆サイドからスプリントでボックスに向かって走って、ペナルティ・アーク辺りでパスを受けてボックスに踏み込んで自ら決めてる。ボールを受けてからシュートまでの一連の動きももちろん上手かったんだけど、それ以前にポジティブ・トランジションになった瞬間に迷わずボックスに向かってスプリントしてるのがいかにも今シーズンの林穂乃香って感じ。

▶︎ リヴァプール戦での林穂乃香のPK獲得のシーン

リヴァプールとのマージーサイド・ダービーでは決勝点につながるPKを林穂乃香が長野風花に倒されて得てるんだけど、実はリプレイで確認すると接触はボックス外で、でも、VARは導入されてないから判定はもちろん覆らなくて、リヴァプール(と長野風花)はちょっとアンラッキーだったんだけど、思い切りよく攻撃に参加してボールを受けてから自ら仕掛けてボックスに踏み込んだことがPKにつながってるんで、林穂乃香の関わり方としては素晴らしかったんじゃないかな、と。

▶︎ 林穂乃香のボール奪取とシュートのシーン

レスター・シティ戦での林穂乃香のシュートのシーンで、まず、その前にセカンド・ボール争いに関わってて、最終的にボックスまで踏み込んてシュートを打ててる。

▶︎ 林穂乃香の守備でボールを奪ってカウンターを打てたシーン

ウェスト・ハム・ユナイテッドとの古巣対戦のこのボール奪取なんだけど、昨シーズンも頻繁にあった林穂乃香らしい守備が上手くカウンターからのシュートにつながったシーンなんじゃないかな。

▶︎ ハイプレスから林穂乃香のシュートを打ったシーン

これはクリスタル・パレス戦で林穂乃香のシュートのデフレクションがクロスバーを直撃したシーンなんだけど、この場面はチームとして取り組んでるハイプレスからのボール奪取が起点で、ボールを奪う局面では林穂乃香を含めてエヴァートンの選手が6人画面に入ってたりして、チームとしての狙いもよく分かるシーンだったりする。

▶︎ インサイドMF的に振る舞う林穂乃香の今シーズン初得点のシーン

同じくクリスタル・パレス戦から、インサイドMF的な林穂乃香の振る舞いから生まれた得点シーン。ボックス近くの右ハーフ・スペースでボールを引き出して、WGに展開してボックスに侵入して、クロスをヘディング・シュートで決めたんだけど、攻撃への関わり方はなかなか絶妙だったんじゃないかな。

"WSL Watch #078"でも書いた通り、昨シーズンまでのウェスト・ハム・ユナイテッドでの2シーズンで一定以上のレベルでやれる選手だってことは証明してたから、今シーズンの林穂乃香のエヴァートンでのプレイは別に'驚き'とか'予想外'とかではないと思うけど、それでも、攻撃への積極的な関与の部分も含めて'期待通り'と'期待以上'の間くらいの活躍は見せてるって言えるんじゃないかな。

長野 風花(リヴァプール / MF): 760分

▶︎ 9試合スタメン出場
▶︎ 760分出場(チーム内4位)
▶︎ 0得点 / 0アシスト

22/23シーズンの1月の移籍マーケットでリヴァプールに加入してすぐに主力選手として活躍して、23/24シーズンもリーグ戦21試合に出場した長野風花は今シーズンも引き続きリヴァプールの中盤には欠かせない戦力になってるかな。出場時間はチーム内で4位の長さだし。

今シーズンの起用法に関してはエヴァートンの林穂乃香とちょっと似たところがあるっていうか、基本的にはCMFなんだけどいわゆる6番と8番の間って感じの役割を担ってる感じで、基本的には3-5-2で闘ってる試合が多いと思うんだけど、中盤の3人の並びと役割がわりとフレキシブルで、誰が守備的で誰が攻撃的って分かれてる感じがないように見えることが多い印象だったりする。非保持でのハイプレスでもけっこう前に出てるシーンもあるし。

▶︎ ハイプレスでボールを奪った長野風花がシュートを打ったシーン

今シーズンのリヴァプールは昨シーズンよりもハイプレスに取り組んでる印象で、上に貼ったマンチェスター・ユナイテッド戦の長野風花のボール奪取からのシュートのシーンでも、高い位置にリヴァプールの選手が7人いたりして、なかなかアグレッシブな感じ。決めるのは難しい距離と角度だけど、長野風花のシュートも思い切りが良かったし、けっこう惜しいコースと軌道だったし、積極的でいいプレイだったかな、と。

▶︎ 長野風花のスルーボールから生まれたチャンスのシーン

同じくマンチェスター・ユナイテッド戦から、長野風花のオン・ザ・ボールのクオリティが発揮されたリヴァプールの攻撃のシーン。センター・サークル付近でパスを受けるときに相手選手に触られない場所にボールを置いて、セカンド・タッチでスルーボールを出せてるのはさすがだな、と。最終的にはシュートには至ってないけど、相手の守備陣を背走させてギリギリの対応を迫る惜しいチャンスを作り出せてる。

▶︎ 長野風花のワンタッチ・パスから生まれたシュートのシーン

これはアストン・ヴィラ戦で見せた長野風花のビルドアップへの関与なんだけど、短いパス交換で相手のプレスを回避してて、前に走りながらパスを受けるときにボール・ホルダーに明確にボールが欲しい場所を身振りで示してて、そこで受けてワンタッチのパスでチームメイトを押し出して相手のプレスを置き去りにしてて。シンプルだけどすごく長野風花らしい質が高いプレイって言っていいはず。

