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上位チームのデータをチェック! WSLの24/25シーズンの(ほぼ)前半戦総括1 :: WSL Watch #135

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"WSL Watch #133"の24/25TW09-10で9節〜10節だけじゃなく開幕から10節までの24/25シーズンの'ほぼ'前半戦の雑感をまとめたけど、今回はもうちょっと細かい部分、具体的にはFBref.comとかFOTMOBとかで出場時間のデータとか各種スタッツを見つつ、いろいろ考えてみようかな、と。せっかく1ヶ月くらい時間があるし、ちょっと見てみたらけっこう面白かったんで。まずは上位4チーム編、チェルシーとマンチェスター・シティとアーセナルとマンチェスター・ユナイテッドについて(残りのチームに関しては別の記事で)。

1位: チェルシー(9勝1分0敗 / 勝点28)

▶︎ 得点 : 31点(平均3.10点)/ 失点: 6点(平均0.6点)/ 得失点差: +25
▶︎ ゴール期待値: 22.8点 / 被ゴール期待値: 9.1点 / 差: +13.8
▷ 最多得点: グーロ・ライテン 6点
▷ 最多アシスト: ヨハンナ・リッティン・カネリード 他7人 2アシスト

チェルシーの選手の出場時間を確認すると、全10試合フルタイム=900分出場したのはハンナ・ハンプトン(Hannah Hampton)とミリー・ブライト(Millie Bright)の2人だけ。その他に全10試合スタメンだったのは854分出場したシェーケ・ニュスケン(Sjoeke Nüsken)と824分出場したグーロ・ライテン(Guro Reiten)と787分出場したヨハンナ・リッティン・カネリード(Johanna Rytting Kaneryd)で、この5人が出場時間の長さではそのままトップ5。全10試合に出てる選手だともう1人、"WSL Watch #072"でも紹介したアギー・ビーヴァー・ジョーンズ(Aggie Beever-Jones)がいて、スタメンは3試合しかなくて出場時間は409分なんだけど実は全10試合出場で。10試合に出場してるのはこの6選手のみ。

上記のトップ5に次いで出場時間が長い選手を挙げると、738分出場のルーシー・ブロンズ(Lucy Bronze)と620分出場のマイラ・ラミレス(Mayra Ramírez)と619分出場のサンディ・ボルティモア(Sandy Baltimore)と617分出場のエリン・カスバート(Erin Cuthbert)と463分出場のナタリー・ビョルン(Nathalie Björn)が続く感じで、この5人は出場時間が450分を超えてる、つまり、全10試合の半分以上は出てる選手ってことなんで、この10人が今シーズンの(ほぼ)前半戦の主力選手って言ってよさそう。

並んでる名前はまさにチェルシーの中心選手って感じなんだけど、そんな選手たちの中に新加入のサンディ・ボルティモアが入ってるのは今シーズンの(ほぼ)前半戦のチェルシーの要注目ポイントって言ってよさそう。しかも、本来はWGタイプの選手なのにニアム・チャールズ(Niamh Charles)の負傷の影響もあって左SBで起用されてて、不慣れなポジションで奮闘したって点も含めて。新加入ってことでいうとルーシー・ブロンズも新加入なんだけど、"WSL Watch #119"でも書いた通りキャリアもWSLでの経験も別格って感じの選手なんで、ちょっと同じ基準では比べられない感じ。もちろん、加入直後から期待通りのプレイを見せててさすがなんだけど。

ここまでの得点者を見ると、グーロ・ライテンが6点でチーム内1位、次いでアーギー・ビーバー・ジョーンズとヨハンナ・リッティン・カネリードが4点、マイラ・ラミレスが3点、サンディ・ボルティモアとシェーケ・ニュスケンとヴィーケ・カプテイン(Wieke Kaptein)が2点で、7人が複数得点を決めてるのがさすがチェルシーって感じ。個人的な印象としては、毎試合必ずって感じでチャンスを作り出してる両WGのグーロ・ライテンとヨハンナ・リッティン・カネリードの出来が際立ってる気がするかな。あと、夏にアメリカで行われたアーセナルとのプレ・シーズン・マッチを紹介した"WSL Watch #099"でもちょっと触れたけど、2023年にトゥウェンテからチェルシーに加入したけどそのままローンでトゥウェンテでプレイしてたから本格的にチェルシーでプレイするのは今シーズンからで、実質的には新戦力って言っていい19歳のCMFのヴィーケ・カプテインもかなり存在感を放ってるかな。出場時間は7試合(3試合スタメン)で346分、2得点・2アシストなんだけど、強度が高くて運動量もあって、今後がすごく楽しみなタレントって感じ。

