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長野と林が出場したリヴァプールとエヴァートンのPSMの雑感 :: WSL Watch #105

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WSLの新シーズン開幕が1週間後に迫ったタイミングの9月15日に行われたリヴァプールとエヴァートンのプレ・シーズン・マッチのリヴァプールの公式YouTubeアカウントでライヴ配信されてて、ライヴでは観れなかったんだけどフルマッチの映像がアーカイブも残ってたから観てみたんで、雑感をメモとして残しとこうかな、と。今回もYouTubeのクリップ機能を使いつつ。

ちなみに、この試合が行われたセント・ヘレンズ・スタジアムは今シーズンから新たにリヴァプールのホームとして使われることになったスタジアムで、シーズン開幕前のテストも兼ねてやった感じっぽい。

長野風花はスタメンで林穂乃香はサブ

両チームのスタメンは以下の通り。リヴァプールの長野風花は当たり前のようにスタメンで、ウェスト・ハム・ユナイテッドからエヴァートンに加入した林穂乃香はベンチから出番を待つことに。

リヴァプールで気になるのは、やっぱり新加入の7番のコルネリア・キャコップス(Cornelia Kapocs)ってことになるのかな。

エヴァートンでは新加入の10番のインマ・ガバーロ(Inma Gabarro)と9番のトニ・ペイン(Toni Payne)のアタッカー2人が気になる感じ。

▶︎ 11:50- エヴァートンのビルドアップとリヴァプールのハイプレス

エヴァートンのゴールキックからのビルドアップとリヴァプールのハイプレスが観れるシーン。別に惜しい攻撃になったわけじゃないんだけど、リヴァプールが相手陣内のペナルティ・ボックス近くに3人立てる、つまり、エヴァートンの2人のCBとGKに人数を合わせて前に出るっていうかなり強気な配置でエヴァートンのビルドアップに挑んでてなかなか興味深い感じだったんで。エヴァートンの保持は基本的に4-2-3-1、リヴァプールの非保持は5-3-2だったと思うんだけど、かなり低い位置まで下りてきたエヴァートンの右WGにもリヴァプールの左WBがついてきてたりして、なかなかアグレッシブなハイプレスだな、と。このシーンでは危うい局面もあったけどエヴァートンは奪われずに前進できたんだけど。

▶︎ 13:09- 両チームのビルドアップとハイプレスの攻防

今度はリヴァプールのゴールキックからのシーンなんだけど、お互いのビルドアップとプレッシングの攻防が観れてちょっと面白いシーン。エヴァートンの非保持は4-4-2で、リヴァプールはゴールキックではCBがGKにパスするカタチで始めてるんだけど、プレッシャーを受けたGKが長いボールを蹴って、エヴァートンの選手に回収されて、でも、エヴァートンが後ろにボールを下げたら今度はリヴァプールが前にプレスを開始して、エヴァートンのGKまでボールが下がって…って流れで。最終的にはエヴァートンのGKのコートニー・ブロスナン(Courtney Brosnan)が上手く中距離のパスを使ってプレスを回避して、最終的には右サイドでインマ・ガバーロとトニ・ペインが裏を取ってボックスにボールを送り込むところまではいったんだけど。PSMだからなのかもしれないけど、両チームとも昨シーズンよりハイプレスの意識が強い気がして。

▶︎ 22:12- リヴァプールのかなり強気なハイプレス

これもエヴァートンのゴールキックからのビルドアップとリヴァプールのハイプレスの攻防のシーンなんだけど、画面に入るような高い位置にリヴァプールの選手が5人とか6人とか出てくるくらいの強気なハイプレスでボールを奪ってる。最終的にショート・カウンターを打てたりはしてないんだけど、今シーズンはこういうスタンスでやるんだったらかなり興味深いな、と。

▶︎ 27:48- エヴァートンの見事なプレス回避

前半を通じてお互いにハイプレスの意識は強かったけど、保持の質ではちょっとエヴァートンが上回ってた印象で、このシーンもその例なんだけど、CMFの2人がパス交換でちょっと角度を作ってワンタッチの縦パスを通してリヴァプールの選手を見事に5人置き去りにしてる。インマ・ガバーロが右に流れるのが好きなのかもしれないけど、エヴァートンの4-2-3-1の2列目の真ん中のインマ・ガバーロと右WGのトニ・ペインはわりとポジションを入れ替えることがあって、このシーンではインマ・ガバーロが右サイドに流れてボールを引き出して前進できてて、そのままボックスには踏み込めなかったけど、攻撃をやり直して最終的にはクロスまではいけてて。CMFのクレア・ウィーラー(Clare Wheeler)とオーロラ・ガリ(Aurora Galli)がエヴァートンのビルドアップをかなりスムーズにしてた感じ。