▶︎ 長野風花の惜しいシュートのシーン

上で今シーズンの長野風花のタスクを「6番と8番の間って感じの役割を担ってる感じ」って書いたけど、そういう側面がわかりやすく出てるのがマージーサイド・ダービーでの惜しいシュート・シーンだったんじゃないかな。右サイドで上手くプレスを回避して前進できてるんだけど、スプリントでボックスに向かって走った長野風花がボックス内で2回シュートを打ってる。できれば決めたかったけど、ここまで踏み込めてること自体は素晴らしいし、今シーズンの試合で長野風花が最もゴールに近づいたって言えるかな、このシーンは。

ポジションとタスク的に、わかりやすくゴールとかアシストとかの数字に活躍が現れるわけじゃないけど、今シーズンも引き続き長野風花はリヴァプールの中盤には欠かせない存在になってるかな。

最後にウィンター・ブレイク期間の帰国時に行われた『サッカー・キング』に載ってた長野風花のインタビュー記事を。スポンサー関連のイベントでのモノっぽいけど。

さらに『スポルティーバ』にもインタビュー記事が。これはマージーサイドのタイミングでの現地取材から。

籾木 結花(レスター・シティ / FW): 749分

▶︎ 10試合出場(スタメン8試合)
▶︎ 749分出場(チーム内3位)
▶︎ 1得点 / 0アシスト

昨シーズンの1月の移籍マーケットでレスター・シティに加入して、即戦力として活躍した籾木結花は、アマンディン・ミケル(Amandine Miquel)新監督を迎えた今シーズンのレスター・シティでも引き続き主力選手として毎試合抜群の存在感を見せてる。"WSL Watch #133"と"WSL Watch #137"でも触れてる通り、チーム自体はけっこう苦しい感じだけど。

今シーズンのレスター・シティはケガ人の影響もあってフォーメーションとか選手起用があまり固まってない感じなんだけど、基本的には並びは4-2-3-1か4-3-3で、籾木結花は4-2-3-1なら2列目の3の中央、4-3-3ならインサイドMFで起用されてる、基本的には外のレーンよりもなるべく中のレーンでプレイすることが求められてるように見えるかな。個人的には攻守にアグレッシブにプレイしながら、左足のキックの上手さも上手く活かして毎試合何回か攻撃の部分で違いを生み出すプレイができる選手ってイメージ。ケガでユッタ・ランタラ(Jutta Rantala)を欠いてる状況だと、チームの攻撃に欠かすことができないキー・プレイヤーって言っていいんじゃないかな。

▶︎ 高いスキルが光るエヴァートン戦での籾木結花の得点シーン

今シーズンの唯一のゴールのシーンなんだけど、上手く相手のMFとDFのライン間に潜り込んでパスを受けて、ボックス内で相手の股を抜いてスライディングしながら見事にゴールにボールを流し込んでて、籾木結花のプレイの特徴と積極的にゴールに向かう姿勢が表れたシーンって言えるんじゃないかな。

▶︎ 籾木結花のボール奪取からカウンターが打てたシーン

同じくレスター・シティ戦でのプレイで、籾木結花が林穂乃香からボールを奪ったところからカウンターを打ってフィニッシュまでいけたシーン。実は非保持での貢献度も高くて、実はこのハイライトのこのシーンの直後のシーンでもパスをカットしてるんだけど、他の試合でもちょいちょいこういうボール奪取とかブロックとかも見せてる。

▶︎ こぼれ球を拾った籾木結花のパスがゴールの起点になったシーン

これはチェルシーの全勝を止めた値千金のゴールの起点になったシーンなんだけど、このシーンでは得意の左足じゃなく右足で、中盤でこぼれ球を拾って、ドリブルで時間を作りながらスルーボールで前線の選手を上手く押し出して、結果的に得点につながってる。

▶︎ 狭いスペースでもプレイができる籾木結花の特徴が出たシーン

これはマンチェスター・ユナイテッド戦でのシュートで、ゴールにはならなかったけど、狭いスペースでもボールを受けて前を向いてゴールに向かえる籾木結花らしさが出てるシーンかな、と。

▶︎ 籾木結花の左足のパスから生まれたシュート・シーン

同じくマンチェスター・ユナイテッド戦から、中盤のデュエルから奪ったボールを受けた籾木結花が左足のパスで見事に展開してフィニッシュまで繋がったシーン。アシスト未遂って言えばアシスト未遂っていうか、一瞬の判断でチームメイトを見つけられて、そこまでボールを届けられる籾木結花らしさが出た惜しいチャンスだったかな。

▶︎ 籾木結花の左足のパスで大きく展開したところから生まれたシュート

これはウェスト・ハム・ユナイテッド戦から、籾木結花ほ左足の中長距離のパスの上手さが見れるシーン。上手く身体を使いながらボールをキープして、精度が高い中長距離のパスで密集を抜け出す展開を作れるのも籾木結花ならではって感じ。

▶︎ 籾木結花が上手くビルドアップに関わってシュートまで繋がったシーン

ビルドアップに上手く関わりながらチームの前進を助けるのも籾木結花が果たしてる大きな役割のひとつで、アストン・ヴィラ戦のこのシーンなんかは典型例って言えそう。1回相手に引っかかってるけど、低い位置から3回ビルドアップに関わって、3回目のパスではボックス内へのスルーボールでシュートまで繋げてて。

