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籾木と宝田と植木が出場! レスターとウェスト・ハムのPSMの雑感 :: WSL Watch #103

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"WSL Watch #083"と"WSL Watch #098"で紹介したマンチェスター・シティとレスター・シティとウェスト・ハム・ユナイテッドとパリ・サン・ジェルマン(PSG)の4チームがオーストラリアのパースに集まってミニ・トーナメントを行うプレ・シーズン・マッチ(PSM)、パース・インターナショナル・フットボール・カップ(Perth International Football Cup)を全試合観たんで、観てて感じたことをメモ的に残しておく記事の第2弾、マンチェスター・シティについて書いた"WSL Watch #102"に続いて今回はレスター・シティとウェスト・ハム・ユナイテッドについての記事を。

レスター対ウェスト・ハムの3位決定戦をチェック

レスター・シティとウェスト・ハム・ユナイテッドに関しては、"WSL Watch #088"でも触れた通りオリンピックに出場した選手がそれほど多くなくて、ウェスト・ハム・ユナイテッドでオリンピックに出て新シーズンもチームに残ってるのは日本代表の植木理子とオーストラリア代表のカトリーナ・ゴリー(Katrina Gorry)の2人、レスター・シティはニュー・ジーランド代表のキャサリン・ジョーン・ボット(Catherine Joan Bott)だけだからわりとスムーズにプレ・シーズンに入れたと思うんだけど、レスター・シティ対マンチェスター・シティとウェスト・ハム・ユナイテッド対パリ・サン・ジェルマンよりも、この2チームの直接対戦のほうがいろいろ見どころが多かったかな。両チームの力関係の影響とか、コンディション的に2戦目だからよりフィットしてたとかあったかもしれないけど、両チームの狙いがより出てた気がしたんで。

ちなみに、この試合もDAZNで配信されてたんだけど、実は両チームのYouTubeアカウントでも配信されてたんで、YouTubeのクリップ機能も使いつつ。

まず、両チームのスタメンは以下の通り。

レスター・シティで初戦に続いてスタメンだったのは8番のユッタ・ランタラ(Jutta Rantala)と10番のノエミー・ムション(Noémie Mouchon)と12番のアスミタ・エール(Asmita Ale)と30番のルビー・メイス(Ruby Mace)と32番のシャンテル・スワビー(Chantelle Swaby)の5人なんだけど、ユッタ・ランタラとアスミタ・エール以外の3人は新加入選手だったりして(アスミタ・エールはこの夏に完全移籍したんだけど1月からローンでプレイしてた)、しかも、シャンテル・スワビーは右CB、ルビー・メイスはCMF、ノエミー・ムションはCFWだから3人ともセンター・ラインの選手だって点も含めて、即戦力としての期待の大きさが感じられるかな。ちなみに、初戦では後半からの出場だった籾木結花がスタメンで、初戦はフル出場だった宝田沙織はサブ。

ウェスト・ハム・ユナイテッドで初戦に続いてスタメンなのは1番のキンガ・シェミク(Kinga Szemik)と2番のカースティ・スミス(Kirsty Smith)と9番の植木理子と12番のエマ・ハリーズ(Emma Harries)と14番のシェリナ・ザドルスキー(Shelina Zadorsky)と15番のクリスティ・ミュウィス(Kristie Mewis)と17番のカミラ・サエス(Camila Sáez)の7選手だから、それほど大きくは変えずにこの試合にも臨んだ感じなのかな。ちなみに、(シェリナ・ザドルスキーは夏に完全移籍になったけど1月にローン加入してた選手だから純粋な新戦力じゃないけど)GKのキンガ・シェミクと左利きの左CBのカミラ・サエスは新加入の選手で、特にチームの顔的な存在だったオーストラリア代表GKのマッケンジー・アーノルド(Mackenzie Arnold)が抜けた穴を埋めることが期待されてるはずのキンガ・シェミクのプレイには注目って感じ。