ちなみに、浜野まいかは7試合出場(6試合スタメン)で423分出場なんだけど、実は10試合出てるアーギー・ビーバー・ジョーンズより出場時間は長くてチーム内で12番目の長さなんで、上記10人をコンスタントにスタメンで出てる主力選手って呼ぶなら、控えめに言っても一定以上の試合にスタメンか途中交代かで出てる'準主力'って言ってよさそう。"WSL Watch #126"で24/25MR02としてレビューしたマンチェスター・シティ戦での活躍のインパクトもかなり強かったし。

浜野まいか以外でも、450分に達してないけど試合数が5試合を超えてる'準主力'に該当する選手は何人かいて、カデイシャ・ブキャナン(Kadeisha Buchanan)が5試合出場(5試合スタメン)で浜野まいかより長い444分、アーギー・ビーバー・ジョーンズが上記の通りで浜野まいかの次で、アシュリー・ローレンス(Ashley Lawrence)9試合出場(5試合スタメン)で401分、カタリナ・マカリオ(Catarina Macario)6試合出場(スタメンはなし)で184分って続く感じ。ただ、カタリナ・マカリオは出場時間は短いけど1得点・2アシストしてたりして、ケガ明けだから出場時間をコントロールしてるんだと思うけど、出てきたときにはけっこうインパクトを残せてる。

あと、スタッツでリーグ1位の項目を挙げとくと、ゴール期待値が22.8点、1試合平均の枠内シュート数が7.4本、1試合平均のクロス成功数が7.5本、コーナーキック数が77本、1試合平均のインターセプト数が14.0本って感じ。もちろん、得点数も得失点差もリーグ1位なんだけど、10試合でコーナーキック77本ってちょっと異常な多さなんじゃね? とか思ったり。

2位: マンチェスター・シティ(7勝1分2敗 / 勝点22)

▶︎ 得点 : 21点(平均2.10点)/ 失点: 8点(平均0.8点)/ 得失点差: +13
▶︎ ゴール期待値: 21.8点 / 被ゴール期待値: 8.2点 / 差: +13.6
▷ 最多得点: カディジャ・ショウ 9点
▷ 最多アシスト: ローレン・ヘンプ 5アシスト

マンチェスター・シティで全10試合フルタイム出場してるのはカースティン・カスパライ(Kerstin Yasmijn Casparij)だけで、883分出場の長谷川唯が続くんだけど、10試合スタメン出場だったのはこの2人だけ。次に長いのはアレックス・グリーンウッド(Alex Greenwood)の778分、レイラ・ウアハビ(Leila Ouahabi)の729分、ジェス・パーク(Jess Park)の717分で、この3人は9試合スタメン出場。さらに、カディジャ・ショウ(Khadija Shaw)の698分、ジル・ロード(Jill Roord)の646分って続いて、この2人は9試合出場でスタメンは8試合って感じ。改めて確認してみてちょっと驚いたのは、その次に長いチーム内8位は藤野あおばで、出場時間は625分なんだけど実は全10試合に出場してることだったりして。その次はライア・アレクサンドリ(Laia Aleixandri)が7試合スタメン出場で585分、メアリー・ファウラー(Mary Fowler)が9試合出場(6試合スタメン)で567分、ローレン・ヘンプ(Lauren Hemp)が7試合出場(7試合スタメン)で564分、山下杏也加が6試合フルタイム出場で540分って続いて、全10試合の半分の450分を超えてるのは上記の計12人って感じ。

この中で目を引くのは、やっぱりジェス・パークってことになるのかな。"WSL Watch #053"でも紹介した通り昨シーズンの後半に大きくブレイクした印象がある選手で、昨シーズンは18試合に出場してるけどスタメンは9試合で出場時間は969分だったんで、10試合終了時点ですでに700分を超えてて、3得点・1アシストって数字はかなりの躍進って言っていいはず。