▶︎ 籾木結花の左足のキックの大きな展開から生まれた得点シーン

これはリヴァプール戦での自陣でのFKのクイック・リスタートのボールを受けて、籾木結花の左足の展開力を活かしてゴールを奪ったシーン。相手のDFにちょっと触られちゃったからアシストにはなってないけど、クリアしにくいボールをチームメイトまで届けた長距離のキックの上手さが光ったシーンなんじゃないかな。

ハイライト映像を何試合かチェックしただけでもこれくらいのシーンがピックアップできるくらい籾木結花は今シーズンもレスター・シティで確かな存在感を放ってるし、ケガなくシーズンを過ごせればシーズンの後半戦も引き続き重要な役割を果たしてくれそう。

藤野 あおば(マンチェスター・シティ / FW): 625分

▶︎ 10試合出場(スタメン7試合)
▶︎ 625分出場(チーム内8位)
▶︎ 0得点 / 1アシスト

ここまでに挙げた5選手に関しては、ある程度以上の活躍は想定内っていうか、アクシデントがなければこのくらいは期待されてたって言えると思うけど、マンチェスター・シティの藤野あおばのプレイは個人的にはちょっと予想以上だったかな。

得点とアシストの数字はちょっと物足りないかもしれないけど、それでも全10試合に出場してて、7試合がスタメンで、トータルで625分プレイしてること自体は十分立派だし、マンチェスター・シティってチームの選手層を考えても、「特に加入直後のシーズン序盤は、出番を得るのにちょっと苦労してもおかしくないかも?」とか思ってたんで。起用法としては、基本的には4-3-3のWGで、時間を比較したりはしてないけど右でも左でも起用されてる感じかな。

▶︎ 藤野あおばの仕掛けから生まれたチャンスのシーン

トッテナム・ホットスパー戦でのチャンス・シーンで、右WGに入ってる藤野あおばが上手く裏抜けしながらボールを受けて、自らボックスに侵入して複数の選択肢の中からファーを選んで浮き球のパスを届けてる。セカンド・チャンスからシュートは入ったもののクロスが戻ってきたところでオフサイド・ポジションでボールに触っちゃったからゴールは取り消されたんだけど、攻撃のカタチとしては狙い通りだし、ファーへのパスの精度も高かったし、'アシスト未遂'って言っていいシーンだったんじゃないかな。

▶︎ 藤野あおばの精度が高いクロスから生まれたシュート・シーン

ここまでのリーグ戦で生まれた藤野あおばの唯一のアシストはクリスタル・パレス戦でのモノなんだけど、実はジェス・パーク(Jess Park)にボールを渡したら独力でものすごいゴラッソを叩き込んでくれちゃった感じのゴールで、いわゆるアシストって感じではなかったかな。ただ、同じ試合で'アシスト未遂'って言っていいシーンはあって、右サイドからの右足のクロスでフリーの状態で待ってるCFWのカディジャ・ショウの頭にピッタリ合わせてて、これは決まってても全然おかしくない見事なクロスだったな、と。

▶︎ 藤野あおばの見事なクロスから生まれた決定機

同じくクリスタル・パレス戦からもうひとつ、'アシスト未遂'のシーンを。すごくシンプルなWGらしいプレイだと思うんだけど、クロスの精度が見事で、決まってても全然おかしくない感じで。細かいことを言うと、サイドでフリーになってるんだけど、あくまでもボックスの幅の中でボールを受けれてるのがポイントなのかな。ボックスの幅より外だとどうしてもクロスの精度は落ちると思うんで。

▶︎ ハイプレスからボールを奪って藤野あおばがボックスに侵入したシーン

マンチェスター・シティで前線の選手が求められてるハイプレスを精力的にやれてるのも藤野あおばが使われてる理由なんだと思うけど、クリスタル・パレス戦でのこのシーンも藤野あおばのハイプレスからボールを奪ってショート・カウンターを打ててる。最終的に藤野あおばがパスを受けてボックスに侵入したけどシュートを打てなかったんだけど。利き足の右足でシュートを打とうとしたのかな? 個人的には、このシーンに限らず左足をあまり使わないところがちょっと課題な気がしてて。特に幅を取った状態でボールを受けたときに、右サイドなら縦、左サイドならカットインって選択に偏ってるように見えるところがちょっと気になるかな。もちろん、利き足でのプレイが優先でいいんだけど、もうちょっと他の選択肢も見せれるようになると利き足でのプレイもより脅威になると思うんで。

▶︎ 逆サイドからのクロスを藤野あおばが決めたUWCLでの得点シーン

リーグ戦では点が取れてない藤野あおばだけど、UEFAウィメンズ・チャンピオンズリーグのグループ・ステージの試合では全6試合に出場して(5試合スタメン)2得点・3アシストって数字を残してる。このシーンはSKNザンクト・ペルテン戦でのゴールで、逆サイドからのクロスに対してファーからボックス内に入ってちゃんと待ててて、バックステップで相手DFから上手く離れながら見事に右足でワンタッチで決めてる。

▶︎ クロスを藤野あおばが頭で決めたUWCLでの得点シーン

UWCLのハンマルビー戦でのゴールも同じように逆サイドからのクロスにファーで合わせたワンタッチ・ゴールなんだけど、わりと珍しいヘディング・シュートでの得点。左サイドにボールがあるときにちゃんと適切なポジションで待ってて、絶妙なタイミングで相手選手の前に入って上手く頭で合わせてる。