基本的な構図としては、レスター・シティの保持は4-3-3で非保持はインサイドMFの籾木結花が前に出る4-4-2、保持はGK+最終ラインからCMFとインサイドMFを使いながら幅を取ってるWGまでボールを届けてアタッキング・サードを攻略するオーソドックスな感じで、非保持は基本的にはミドル・サードで構えてからプレスに出る感じだけど、この試合では初戦のマンチェスター・シティ戦よりはちょっと高い位置に守備陣形をセットしてるように見えたかな。ウェスト・ハム・ユナイテッドの非保持は4-4-2か植木理子が先頭に立つ4-2-3-1っぽいんだけど保持では左SBだけ前に押し出して3バックに可変してるように見えたかな。ただ、可変に見えないシーンもあったから、レスター・シティの非保持が4-4-2だったからそのシーンだけちょっと可変っぽくなっただけかもしれないけど。ともあれ、昨シーズンのウェスト・ハム・ユナイテッドは5バックでわりとダイレクトに前進する傾向が強かったから、4バックで保持とビルドアップにも取り組んでる感じはちょっと新鮮だったりして。非保持もわりと高い位置からプレスに出ようとしてたし。

ますは、立ち上がりのウェスト・ハム・ユナイテッドの保持のシーン。左SBのシェリナ・ザドルスキーを前に押し出して3バックの可変してから、最終ラインの3人とCMFのクリスティ・ミュウィスの4人でレスター・シティの2トップのノエミー・ムションと籾木結花のラインを越えようとしてるんだけど、最終的に左CBのカミラ・サエスの持ち上がりでファースト・ディフェンスのラインを超えて、高い位置を取ったシェリナ・ザドルスキーのクロスまでいって、セカンド・ボールも拾えて2次攻撃もできてて、昨シーズンのウェスト・ハム・ユナイテッドでは観れなかったような保持が観れてちょっとビックリしたりして。

「ウェスト・ハム・ユナイテッドも今シーズンは最終ラインからのビルドアップにも取り組んでるんだな」なんて思って観てたら、早い時間帯にビルドアップのミスからショート・カウンターを打たれてレスター・シティに先制されたシーン。カミラ・サエスのコントロールが乱れたところをノエミー・ムションが見逃さずにボールを奪って、自ら持ち上がってクロスを籾木結花に通して、籾木結花が得意の左足で冷静に決めたんだけど、後方からのビルドアップには付きもののリスクとはいえ、さすがにちょっと凡ミスって言っていいレベルのプレイだったかな。ただ、シンプルなショート・カウンターとはいえ、籾木結花がすぐにボックスに侵入してたのはけっこう大事なポイントだと思ったり。

レスター・シティのビルドアップのシーンなんだけど、わりと高い位置に立って牽制してくるウェスト・ハム・ユナイテッドのプレスを左CBと左SBと左インサイドMFと左WGの関係だけでスムーズに前進して最終的にCKを獲得してる。特に左SBのアスミタ・エールから左インサイドMFの籾木結花に入った後に、パス交換から裏へのワンタッチで上手く左WGのミッシー・グッドウィン(Missy Goodwin)を押し出した籾木結花のパスは見事だったし、失っても即ピンチになりにくいレーンでスムーズに前進できてるって点は、派手なシーンじゃないけど個人的にはけっこう大事な気がしたりして。

レスター・シティのノエミー・ムションの個人の能力が光ったシーン。FKからのボールを受けてキープしてターンして運んで展開して、1人で状況を打開しちゃってる。その後の攻撃はたぶん即興だと思うけど、籾木結花のボックス侵入も良かったし、決定機が2回あったし。ウェスト・ハム・ユナイテッドのGKのキンガ・シェミクのダブル・セーブも素晴らしかったけど。

レスター・シティが上手くプレス回避して2点目を奪ったシーン。ビルドアップの過程にはちょっと危なっかしい局面もあったけど、右CBのシャンテル・スワビーからのボールをCFWのノエミー・ムションがワンタッチで上手く落として繋いでくれたところで勝負ありだったかな。ユッタ・ランタラから籾木結花に繋いで絶妙な位置とタイミングでアンダーラップしてきた左SBのアスミタ・エールを使って、最終的には左WGのミッシー・グッドウィンの仕掛けからのクロスをサム・ティアニー(Sam Tierney)が押し込んだんだけど、けっこう強い圧がかかってた状態から上手くフィニッシュまで繋げた攻撃は見事だったな、と。