もちろん、唯一のフルタイム出場のカースティン・カスパライの活躍も光ってるんだけど。右利きの右SBだけど左SBで起用されることもあって、もう2アシスト記録してるし。ちょうど、こないだ契約延長が発表されてたけど、持ち前のスピードを攻撃だけじゃなく守備でも活かしたプレイはハイ・ラインで守ることが多い今のマンチェスター・シティには欠かせない存在。もちろん、全試合スタメン出場の長谷川唯も言うまでもない感じけど。むしろフルタイム出場じゃないことがちょっと驚きっていうか、9節のレスター・シティ戦は「長谷川唯を途中交代させられるくらい点差をつけてた」って言える展開だっただけで。個人的には、もはや「いかに長谷川唯の負担を減らすか」がマンチェスター・シティの大きなテーマだと思ってるくらいなんだけど、今シーズンもほぼほぼフル回転でハイ・パフォーマンスを見せてるって言えるはず。

あと、上記の12人の中に入ってる新加入選手って意味では日本人選手の2人、藤野あおばと山下杏也加の活躍ももちろん特筆すべきトピック。藤野あおばはリーグ戦では0得点・1アシストだけどUEFAウィメンズ・チャンピオンズリーグ(UWCL)では全6試合出場(5試合スタメン)で2得点・3アシストだし、山下杏也加はリーグ戦では6試合フル出場で6失点しててクリーンシートが2試合、UWCLでも3試合フル出場して全試合クリーンシートだし。実際のプレイの面では、山下杏也加はほぼほぼ問題なくできてる感じで、藤野あおばは10試合に出場してるアタッカーだったらできればもうちょっと数字が欲しい、UWCLくらいの頻度で得点に絡みたい感じはあるけど、それでも、新加入でいきなり全試合使われてる時点でチームからの信頼と期待を感じるし、年齢とか初の海外のチームへの移籍ってことを考えると、正直なところ、個人的に開幕前に予想してた以上の活躍を見せれてるって言っていいんじゃないかな。

上記以外で全10試合の半分の5試合以上出場してるのは、アラナ・ケネディ(Alanna Kennedy)が7試合出場(4試合スタメン)で441分、ローラ・ブリンドキルデ・ブラウン(Laura Blindkilde Brown)が5試合出場(2試合スタメン)で223分の2人だけなんで、この2人が準主力って感じなのかな。

得点を見ると、カディジャ・ショウが9得点で抜けてて、ジェス・パークとジル・ロードとメアリー・ファウラーが3得点、ローレン・ヘンプが2得点で、複数得点者はこの5人。カディジャ・ショウが1試合1点のペースで点を取れてるのはさすがだけど、複数得点者の数はチェルシーと比べるとちょっと少ないのかな。アシストはローレン・ヘンプが5アシストを記録してるんだけど、実はカディジャ・ショウの得点数とローレン・ヘンプのアシスト数はリーグでもトップだったりする。

ちなみに、平均ポゼッション率は70.2%でリーグ1位なんだけど、58.6%で2位のアーセナル、57.7%で3位のチェルシーとはかなり差があって、1試合平均のパス数も605.6本でリーグ1位で、473.6本で2位のアーセナル、415.5本で3位のチェルシーとは大差がついてる。あと、1試合平均のアタッキング・サードでのボール奪取数が10.5回でリーグ1位らしい。