▶︎ 藤野あおばのグラウンダーのクロスから生まれたUWCLでの得点シーン

UWCLのSKNザンクト・ペルテン戦での藤野あおばのアシスト・シーンで、右サイドで仕掛けてからグラウンダーのクロスを相手のDFとGKの間に送り込んで、最終的にファーで待ってたリリー・マーフィ(Lily Murphy)が押し込むだけのシュートを決めてる。相手の守備対応にも問題がある(最初のDFが見送ってる)ように見えるけど、そういう判断ミスを誘発したって意味も含めてなかなか絶妙なクロスだったな、と。

▶︎ 藤野あおばの右サイドでの仕掛けから生まれたUWCLでの得点シーン

同じくUWCLのSKNザンクト・ペルテン戦での藤野あおばのアシスト・シーンで、右サイドからのグラウンダーのクロスっていう点も上で挙げたシーンに似てるんだけど、ドリブルで中に仕掛ける姿勢も見せつつ縦に抜いてるところが見事で、こういう仕掛けの頻度を増やせればゴールとかアシストの数ももっと増えそうな感じ。

藤野あおばに関しては、マンチェスター・シティくらいのチームに加入したばっかりで、もうすぐ21歳になるけどまだ20歳で初めての海外のチームへの移籍で…ってことを考えると十分すぎるくらい活躍できてるような気もするし、でも、実際のプレイを観てると「もっとできても全然おかしくないんじゃね?」って思うシーンもけっこうあったりして、なかなか評価が難しいところだけど、少なくともシーズン開幕前の予想は軽々と上回るようなプレイを見せれてるって言っていいんじゃないかな。上にも書いた通り、個人的には左足のプレイが増えればより強い選手になれそうな気がしてるけど。

最後に『REAL SPORTS』ってサイトに載ってた藤野あおばのインタビュー記事を。ウィンター・ブレイクの期間に帰国したタイミングで取材したのかな? 本人はいろいろ課題があるって感じてるようでかなり興味深い感じ。

清家 貴子(ブライトン&ホーヴ・アルビオン / FW): 592分

▶︎ 9試合出場(スタメン6試合)
▶︎ 592分出場(チーム内9位)
▶︎ 5得点 / 1アシスト

24/25シーズンからWSLでプレイしてる日本人選手3人の中で、明確な数字って意味で一番結果を出せてるのがブライトン&ホーヴ・アルビオンの清家貴子ってことになるかな。10節終了時点で5得点、つまり、2試合に1点のペースっていうのは(開幕戦でのハットトリックって'貯金'があるとはいえ)FWとして素晴らしい数字だし、交代枠が使われやすいポジションでありながらチーム内で9番目の出場時間の長さも立派だし。

今シーズンのブライトン&ホーヴ・アルビオンのサッカーに関しては、"WSL Watch #129"で'T2W003'として書いた通り一言では説明しにくい可変システムなんだけど、清家貴子は基本的に右サイドで起用されることが多くて、保持時は横幅を取ることと裏を狙うこと、逆サイドからのクロスに対してファーに詰めることが主なタスクって感じなのかな。左サイドで起用されてた試合もあったけど。非保持は4-4-2で2列目のサイドだけど4-2-4になってハイプレスで前に出ることもけっこうある。

▶︎ 逆サイドからのクロスを頭で合わせた清家貴子の惜しいシュート・シーン

首位のチェルシー相手に真っ向勝負を挑んだ9節の清家貴子の惜しいヘディング・シュートのシーンなんだけど、逆サイドからのクロスに対して相手CBの背中側で待って思い切りよく頭から飛び込んでて、相手のGKのビッグ・セーブで防がれちゃったけど、すごく惜しいシーンだったんじゃないかな。欲を言えば、首位相手の大事な試合でこういうチャンスを決められるようになると、もっと存在感が増すと思うけど。

▶︎ ハイプレスから生まれた清家貴子の決定機

同じくチェルシー戦から、清家貴子のハイプレスからの決定機のシーン。今シーズンのブライトン&ホーヴ・アルビオンの非保持のスタンスがわかりやすく出てると思うんだけど、正直なところ、これも決めたかったかな。

▶︎ 上手い裏抜けからの清家貴子の決定機

もうひとつ、同じくチェルシー戦から清家貴子の決定機を。カウンター・シチュエーションで上手く裏を取ってスルーボールを引き出して、GKと1v1になれてる。本人も頭を抱えてたけど、これも決めたかったかな。実はこの試合ではハイプレスで相手のミスを誘発したところから1点取ってるんだけど、それ以外に3回惜しいシーンがあったってことになるんで、少なくとももう1点は取りたかった感じ。相手が相手だっただけに1点の価値が違うと思うんで。

▶︎ ボックス内で落ちついて決めた清家貴子の得点シーン

ウェスト・ハム・ユナイテッド戦での清家貴子の得点シーンで、この試合では左サイドで起用されてたんだけど、右サイドでスピード・アップできたのを見てボックスまで侵入して、ボールがもらえる場所を見つけて待って、落ちついてワンタッチで決めてる。キック自体は狙ったほど強く当たらなかったのかもしれないけど、上手くGKが触れないコースに流し込めてて、いかにもストライカーって感じのゴールなんじゃないかな。