今度は逆にウェスト・ハム・ユナイテッドのビルドアップからクロスまでいけたシーン。ここでは3バック可変ではなくCMFがCB間に下りて最終ラインを3人にするカタチ、'サリーダ・ラボルピアーナ(salida lavolpiana)'なんて呼ばれてるカタチで前進してるんだけど、CBから入ったちょっと厳しめの縦パスを植木理子が見事に収めて左サイドに展開したところから生まれてて、植木理子のプレイも見事だったし、今シーズンのウェスト・ハム・ユナイテッドが取り組んでる(らしい)モノがちょっと見えたって意味でもなかなか興味深い感じ。昨シーズンまではあまりなかったんで。

前半終了のちょっと前に生まれたレスター・シティの3点目のゴールなんだけど、後方からのビルドアップでハイプレスを回避して見事に擬似カウンター状況を作り出せてて、すごく印象的なシーン。ポイントは下りてきた籾木結花がGKに戻して右CBに広げた後に、GKに寄せてたウェスト・ハム・ユナイテッドの10番のダグニー・ブリニャスドッター(Dagný Brynjarsdóttir)の背中のスペースに右CBのシャンテル・スワビーがドリブルで持ち運んで、その状況を把握した籾木結花が相手のMFの前のスペースから1列前のMFのラインとDFのラインの間、いわゆるライン間に移動してボールを受けられたところだったかな。同時にCMFのルビー・メイスはシャンテル・スワビーが空けた右CBのポジションを埋めてたのも良かったし。最終的には籾木結花からのパスを受けた左WGのミッシー・グッドウィンが仕掛けてペナルティ・アーク付近で籾木結花とのワンツーでボックスに侵入してシュートを決めるんだけど、アスミタ・エールのアンダーラップのタイミングと位置も絶妙に相手守備陣を惑わせてたし、籾木結花の狭いスペースでのアシストも丁寧だったし。ウェスト・ハム・ユナイテッドの守備陣が後ろ向きに走りながら対応せざるをえない状況はまさに擬似カウンターって感じで、チームとして生み出した素晴らしいゴールって言っていいはず。それにしても、シャンテル・スワビーはこのシーンのちょっと前にも左足で見事なスルーボールを出したシーンもあったり、保持の局面でいろんなことができて、守備の局面で跳ね返す力もあって、なかなか印象的なパフォーマンスを見せてたんじゃないかな。

前半で3-0って結果はちょっと予想外だったけど、両チームとも取り組んでるモノはいろいろ見えた印象だったかな。

ハーフタイム明けのレスター・シティの選手交代は4人。前半に印象的なプレイを見せたシャンテル・スワビーとルビー・メイスとミッシー・グッドウィンが下がって、宝田沙織が出てきた。

ウェスト・ハム・ユナイテッドの交代も4人。前半に存在感を見せたカミラ・サエスとクリスティ・ミュウィスが下がることに。

まず、後半の立ち上がりのレスター・シティの攻撃のシーン。回収したボールをGKに下げて長いボールを蹴ったところから始まってるんだけど、後半からCMFに入った宝田沙織がセカンド・ボールの競り合いから頭で籾木結花に繋いで、籾木結花がキープして時間を作って後半から左WGに入ったディアン・ローズ(Deanne Rose)を左サイドの高い位置に押し出して、そこからは仕掛けられなかったけどサポートに入った宝田沙織が右WGのユッタ・ランタラに展開して、アンダーラップしてきたジャニス・ケイマン(Janice Cayman)が最終的にボックス内でクロスまでいってCKを獲得したんだけど、多くの選手が関わってピッチの幅を広く使った効果的な攻撃だったな、と。