さらに、ちょっと注目すべきデータとしては、ゴール期待値が21.8点で22.8点のチェルシーに次いでリーグ2位なんだけど、実際のゴール数はチェルシーが31点に対してマンチェスター・シティは21点で10点も差がついてること。ゴール期待値が21.8点で実際のゴール数が21点ってことはほぼゴール期待値通りってことになるんだけど、一般的に実際のゴール数とゴール期待値の関係性って、強いチームであればあるほどゴール数がゴール期待値を上回る傾向があって。その理由は、ゴール期待値が低いゴール=難易度が高いゴールを実際に決めれる選手は能力が高い選手ってことになって、強いチームにはそういう選手が多くいる傾向が強いから。つまり、難易度が高いゴールを数多く決めちゃう選手がたくさんいれば自ずと実際のゴール数がゴール期待値を大きく上回ることになる(逆に、チャンスは作れるけど決めてくれる選手がいないチームは実際のゴール数がゴール期待値を下回りがち)っていうのがゴール期待値ってデータの特徴って言える。ついでに、ここでの論点とはちょっとズレちゃうけどもうひとつゴール期待値の一般論を書いておくと、ある試合で実際のゴール数がゴール期待値を大きく下回るケースがたまにあるんだけど、そういう場合の理由は主に2つあって、決定機(=ゴール期待値が高いシュート)をミスしてるか、逆に相手の守備陣(特にGK)のスーパー・プレイで防がれたか、もしくはその両方かってことになる。ちょっと脱線しちゃったけど話を今シーズンのマンチェスター・シティのゴール数とゴール期待値に戻すと、マンチェスター・シティくらいのクオリティのチームであればゴール数とゴール期待値がほぼ同じ(実際には少し下回ってる)状況はちょっと普通じゃなくて、実はけっこう問題なのかも? なんて思ったりもしてる。

3位: アーセナル(6勝3分1敗 / 勝点21)

▶︎ 得点 : 20点(平均2.00点)/ 失点: 5点(平均0.5点)/ 得失点差: +15
▶︎ ゴール期待値: 20.5点 / 被ゴール期待値: 5.7点 / 差: +14.6
▷ 最多得点: アレッシア・ルッソ 6点
▷ 最多アシスト: ケイティ・マッケイブ 3アシスト

アーセナルは10試合フルタイム出場の選手が1人もいなくて、10試合スタメン出場してるのは861分出場のケイティ・マッケイブ(Katie McCabe)と792分出場のエミリー・フォックス(Emily Fox)の2人だけなんだけど、両SBが最長っていうのがちょっと面白かったりする。次に長いのはアタッカーの2人で、アレッシア・ルッソ(Alessia Russo)が10試合出場(9試合スタメン)で738分、マリオナ・カルデンテイ(Mariona Caldentey)が9試合出場(8試合スタメン)で721分って続く感じ。

さらに、ダフネ・ファン・ドムセラール(Daphne van Domselaar)が8試合フルタイム出場で720分、ケイトリン・フォード(Caitlin Foord)が10試合出場(9試合スタメン)で694分、フリーダ・マーナム(Frida Maanum)が10試合出場(9試合スタメン)で607分、リア・ヴェルティ(Lia Wälti)が8試合出場(6試合スタメン)で571分、ベス・ミード(Beth Mead)が10試合出場(6試合スタメン)で570分、リア・ウィリアムソン(Leah Williamson)が7試合出場(6試合スタメン)で567分、キム・リトル(Kim Little)が9試合出場(7試合スタメン)で565分、ステフ・キャトリー(Steph Catley)が7試合出場(6試合スタメン)で538分、カイラ・クーニー・クロス(Kyra Cooney-Cross)が10試合出場(5試合スタメン)で510分って続いて、上記の13人が全試合の半分の450分を超えてる。

出場時間が450分に達してないけど5試合以上出てる選手だと、ライア・コディナ(Laia Codina)が5試合出場(4試合スタメン)で395分、ロッテ・ウッベン・モイ(Lotte Wubben-Moy)が7試合出場(4試合スタメン)で385分、スティナ・ブラクステニウス(Stina Blackstenius)は全10試合に出てるけどスタメンは 1試合で309分、さらにローザ・カファジ(Rosa Kafaji)が6試合全て途中出場で98分って続く感じ。ローザ・カファジに関してはさすがに出場時間が短すぎるけど、それ以外の3人は完全に準主力って感じだし、スティナ・ブラクステニウスに至っては全10試合出てて2得点・2アシストだったりするんで、いわゆる典型的なスーパー・サブって言っていい感じ。