▶︎ 右サイドで裏を取った清家貴子の見事なアシスト

同じくウェスト・ハム・ユナイテッド戦から清家貴子のアシストのシーンを。選手交代があってポジションを右に移してるんだけど、上手い連携で裏に抜け出して、ボックス内のフリーのチームメイトへの丁寧なクロスで見事なアシストを記録してる。

12月の頭に『90min』に"RANKED: The WSL’s best performing new recruits"って記事が掲載されてて、夏の移籍マーケットで新たにWSLのチームに加わった50人以上の選手からトップ5を選ぶっていう記事なんだけど、実はそこで清家貴子はチェルシーのサンディ・ボルティモア(Sandy Baltimore)とかリヴァプールのオリヴィア・スミス(Olivia Smith)とかアーセナルのマリオナ・カルデンテイ(Mariona Caldentey)を抑えて1位に選ばれてたりする。ちなみに、マンチェスター・シティの山下杏也加も5位に入ってて、ここで挙げた3人と比べると前評判っていうか、事前の期待値が低かったからギャップで印象が強かった? とかちょっと思ったりもするけど、どっちにしてもポジティブなインパクトを残せてることは間違いないはず。

あと、"WSL Watch #129"でも触れたけど、ちょっと前に『REAL SPORTS』ってサイトに清家貴子のインタビューのリンクも。

山下 杏也加(マンチェスター・シティ / GK): 540分

▶︎ 6試合フルタイム出場
▶︎ 540分出場(チーム内12位)
▶︎ 6失点 / 2クリーンシート

上で挙げた『90min』の記事でも5位に選ばれてるマンチェスター・シティの山下杏也加は唯一のGKだから他の選手とはちょっと比較が難しいんだけど、先に個人的な印象を書いちゃうと、藤野あおばにちょっと似てるんだけど、シーズン開幕前の予想は大きく上回ってるって印象かな。昨シーズンのリーグ戦でフルタイム出場を達成したイングランド代表GKのキアラ・キーティング(Khiara Keating)がいるチームに入ったってことを考えると。もちろん、キアラ・キーティングはまだ20歳の選手だから単純な経験値を比べれば山下杏也加が上回ってるとは思うけど、山下杏也加は海外でのプレイは初めてだし、WSLでの経験ではキアラ・キーティングが全然上だし、GKってポジションの特殊性を考えると、DF陣との連携とかコミュニケーションみたいな部分も含めてもうちょっと時間がかかってもおかしくないって思ってたんで。10節までで6試合フルタイム出場で、UWCLのグループ・ステージでも全6試合の中の3試合フルタイム出場だから、キアラ・キーティングとプレイ時間をシェアしてる感じではあるけど、基本的には1stチョイスのGKにはなれてるって言っていいんじゃないかな。

マンチェスター・シティのプレイモデルに関しては(ちょっと時間が経っちゃったけど)"WSL Watch #008"で、アップデート部分に関しては"WSL Watch #108"で書いてる通りで、GKには守備の部分だけじゃなくビルドアップへの関与もかなり高いレベルで要求されてるんだけど、山下杏也加は攻守両面でその要求に十分応えられてる印象で、改めて能力の高さを強く印象付けたんじゃないかな。

▶︎ ショート・カウンターからのピンチを山下杏也加が止めたシーン

マンチェスター・シティは基本的に低い位置からビルドアップするから、当然ハイプレスで引っかかればショート・カウンターを受けてピンチになることもあって、そういうリスクは受け入れた上で闘ってるんだけど、ピンチをゼロにすることはできないから最終的に守備陣が守れるか、特にGKの山下杏也加が相手のシュートを止められるかが重要になる。このシーンもまさにそんな例で、結果的には1-0で勝つ試合なんだけど、こういうピンチをしっかり守れてたからこそ勝てたわけで、かなり価値があるプレイって言えるはず。

▶︎ 1v1の決定機を止めた山下杏也加のセーブ

マンチェスター・シティは保持型でハイラインだから、ボールの失い方が悪いと当然カウンターを受けやすいんだけど、このシーンもまさにミドル・ゾーンでボールを奪われてカウンターを打たれてて、最終ラインの裏を取られて相手のFWとの1v1になっちゃったんだけど、山下杏也加の落ちついた対応で事なきを得た感じ。この試合は開幕戦だから山下杏也加にとってはリーグ戦初出場で、しかも、いきなりアーセナルとのアウェイでの直接対決で、エミレーツ・スタジアムに40,000人以上入ってる環境だったってことも含めて考えると、より大きな価値があったって言えそう。

▶︎ 山下杏也加の見事なロング・フィードから生まれた決定機

アストン・ヴィラ戦でのビルドアップのシーンで、ボックス外でフリーでボールを受けた山下杏也加が遠くを見て、一発で相手の最終ラインの裏を取るロング・フィードで決定機を作り出してる。シュートは決まらなかったけど、精度が高いキックっていう山下杏也加の武器が存分に発揮された典型例って感じのシーンかな。

山下杏也加のプレイに関しては、UWCLのホームでのバルセロナ戦をレビューした"WSL Watch #116"でもいくつかピックアップしてるけど、チームのプレイモデルにもすっかり馴染めてる印象だし、今シーズンのマンチェスター・シティはGKを1人に固定して闘う感じではなさそうだけど、ウィンター・ブレイク明けも引き続きコンスタントに出場してくれるんじゃないかな。あと、ついつい忘れちゃいがちだけど、長身のGKが揃ってるWSLの中で普通にやれてることもちゃんと評価されて然るべきだよな…なんて思ったりしつつ。