ウェスト・ハム・ユナイテッドの保持局面から生まれたレスター・シティの4点目のゴールのシーン。基本的なスタンスは両チームとも前半から変えてない印象で、ウェスト・ハム・ユナイテッドは保持時は3バックに可変、レスター・シティは4-3-3からインサイドMFの籾木結花を前に出す4-4-2の非保持でミドル・ゾーンに構えるところからスタートって感じだったんだけど、ウェスト・ハム・ユナイテッドのCBから植木理子に入った縦パスを宝田沙織が触って、こぼれ球に反応した籾木結花が左足のワンタッチでウェスト・ハム・ユナイテッドの最終ラインの裏に浮き球のスルーボールを通して、抜け出したノエミー・ムションが冷静にフィニッシュしたんだけど、籾木結花のワンタッチの精度で勝負ありって感じだったかな。もちろん、裏返しとしてウェスト・ハム・ユナイテッドが保持で取り組んでることとそのクオリティみたいな問題もありそうだけど、レスター・シティの非保持からのポジティヴ・トランジションはシンプルで速くて精度が高くて見事だったな、と。

で、60分にレスター・シティはさらに2人交代。存在感抜群だったノエミー・ムションはここで下がって、オーストラリア人選手のコートニー・ネヴィン(Courtney Nevin)が出てきて場内がちょっと沸いてた。

ウェスト・ハム・ユナイテッドがビルドアップからボックスに侵入してシュートで終わるシーン。最終ラインでの保持から始まって、丁寧にパスを繋いで左右に揺さぶりながら前進して、ボックスに侵入してシュートまで至ってる。最終的にはヴィヴィアン・アッセイ(Viviane Asseyi)のシュートはブロックされてるんだけど、その後のセカンド・ボールを回収してる部分も含めて、昨シーズンのウェスト・ハム・ユナイテッドではほとんどなかったような保持だったからちょっと新鮮だったりして。

ウェスト・ハム・ユナイテッドは64分にGKを交代。新加入のキンガ・シェミクは普通にレベルが高いGKって感じだったかな。

ハーフウェイ・ライン付近から始まったレスター・シティの保持のシーンで、最終的にスルーボールが通らなくて攻撃が終わるんだけど、個人的に前から「籾木結花はビルドアップが苦しいときに関わるのが上手い」って思ってて、このシーンはまさにそんな感じだったんで。ウェスト・ハム・ユナイテッドがけっこう強めに圧をかけてきてレスター・シティはGKまで戻すことになって、左CBと左SBにもけっこう圧がかかってるんだけど、左ハーフ・スペースの低い位置に籾木結花が顔を出してあげて、左SBのコートニー・ネヴィンとのパス交換で前に押し出して、最終的にコートニー・ネヴィンが裏抜けした左WGのディアン・ローズへのスルーボールを出して引っかかったんだけど、普通にチャンスになりかけたシーンだし、その一連のプレイで局面が変わったのは籾木結花の関わりだったと思うんで。もちろん、ボックス近辺でも違いが出せる選手だけど、インサイドMFで使うとこういうプレイも上手くやってくれるのが籾木結花の魅力だよな、と。

宝田沙織がレスター・シティの5点目を決めたシーンで、最終的にはボックス内でデフレクションを拾った宝田沙織が見事なコントロールからループで決めてて、シュート自体はもちろん素晴らしいんだけど、そこに至る流れもなかなか見応えがあって。相手陣内でのスローインがGKに戻ったところから始まってるんだけど、ポイントは左WGのディアン・ローズからのパスをペナルティ・アーク付近で受けた宝田沙織が籾木結花とのワンツーでボックスに侵入してるところだと思ってて。ワンツー自体は成功しなかったんだけど、こぼれ球を拾ってからも攻撃が続いてて、だから最終局面で宝田沙織がボックス内でデフレクションに反応できたと思うんで。宝田沙織は前のマンチェスター・シティ戦では4-3-3のインサイドMFで起用されてて、わりと積極的にボックス近辺でプレイしてた印象だったけど、CMFでも機を見てこういうダイナミックなプレイができるのは宝田沙織の魅力だよな、と。もちろん、最後のシュートの上手さも含めて。