上記の13人+4人で新加入選手はマリオナ・カルデンテイとダフネ・ファン・ドムセラールとローザ・カファジの3人で、マリオナ・カルデンテイとダフネ・ファン・ドムセラールは期待通り即戦力として活躍してるって言えそう。もともと、今シーズンのアーセナルは夏の移籍マーケットでそれほど補強をしてないから新加入選手の活躍は目立たなくて、その他はいかにもアーセナルの主力って感じって選手ばかりが並んでる感じなのかな。ただ、その中であえて名前を挙げるなら、"WSL Watch #063"で取り上げた選手だけど昨年の1月の移籍マーケットで加入してすぐに主力になって、夏にはアメリカ代表の主力としてオリンピックで金メダルを獲って、今シーズンもフル回転で活躍してるエミリー・フォックスがやっぱり光ってるかな。

得点者を見ると、アレッシア・ルッソが6得点でチーム内トップ。次いでフリーダ・マーナムが4得点、ベス・ミードが3得点、ケイトリン・フォードとスティナ・ブラクステニウスが2得点で、複数得点者はこの5人って感じ。周りにも点が取れる選手がたくさんいるチームだけど、エースのアレッシア・ルッソの得点が増えてきてるのはシンプルにポジティブな傾向だし、スーパー・サブとして出てくるスティナ・ブラクステニウスの存在は相手チームからすると恐ろしい限りだし、やっぱりタレント揃いのチームだな、と。

スタッツに関しては、クリーンシートの数が7試合でマンチェスター・ユナイテッドと並んでリーグ1位で、ビッグ・チャンスの38回とビッグ・チャンスを決められなかった数の27回、PK獲得が3回もリーグ1位の数字らしい。もちろん、攻撃的な項目ではほとんど上位に入ってるんだけど。あと、ゴール期待値は20.5点でチェルシーとマンチェスター・シティに次いで3位なんだけど、被ゴール期待値が5.8点、ゴール期待値と被ゴール期待値の差が5.8点でリーグ1位だったりする。

4位: マンチェスター・ユナイテッド(6勝3分1敗 勝点21)

▶︎ 得点 : 16点(平均1.60点)/ 失点: 3点(平均0.3点)/ 得失点差: +13
▶︎ ゴール期待値: 13.4点 / 被ゴール期待値: 10.9点 / 差: +2.5
▷ 最多得点: エリザベス・ターランド 4点
▷ 最多アシスト: セリン・ビゼー・イルドゥソイ 3アシスト

改めて確認してちょっと笑っちゃったっていうか、面白いくらいわかりやすかったのがマンチェスター・ユナイテッドで、全10試合=900分の半分の450分以上出てる選手は11人なんだけど、その11人でそのままスタメンが組めちゃう、つまり、わかりやすく1stチョイスのスタメンがそのまま出場時間の上位11人になってて。メンバーを固定して闘えば自ずとこうなるはずだけど、それでも、これだけわかりやすくなるってちょっと面白いな、と。

900分フルタイム出場してるのはファロン・タリス・ジョイス(Phallon Tullis-Joyce)とマヤ・ル・ティシエ(Maya Le Tissier)とミリー・ターナー(Millie Turner)の3人で、GKとCBっていうのもすごくわかりやすい感じ。同じく10試合スタメン出場してるのは、ほぼほぼフルタイムの886分のドミニク・ヤンセン(Dominique Janssen)と875分のグレイス・クリントン(Grace Clinton)の2人。その次は、9試合スタメン出場のエリザベス・ターランド(Elisabeth Terland)が714分、9試合出場(8試合スタメン)のガブリエル・ジョージ(Gabrielle George)が681分、8試合出場(7試合スタメン)のジェイド・リヴィエール(Jayde Riviere)が639分、10試合出場(6試合スタメン)のセリン・ビゼー・イルドゥソイ(Celin Bizet Ildhusøy)が600分、8試合出場(6試合スタメン)のジェイゼ(Geyse)と6試合スタメン出場のエラ・トゥーン(Ella Toone)がともに465分って続く感じ。ケガがなければエラ・トゥーンの出場時間はもっと長かったんだろうけど、基本的にはこの11人が今シーズンのマンチェスター・ユナイテッドのスタメンの1stチョイスってことでいいはず。