宝田 沙織(レスター・シティ / MF): 537分

▶︎ 10試合出場(スタメン6試合)
▶︎ 537分出場(チーム内8位)
▶︎ 0得点 / 0アシスト

12人の日本人選手の中で個人的に一番評価が難しいのがレスター・シティの宝田沙織って気がしてる。レスター・シティにケガ人が続出してる影響もあって、CMFとかインサイドMFで使われるだけじゃなくCFW起用までされてたりして。

全試合に出場してる(しかも、公式戦全13試合に出場してて、13試合出場はチームでは3人しかいない)から監督の信頼は十分得られてるんだと思うけど、個人としてはちょっと苦労してるように見えるかな。

▶︎ カウンターからの得点シーンでボックス内に進入する宝田沙織

籾木結花のところでもピックアップしたチェルシー戦でのレスター・シティのゴール・シーンで、自陣で守備をしてて籾木結花がこぼれ球を拾ったところから始まったカウンターなんだけど、籾木結花がボールを持ったときには籾木結花の近くにいたのに、左サイドに展開されたタイミングでスプリントでボックスに向かって駆け上がって、最終的にはクロスに対してCFWの選手が入るべきニアにしっかり入れてて、相手DFを引っ張ったことで最終的にファーの選手がフリーになってるんで、ボールには触ってないけどCFWの選手がやるべきプレイはできてる。

▶︎ クロスに詰めた宝田沙織が誘発したゴール

これはリーグ戦じゃなくてリーグ・カップのバーミンガム・シティ戦なんだけど、右サイドで裏を取ったディアン・ローズ(Deanne Rose)のクロスに対して相手DFと競り合いながらCFWの選手が入るべき場所に入って、最終的にはオウン・ゴールを誘発してる。今までのキャリアでCFWでのプレイ経験がどれくらいあるのかはわかんないけど、一生懸命取り組んでることはすごく伝わってくる。

▶︎ CFWとしてプレイする宝田沙織のシュート・シーン

同じくリーグ・カップのバーミンガム・シティ戦から、宝田沙織が右サイドからのクロスをボックス内のフリーになれる場所で受けてシュートを打ったシーン。決められなかったけどボックス内でのポジショニングもCFWらしかったし、セカンド・ボールを拾ってからの2次攻撃でも合わせられなかっらけど左サイドからのクロスに対してちゃんとニアに入ってて、結果的にファーまで流れたボールから得点が生まれてて。格下の相手だから格好のトレーニングになってる感じもあるけど、CFWとしてのプレイを頑張ってることが伝わってくる感じ。

▶︎ 宝田沙織の見事なシュート・ブロックのシーン

これは宝田沙織がCMF起用されたアストン・ヴィラ戦の立ち上がりのシーンで、2列目から走ったチャシティ・グラント(Chasity Grant)に裏を取られて決定機になりかけたんだけど、懸命に追った宝田沙織がギリギリのところでスライディングでシュートをブロックして事なきを得てて。CMFとして出場してる試合では当然守備の仕事も増えるんだけど、ボックス内での守備を助ける献身性っていう宝田沙織の良さが出てる。

CMFとして出た試合のプレイはポジションの特性上、あまりハイライト映像では見つけにくい(フルマッチは動画自体が長いから? noteの仕様なのかYouTubeの仕様なのかわかんないけど、noteの記事の中で再生できないっぽくて、クリップ機能も記事内で再生できないっぽいからハイライト映像を貼るようにした)から、ピックアップしたプレイは少なめだけど、慣れないポジションでの起用も含めて、難しいチーム事情の中で奮闘してるって言っていいんじゃないかな、今シーズンの宝田沙織は。

浜野 まいか(チェルシー / FW): 423分

▶︎ 7試合出場(スタメン6試合)
▶︎ 423分出場(チーム内10位)
▶︎ 1得点 / 1アシスト

ここまでに挙げた9人の選手は全10試合の半分、つまり、450分以上出場して(ここでは便宜上'主力選手'って呼んで)て、浜野まいかと宮澤ひなた(と清水梨沙)はそこには達してない選手ってことになるけど、浜野まいかも宮澤ひなたも試合数は10試合の半分の5試合以上は出てる'準主力選手'には該当してて、でも、その2人だと特に浜野まいかは評価が難しいっていうか、数字だけ見ると物足りない感じがしちゃうけど、実情を考えると全然そんなことはない、むしろ、シーズン開幕前の予想をかなり上回るような活躍を見せたって言っていいって思ったりしてる。12人の日本人選手の中で、事前の予想を一番大きく上回ったのは実は浜野まいかかも? って思ってるくらいに。

'実情'ってのは、もちろんチェルシーの選手層の厚さが異常で、アーセナルとかマンチェスター・シティと比べてもチーム内の競争が激しいってこと。しかも、20歳って年齢もあるし、チェルシーの選手としてWSLでフル・シーズンを闘うのは今シーズンが初めてって点もあるし。もちろん、攻撃陣にケガ人が多くて、具体的にはサム・カー(Sam Kerr)だったりローレン・ジェイムズ(Lauren James)だったりカタリナ・マカリオ(Catarina Macario)だったりミア・フィシェル(Mia Fishel)だったりってことだけど、それでもチェルシーはまだまだ実力がある選手、それこそFIFAウィメンズ・ワールドカップで上位まで勝ち上がるような国の主力選手がたくさんいるわけで、正直なところ、「特にシーズン前半戦はちょいちょい出場機会があるくらいでも全然おかしくないかな」くらいに思ってたんで。もうひとつ、ものすごくポジティブな印象を残したのは、"WSL Watch #126"で'24/25MR02'としてレビューもしたし、いくつかプレイもピックアップしたけど、8節のマンチェスター・シティとの大一番での素晴らしいパフォーマンスだったんだけど。