90分を過ぎてからウェスト・ハム・ユナイテッドが押し込む展開になって、ヴィヴィアン・アッセイが2ゴール返したんだけど、結局は5-2でレスター・シティの勝利。内容的にも妥当な結果だったんじゃないかな。ちなみに、プレイヤー・オブ・ザ・マッチは1得点+2アシストの籾木結花。そういえば、籾木結花はハーフタイムに現地の中継のインタビューを受けてたんだけど、英語が上手いだけじゃなく、こういう役割を託されてちゃんとこなせてるっていうことも当たり前のことだけどけっこう大きいよな…って思ったり。

24/25シーズンのレスターの展望

ウェスト・ハム・ユナイテッド戦の前に行われたマンチェスター・シティ対レスター・シティに関してはマンチェスター・シティ側からの視点で"WSL Watch #102"で書いたけど、レスター・シティ的には後半最初の15分くらいを除くと基本的には守ってる時間が長かった感じで、それでも、試合終盤まではそれほど多くの決定機を作られなかったことを考えると非保持では一定の成果が出たとも言えそうけど、保持局面の狙いとか良さがより発揮されたのはウェスト・ハム・ユナイテッド戦だったって言っていいんじゃないかな。もちろん、コンディションとかの問題もあっただろうし、単純に相手との力関係もあっただろうけど。マンチェスター・シティの選手起用的にも、迫力が増したのは60分以降のセットだったし。それでも、ルビー・メイスと宝田沙織を同時起用して、宝田沙織をインサイドMFに置いたような使い方は格上のチームとの対戦ではわりと面白そう? とか思ったりしたし、細かい見どころはいろいろあったけど。

で、今回のツアーの2試合を観て、ぼんやりと今シーズンのレスター・シティについて気になったポイントを挙げると以下のようになるかな。

  • 新加入選手のノエミー・ムションとシャンテル・スワビーとルビー・メイスは3人ともすごく好印象かな。特にノエミー・ムションとシャンテル・スワビーは2人ともアマンディン・ミケル(Amandine Miquel)監督が熟知してるであろうフランスのチームからの獲得だから、当然、即主力になってほしい選手だろうし。

  • 昨シーズンのレスター・シティはチーム最多得点はユッタ・ランタラの6点だったんだけど、CFWに入るであろうノエミー・ムションには10点くらいの得点を期待したい感じがしちゃうくらいポジティヴな印象だったかな。

  • シャンテル・スワビーは強さと上手さを兼ね備えたCBって印象で、昨シーズンはいまひとつ安定しなかった最終ラインからのビルドアップの質の向上も期待できそう。

  • マンチェスター・シティから移籍してきたルビー・メイスに関しては、宝田沙織とどう使われるのかって部分も含めて注目っぽい。1月に加入して4-2-3-1のCMFとして宝田沙織はポジションをつかんでた印象だったけど、この2試合は4-3-3だったっぽいし、宝田沙織はCMFでもインサイドMFでも使われてて、ルビー・メイスは基本的にCMFって感じだったから、序列なのか使い分けなのか共存なのか、いろんな部分で気になる感じ。

  • 籾木結花に関しては、新シーズンも問題なく主力として活躍しそう。昨シーズンの日本人選手の活躍を総括した"WSL Watch #078"でも「ある程度以上の時間ピッチに立ってれば、毎試合何回か確実に見せ場を作れる、違いを見せれる選手」って書いたけど、まさにその通りって印象をこの2試合でも残してたんで。4-3-3ならインサイドMFかWGってことになるんだろうけど、個人的にはインサイドMFのほうが実力を発揮できそうな気がしてる。

  • ユッタ・ランタラの反対側のWGの1stチョイスは誰になるんだろ? おそらく右WGはユッタ・ランタラなんだと思うけど、ディアン・ローズなのかミッシー・グッドウィンなのか、わりと熾烈な争いになりそうな感じ。

  • 監督が代わったからGKの序列もわかんなくなった感じかな。昨シーズンは"WSL Watch #005"で取り上げた25歳のヤニナ・ライツィヒ(Janina Leitzig)が14試合、26歳のリゼ・コップ(Lize Kop)が8試合出場で、どちらかが明確に1stチョイスって感じじゃなかったし。実はリゼ・コップをマンチェスター・ユナイテッドが狙ってるなんて噂もあったけど破談になったっぽいし、ビルドアップの部分も含めて求められそうだし、新シーズンのレスター・シティの注目ポイントになりそうかな。