▶︎ 29:23- リヴァプールのユニークな保持

別に上手くいったシーンじゃないんだけど、この試合のリヴァプールの低い位置での保持がちょっと面白いっていうか、わかりにくいっていうか、ちょっとユニークな感じで。このシーンではGKのレイチェル・ロウズ(Rachael Laws)が最終ラインに近い高さまで出てきて保持に加わってるんだけど、3バックの中央のCBのジェマ・ボナー(Gemma Bonner)が1列上がってCMFの長野風花の近くに立ってたりして。でも、別の場面だと3バックの左右のCB、左CBとジェマ・エヴァンズ(Gemma Evans)と右CBのジェナ・クラーク(Jenna Clark)がタッチライン近くまで開いてジェマ・ボナーの横にレイチェル・ロウズが立つシーンもあったり、長野風花が最終ラインに下りてるシーンもあったり。あと、中盤の3人に関しても、必ずしも長野風花がCMFに固定されてるわけじゃなくて、わりとポジションを入れ換えてたりして。良く言えば柔軟で流動的だけど、何かの原則に沿ってやってるのか即興なのかちょっとわかんなかったりもして。もちろん、上手くいってれば何でもいいんだけど、あまり上手くいってないだけに、いろいろ気になっちゃう感じで。

▶︎ 31:23- エヴァートンの見事なプレス回避

エヴァートンのビルドアップのシーンなんだけど、CBからCFWへのパス1本でリヴァプールの選手5人を置き去りにできちゃってるっていうか、リヴァプールが高い位置まで選手を出してるのに十分な圧をかけられてないっていうか、見事にリヴァプールの守備をひっくり返ししてクロスまでいけちゃってる。さすがにこれはリヴァプール側に問題があると思うけど、エヴァートンはその隙を見逃さなかったし、そこからの右サイドの裏を取った展開も上手かったな、と。

後半から林が出場

ハーフタイム明けの選手交代は以下の通り。攻撃の面で好印象だったコルネリア・キャコップスが交代して、個人的にすごく期待してるミア・エンダービー(Mia Enderby)が出てきた。

エヴァートンは4人交代。前半に好印象を残したトニ・ペインとインマ・ガバーロの出場はここまでで、新加入の林穂乃香が後半45分プレイすることに。実は起用法がちょっと面白かったりして。

▶︎ 46:58- エヴァートンのプレッシングと林の起用法

スローインから始まるリヴァプールの保持に対するエヴァートンのプレスのシーンなんだけど、後半開始から起用された林穂乃香が後ろを気にしながらGKまで2回出てるのがちょっと印象的で。並びも4-3-3(か4-1-4-1)に見えるし、CMFじゃなくてインサイドMF起用なのか? ってちょっと思ったり。最終的には蹴らせてエヴァートンがボールを回収できてる。

▶︎ 48:00- エヴァートンのハイプレスとリヴァプールのプレス回避

リヴァプールのGKから始まるビルドアップに対してエヴァートンがかなり人数をかけて前から奪いにいって、際どい局面は作れたけど奪えずに回避されて、最終的にクロスからのフィニッシュまで持ち込まれたシーン。やっぱり林穂乃香がかなり高い位置までプレスに出てるのが印象的で、リヴァプールも危ない局面はあったけど、長野風花の上手い繋ぎを挟みつつ前進して裏を取れてて、両チームの狙いが見られて面白い攻防だったんじゃないかな。

▶︎ 53:12- エヴァートンのビルドアップと林穂乃香の関わり方

GKがキャッチしたボールから始まるエヴァートンの攻撃のシーンなんだけど、まず左SBに入ったときに林穂乃香が近すぎない絶妙な位置でボールを引き出してるのも良かったし、上手くコントロールしてから左WGを押し出したパスも正確だったし、効果的に関われてて良いな、と。左WGにボールが入ったときに、そのままボックスに入るか、斜め後ろでサポートするのか、どっちを選ぶのかな? って思いながら観てたけど、林穂乃香の選択は後者で、リヴァプールの守備陣も帰陣してたから、急がずにポゼッションのフェーズに入った感じだけど、その後の安定して保持から決定機を作れてるし、フィニッシュ・シーンでは林穂乃香もボックス内に入れてるし、すごく適切なプレイができてたんじゃないかな。その後のプレイも気にしてたけど、基本的には保持時はオーロラ・ガリよりも高い位置にいることが多かったんで、オーロラ・ガリがCMFで林穂乃香は左インサイドMFだったっぽい。