アメリカ代表をオリンピックに金メダルに導いたエマ・ヘイズ(Emma Carol Hayes OBE)前監督時代はWGで起用されることが多かったけど、ソニア・ボンパストル(Sonia Bompastor)新監督体制では中のレーン、具体的には4-2-3-1の2列目の3の真ん中で使われてることが多くて、保持時はボックス近辺のライン間でのプレイとゴールに関わるプレイ、非保持時はハイプレスのトリガーになるファースト・ディフェンスが求められてると思うけど、出場した試合ではいつもハイ・パフォーマンスを見せてる印象かな。リーグ戦だけじゃなくUWCLのグループ・ステージの試合でも。

▶︎ 鋭い切り替えからの浜野まいかのシュートのシーン

これはマンチェスター・ユナイテッド戦の立ち上がりの浜野まいかのシュート・シーンで、相手陣内でのスローインから一度ボールを失ったけどこぼれ球にエリン・カスバート(Erin Cuthbert)と2人で反応してボールを奪い返して、そのままシュートまで持ち込めてる。シュートは決められなかったけど、力強さとゴールに向かう意識がわかりやすく現れてるんじゃないかな。

▶︎ 浜野まいかのパスからPKを獲得したシーン

同じくマンチェスター・ユナイテッド戦から、浜野まいかとのワンツーでボックスに進入したマイラ・ラミレス(Mayra Ramírez)が倒されてPKを獲得したシーン。シンプルなワンタッチのワンツーだけど、ボックスの幅で見事に決定機を作り出せてるし、結果的に僅差で終わった試合の決勝点になったって価値も大きいし。

▶︎ クロスに対して浜野まいかがボックスに進入したシーン

リヴァプール戦でのチャンスのシーンなんだけど、左WGが上手く裏に抜け出せたことを認知してすぐにボックスに向かってスプリントで走って、惜しくも少し届かなかったけどクロスに対してニアに入れてる。パスを循環させるだけじゃなくて、常にゴールへの意識を持ってることが見えるのがすごく好印象だな、と。

▶︎ ショート・カウンターから浜野まいかが落ちついて決めた得点シーン

トッテナム・ホットスパー戦の浜野まいかの得点シーンで、チェルシーらしい強度が高いハイプレスからのショート・カウンターが見事にゴールに結びついてる。シンプルだけどこういうのをしっかり決めるのはすごく重要だと思うんで。

▶︎ ショート・カウンターで浜野まいかのパスから生まれたシュート・シーン

同じくトッテナム・ホットスパー戦から、相手のミスからのこぼれ球を浜野まいかが上手くつないでフィニッシュまでいけたシーン。ボールを回収してからのキープも上手かったし、パスも丁寧だったし、アシストになってもおかしくないシーンだったんじゃないかな。

▶︎ UWCLでの浜野まいかのロング・シュート

最後にUWCLのトゥウェンテ戦での浜野まいかのロング・シュートでのゴールのシーンを。シンプルに「こんなことできるんだったっけ?」枠のプレイの例として。

シーズン後半戦のチェルシーに関しては、カタリナ・マカリオはもう戻ってるけど「サム・カーとローレン・ジェイムズとミア・フィシェルがいつ戻ってくるのか次第で浜野まいかのプレイ時間がけっこう変わっちゃうかな?」って感じはあると思うけど、とりあえず、WSL(とUWCL)のレベルでどれくらいできるのかについては十分証明したとは思うんで、あとはやっぱり出た試合でどれだけ数字を残せるかってことになりそうかな。

宮澤 ひなた(マンチェスター・ユナイテッド / MF): 282分

▶︎ 7試合出場(スタメン3試合)
▶︎ 282分出場(チーム内14位)
▶︎ 0得点 / 0アシスト

12人の日本人選手で(清水梨沙を除くと)一番苦労してるのは宮澤ひなたってことになっちゃうのかな、やっぱり。それでも7試合出場してるから、一定の信頼は得られてるんだとは思うけど。

基本的には4-2-3-1の2列目の選手として考えられてたと思うけど、11月にエラ・トゥーン(Ella Toone)が負傷してから2試合連続でスタメン出場してて、その2試合ではCMFでの起用だったっぽく見えたかな。主に守備的な役割を担うドミニク・ヤンセン(Dominique Janssen)とコンビを組んで、保持時はインサイドMF的なタスクもこなすって感じだと思うけど。チームも好調だって影響もあると思うけどプレイ自体の印象は全然悪くなくて、個人の能力としては他の選手にはない特徴を持ってるし、ある程度は発揮できてるとは思うけど、それでも、何か突出したインパクトを残せてるか? って言われちゃうと、やっぱり少し物足りない感じではあるかな、正直なところ。

▶︎ ショート・カウンターからの宮澤ひなたの惜しいシュートのシーン

ブライトン&ホーヴ・アルビオン戦でのハイプレスからの宮澤ひなたのシュート・シーン。この時期はまだ2列目の左WGで起用されてて、保持時はハーフスペースに絞って左SBのガブリエル・ジョージ(Gabrielle George)のオーバーラップを促す感じの運用だったかな。