  • あと、WSL初挑戦のアマンディン・ミケル監督の手腕にももちろん注目だけど。ここまで観た限りだと、戦術的には保持は4-3-3、非保持は4-4-2で、保持に関しては後方からビルドアップして丁寧に前進しつつ、前線のタレントを活かしながらゴールを狙って、非保持に関してはミドル・ゾーンにセットしたところからスタートして、ある程度アグレッシヴにボールを奪いにいく感じのプレイモデルがベースで、わりと早く浸透してるように見えるけど、今回のツアーでは観れなかった新戦力も含めてどういうチーム作りをしていくのか、すごく注目してる。

昨シーズンのレスター・シティは序盤からわりと面白いサッカーをしてて、でも、ウィリー・カーク(Willie Kirk)監督が成績じゃない理由で3月に解任された影響もあってか、シーズン終盤は下降して結局10位っていう不本意な順位で終わっちゃったけど、ポテンシャルは全然ありそうだし、個人的には今シーズンが楽しみなチームのひとつだったりする。

ちなみに、レスター・シティの開幕戦はアウェイでのリヴァプール戦で、その後は10月末の代表ウィークまでに開幕戦を含めて5試合あるんだけど、ホームでのアーセナル戦、ホームでのクリスタル・パレス戦、アウェイでのアストン・ヴィラ戦、ホームでのエヴァートン戦って感じなんで、アーセナルはともかくとしても、それ以外のチームとどういう闘いができるのか、この期間で勝点をどれくらい稼げてるかがポイントになりそう。

24/25シーズンのウェスト・ハムの展望

新シーズンのウェスト・ハム・ユナイテッドに関しては、個人的にはわりと不安な要素が多かったんだけど、このツアーの2試合を観てもその印象は変わってないかな、正直なところ。昨シーズンも昇格チームのブリストル・シティとほぼ2チームで残留争いをしてたし、でも、その戦力と比べて今シーズンのチームは上積みされてるか? って言われるとけっこう微妙そうだし。もちろん、バリバリ主力だった清水梨沙と林穂之香とハワ・シソコ(Hawa Cissoko)とマッケンジー・アーノルドの移籍も大きいだろうし。今回のツアーでも、保持の部分も非保持の部分も取り組んでることはわりと見えて、具体的には保持なら後方からのビルドアップ、非保持ならハイプレスってことだけど、わりとシンプルな撤退+カウンターって感じだった昨シーズンよりはいろんな意味でベース・アップさせようっていう意志は感じられたんだけど、現実にピッチ上で行われてるプレイを観た感じだと、それほど上手くはいってないように見えて。もちろん、PSMだからこそあえてトライしてる部分はあるかもしれないし、実際にシーズンが始まったら微調整されてるのかもしれないけど。ただ、新加入のキンガ・シェミクとかカミラ・サエスは活躍が期待できそうかな。あと、植木理子は新シーズンもちょっと苦労しそうな感じ。ヴィヴィアン・アッセイと2人が得点源ってことになるんだろうけど、やっぱり攻撃機会自体がそれほど多くなさそうなんで。守備でも貢献できる選手だから序列を下げたりはしない気がするけど。たぶん、現実的な目標としては残留争いに巻き込まれないことだと思うし、でも、他のチームの力を考えるとそれも簡単ではなさそうで、昇格チームのクリスタル・パレスの力次第だけど、今のところ、あまり楽観視できない感じがしちゃうかな。

ウェスト・ハム・ユナイテッドの開幕戦はアウェイでのマンチェスター・ユナイテッド戦で、その後はホームでのリヴァプール戦、アウェイでのマンチェスター・シティ戦、アウェイでのエヴァートン戦、ホームでのアーセナル戦って感じ。なかなか厳しい相手が多い感じかな。ちなみに、クリスタル・パレスとの直接対決は、12月9日の9節がホーム、4月27日の20節がアウェイ。もちろん、ここまでもつれてない可能性もあるけど、20節のアウェイでの対戦ってのがなかなか痺れる感じ。

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