出場時間は450分に達してないけど5試合以上出場してる準主力選手も6人いて、出場時間が長い順に並べると、リア・ガルトン(Leah Galton)が6試合出場(5試合スタメン)で446分、リサ・ナルサンド(Lisa Naalsund)が5試合スタメン出場で348分、シミ・アウージョ(Simi Awujo)が9試合出場(2試合スタメン)で310分、宮澤ひなたが7試合出場(3試合スタメン)で282分、メルヴィン・マラード(Melvine Malard)が6試合出場(1試合スタメン)で184分、レイチェル・ウィリアムズ(Rachel Williams)が8試合出場(1試合スタメン)で147分って続く感じ。この中だとメルヴィン・マラードが思ったよりも短い感じがするけど、概ね試合を観てて受ける印象通りの選手が並んでる。宮澤ひなたはエラ・トゥーンの離脱の後に出場時間が増えた感じだと思うけど、プレイ自体の印象は全然悪くなくて、でも、欲を言えばもうちょっとインパクトを残したい、具体的には得点に絡む数字を残したいって感じなのかな。いわゆる6番と8番の中間っていうか、基本的には4-2-3-1のCMFの1人として出場しつつ、保持時はもう1人のCMFのドミニク・ヤンセンよりは前で、よりインサイドMFに近いエリアでプレイする役回りなんだと思うんだけど、わりと低い位置でビルドアップを助ける仕事もしてて、しかも、前のタレントがわりと独力で打開しがちな選手が揃ってるから、ボックス近辺での仕事に絡みにくい感じもあるっぽく見えるけど。

主力の11人+準主力の6人の中で新加入選手を挙げると、ドミニク・ヤンセンとエリザベス・ターランドとセリン・ビゼー・イルドゥソイとシミ・アウージョの4人なんだけど、ローンから復帰したグレイス・クリントンを加えると5人で、それぞれ印象に強く残る活躍を見せてるんで、補強は成功したって言っていいんじゃないかな。あと、もう1人名前を挙げるならガブリエル・ジョージも要注目。24/25シーズンの'ほぼ'前半戦の雑感をまとめた"WSL Watch #133"でもちょっと触れたけど、昨シーズンは3試合スタメン出場で188分しかプレイしてなかった選手なんで、現段階で9試合出場(8試合スタメン)で681分っていうのは大きな飛躍だと思うんで。新加入選手ではないけど、今シーズンのマンチェスター・ユナイテッドに新たなパワーを加えた選手って言っていいはず。

エリザベス・ターランドとグレイス・クリントンがそれぞれ4得点でチーム内トップ、次いで準主力のリア・ガルトンとメルビン・マラードがそれぞれ2得点で、複数得点者はこの4人。欲を言えばもうちょっと得点数を増やしたい、1試合平均2点に近づけたい感じはあるけど、逆に言うと、それでもこの順位にいられてるのは守備が堅いから。10試合で3失点はリーグ最少だし、クリーンシート7試合はアーセナルと並んでリーグでトップだったりするし。"WSL Watch #054"で取り上げた選手だけど、絶対的な存在だったGKのメアリー・アープス(Mary Earps)が移籍したことも含めて守備の部分が心配されてたけど、見事な守備で堅実に闘えてるのが今シーズンのマンチェスター・ユナイテッドだって言えそう。

その他のスタッツもなかなか興味深くて、例えば1試合平均のタックルの成功数が17.6回でリーグ1位なんだけど、1試合平均のファール数が10.6回、合計のイエロー・カードの数が22枚でリーグ1位だったりして、堅守のチームらしい数字って感じ。昨シーズンまではそんな印象はなかったんだけど。

さらにゴール期待値と被ゴール期待値のデータを見るともっと面白くて。ゴール期待値は13.4点で、実はブライトン&ホーヴ・アルビオンとトッテナム・ホットスパーよりも低くてリーグ5位だったりして、でも、実際のゴール数は16点で、このくらいの差はマンチェスター・ユナイテッドの選手の質を考えれば想定の範囲内だと思うけど、被ゴール期待値を見てみると10.9点もあるのに実際には3失点しかしてなくて。守備陣のスーパー・プレイが多かったのか、相手のシュートのミスが多発したのか、そこは実際の被シュートのシーンを見て検証する必要があるけど、ともあれ、これはけっこうビックリな差って言っていいはず。

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