▶︎ 宮澤ひなたの逆サイドへの展開から生まれた得点シーン

同じくブライトン&ホーヴ・アルビオン戦から、宮澤ひなたが上手くビルドアップに関わって得点まで繋がったシーン。具体的には左サイドでボールを最終ラインから引き出して、ピッチを中のレーンにドリブルでボールを運びながら時間を作って、逆サイドに展開して最終的に右サイドから得点が生まれたんだけど、効果的にスムーズな前進を促せてるんじゃないかな。

▶︎ こぼれ球に反応した宮澤ひなたの惜しいシュート・シーン

もうひとつ、同じブライトン&ホーヴ・アルビオン戦から、宮澤ひなたの惜しかったシュート・シーンを。ハイプレスから中盤でこぼれ球を回収した宮澤ひなたから始まった攻撃で、最終的にシュートがクロスバーに当たった跳ね返りに反応してシュートしてる。正直なところ、これは決めたかったし、こういうのが決まってくると状況はけっこう変わるんだと思うけど。

ウィンター・ブレイクに入る直前の試合ではある程度のプレイはできてたけど、エラ・トゥーン(Ella Toone)が戻ったときにどういう起用法になるのか、そもそもエラ・トゥーンはいつ戻るのかって部分は気になりつつも、やっぱり、個人的にはもうちょっと宮澤ひなたのプレイは観たいかな。「途中出場にしても、せめて20分以上出してくれてもいいんじゃね?」って思っちゃうっていうか。

最後にマンチェスター・ユナイテッドの公式サイトに宮澤ひなたのインタビューを。短い動画だけど日本語(英語字幕付き)なんで。

清水 梨沙(マンチェスター・シティ / DF): 0分

▶︎ 0試合出場(スタメン0試合)
▶︎ 0分出場
▶︎ 0得点 / 0アシスト

オリンピックのスペイン戦で前十字靭帯の負傷をしちゃって長期離脱してる清水梨沙は残念ながらここまでの試合出場はない。現状としては、マンチェスター・シティはシーズン後半戦に向けてアブ・ダビでトレーニング・キャンプをやってたんだけど、マンチェスター・シティのSNSに芝の上でボールを使ったトレーニングを笑顔でやってる様子はポストされてて、とりあえず、リハビリは順調に進んでるっぽい。もちろん、膝の手術の痕は痛々しいし、まだスパイクを履いてないからもうしばらくはかかるんだとは思うけど。通常は復帰まで8〜10ヶ月って感じだと思うから、オリンピックが7月だったことを考えると戻れて春頃、つまり、シーズン終盤に間に合えば…って感じなのかな?

WSLでプレイする外国籍選手の中でも絶大な存在感を放ってる日本人選手

WSLでプレイしてる日本人選手に関して、上で「贔屓目抜きにかなり活躍してて、今シーズンのWSLを語る上で欠かすことができない存在感を放ってる」って書いたけど、最後にそれを裏付けるデータを。FBref.comで今シーズンのWSLでプレイした選手の人数と出場時間を国別で確認したら、日本人選手の人数は11人で7位タイなんだけど、出場時間の合計は実はイングランドに次いで2位(つまり、外国籍選手ではトップ)だったりして。人数と出場時間のランキングのトップ10は以下の通り。

国別の選手の人数
▷ 1位 イングランド: 110人
▷ 2位 スコットランド: 13人
▷ 2位 スウェーデン: 13人
▷ 4位 オーストラリア: 12人
▷ 4位 オランダ: 12人
▷ 4位 アイルランド: 12人
▶︎ 7位 日本: 11人
▷ 7位 スペイン: 11人
▷ 9位 カナダ: 10人
▷ 9位 フランス: 10人
▷ 9位 ウェールズ: 10人

▷ 1位 イングランド: 38,154分
▶︎ 2位 日本: 7,166分
▷ 3位 オーストラリア: 6,725分
▷ 4位 オランダ: 6,216分
▷ 5位 スコットランド: 5,343分
▷ 6位 ノルウェー: 5,065分
▷ 7位 カナダ: 4,936分
▷ 8位 スペイン: 4,660分
▷ 9位 アイルランド: 4,160分
▷ 10位 アメリカ: 3,996分

人数も出場時間もトップがイングランドなのは当たり前なんだけど、清水梨沙のケガがなければ人数では12人で4位タイにはなってたはずで、出場時間では清水梨沙がフルタイム出場してたとしてもイングランドにはもちろん及ばないんだけど、それでもイングランド以外の国=外国って意味では人数でも出場時間でもトップかそれに近い順位なわけで、「日本人選手は今シーズンのWSL語る上で欠かすことができない存在感を放ってる」って表現は別に大袈裟でも贔屓目でもないって言えるんじゃないかな。シンプルになかなかすごいことだと思うし、普通にもっと評価されていい気すらするし。

もちろん、ちょっと厳しい言い方っていうか、もっと欲を言っちゃうと、上位チームの主力選手が増えるとさらに存在感が大きくなるとは思うけど。特にマンチェスター・シティ以外のチームってことになるのかな。あえて意地悪な言い方をすると「中位と下位のチームの主力選手は多いけど、トップ・レベルのチームの中心選手はそうでもない」みたいなことは言えちゃうと思うんで。かなりレベルが高い要求だし、現状でも十分すごいと思うけど。



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