▶︎ 58:02- ハイプレスを長いボールで回避したリヴァプールの決定機

惜しくもオフサイドだったけど、エヴァートンのハイプレスをロング・ボールで上手く回避して作ったリヴァプールの決定機のシーン。GKからのロング・ボールをヘディングで落として、ミア・エンダービーがフリックで繋いで裏に走ってリターンを押し込んでるんだけど、エヴァートンの守備対応は同数になってて、「当然、こういうことは起こりえるよな」って感じ。林穂乃香はよく戻ってたと思うけど。ちなみに、このちょっと後の60分過ぎに長野風花は交代してる。

▶︎ 73:01- 中盤の攻防からのリヴァプールの決定機

この試合に関しては、お互いに終始ハイプレスで相手に圧をかけてたんだけど、このシーンもリヴァプールのGKが長いボールを蹴ったところから中盤でのボールの奪い合いになって、最終的にはリヴァプールのフィニッシュで終わってる。この試合のリヴァプールの保持はそれほど安定してなかった印象で、昨シーズンもわりとそうだったけど、こういう展開からのほうがチャンスが生まれそう。

▶︎ 75:38- 中盤の攻防での林穂乃香のプレイ

別にどっちが良かったって感じじゃなくて、中盤での攻防って感じのシーンなんだけど、林穂乃香の良さはけっこう出てるんじゃないかな。保持での関わり方も上手いし、非保持でも常に首を振りながら状況を確認してポジショニングを修正してて。守備での貢献度の高さは定評があったと思うけど、攻守ともに足も頭も休まない感じで。インサイドMFでのプレイってあまり記憶にないけど、CMFのオーロラ・ガリと連携も良さそうだし、この2人はエヴァートンの中盤のキーになるかも? とかちょっと思ったりして。

スコアレスで終わった試合で感じた両チームの印象は…

試合は結局スコアレスのまま終わって、どっちにもチャンスがなかったわけじゃないけど決めきれず…って感じだったかな。個人的に好印象を持ったのは、どっちかっていうとエヴァートンだったけど。保持も非保持も昨シーズンよりも強気に設定してるっていうか、より主体的にプレイしようとしてて。45分プレイした林穂乃香も概ね好印象だったと思うし。もちろん、新加入選手だからまずはポジション争いってことになるんだろうけど、攻守に貢献度が高かったし、与えられたタスクを十分に遂行できてたんじゃないかな。

リヴァプールに関しては、非保持は昨シーズンよりもアグレッシヴに高い位置から奪いにいこうとしてる印象で、けっこうハマってた場面もあったけど、保持に関してはまだちょっと安定してない感じだったかな。低い位置でのポジションの入れ換えとか、ちょっと面白そうな取り組みはあったけど、練度のせいか、それほど効果的じゃなかった感じで。ただ、新加入のコルネリア・キャコップスとか後半頭から出てきたミア・エンダービーとか後半途中から出てきたリアン・キアーナン(Leanne Kiernan)とか、個人としてインパクトを残した選手はけっこういたけど。あと、基本的に保持時3-5-2のCMFで使われてたっぽい長野風花は今シーズンも普通に主力として活躍しそうな感じ。中盤の3人はわりと流動的な感じに見えたけど、ビルドアップで最終ラインを助けたり、逆にボックス近くまで攻め上がったり、保持局面でも幅広いエリアでプレイできてたんで。なんとなく、リヴァプールは昨シーズンよりも保持に力を入れようとしてるように見えたんで、そうなれば今まで以上に力を発揮することになるかも? とかちょっと思いつつ。

基本的にリーグ開幕の約1週間前ってタイミング(で、おそらく最後)のプレ・シーズン・マッチなんで、開幕戦に近いイメージの選手選考だったり戦術的なアプローチだったんだと思うけど、この試合から受けた印象だと、両チームとも攻守両面で昨シーズンよりもアグレッシヴなスタンスになりそうかな。もちろん、プレ・シーズン・マッチだからあえてチャレンジした、公式戦になれば現実的に微調整するって部分もあるんだろうけど。ちなみに、リヴァプールの開幕戦はホームでのレスター・シティ戦で、エヴァートンの開幕戦はアウェイでのブライトン&ホーヴ・アルビオン戦。どのチームにも日本人選手がいる試合ってことになる。

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