ウィメンズFAカップはマンチェスター・ユナイテッドが初優勝 :: WSL Watch #070
これまでにも"WSL Watch #036"と"WSL Watch #049"と"WSL Watch #062"で今シーズンのウィメンズFAカップについて書いたけど、リーグ戦の最終節の前の週末の5月12日にマンチェスター・ユナイテッド対トッテナム・ホットスパーの決勝戦がウェンブリー・スタジアムで行われて、4-0で快勝したマンチェスター・ユナイテッドが見事に初優勝を飾った。個人的にはもうちょっと接戦になることを予想(期待?)してたけど、思ったよりも差がついちゃった印象だったかな、正直なところ。結果自体はいろいろ考えると妥当だったとは思うけど。
トゥーンらしさが存分に発揮されたゴラッソ
細かいことは抜きにして、まずはマンチェスター・ユナイテッドのイングランド代表MFのエラ・トゥーン(Ella Toone)の先制点が見事だったかな。まさにゴラッソっていうか。ボックス外からゴールの角への見事なシュートで、さすがにこれはGKもノー・チャンスって感じ。キックの上手さには定評があるエラ・トゥーンならではの見事なゴールだったな、と。
あと、ゴール自体はもちろん素晴らしかったんだけど、展開を考えてもこの得点の意味はけっこう大きかった気がするかな。このゴールが決まったのは前半のアディショナル・タイムだったんだけど、前半全体を見るとややマンチェスター・ユナイテッドって感じの内容で、トッテナム・ホットスパーもすごく悪かったってわけじゃなかったけどできれば前半はスコアレスで終えたかった感じで、でも、実はゴールの直前にはボックス近辺まで攻め込んでた状態で、ちょっと難易度が高いプレイを選んでボールを奪われて、そこからネガティヴ・トランジションが上手くハメられなくてどんどん運ばれて、最終的にシュートを打たれてるんだけど、トッテナム・ホットスパーの立場で考えるともうちょっと上手くやれたことがこのプロセスにいくつかあった気はしてて。それぞれはミスとは呼べないくらいのモノかもしれないけど。例えば、ボール・ロストの前の局面に関して、そこまでの展開とか得点の状況とか時間帯とかを考えればもっと時間を使ってもよかったし、攻め込むんだったら確実にフィニッシュで終われる状況を選ぶべきだったし、ボールを失うにしてもプレイが切れる状況、つまり、相手のゴールキックとかスローインとかになるようなプレイを選ぶべきだったし。ボールを失った後のネガティヴ・トランジションの対応についても、ボックス近辺まで運ばれた後の対応についても、もうちょっと上手くやれたかも? って思う部分はあって、いくつかあったポイントのひとつでももうちょっと上手く対応できてたら防げた失点だったかも? ってちょっと思ったりもして。そういう意味で、どっちのチームにとってもけっこう大きな意味を持つゴールだったのかな、と。
ちなみに、エラ・トゥーンはウェンブリーとの相性が抜群らしくて、過去に7試合プレイしてて、4ゴールを決めてて、ゲットしたトロフィーも今回で3つになるんだとか。
チーム力の差を見せつけたマンチェスター・ユナイテッド
時系列的には順序が逆になっちゃうけど、両チームのスタメンを見て最終の思ったのは、「うわ、ユナイテッドのベンチ、けっこうエグイな」ってことだったりして。ジェイゼ(Geyse)とメルヴィン・マラード(Melvine Malard)とニキータ・パリス(Nikita Parris)と宮澤ひなたがいたんで。僅差で試合が終盤まで進んだら、交代選手でかなりパワーアップできそうだな、と。奇しくも、トッテナム・ホットスパーの準決勝のレスター・シティ戦とは逆になったっていうか。結局的にマンチェスター・ユナイテッドが交代選手を使ったのはリードを奪ってからだったんだけど、全体としてはやっぱりチーム力の差を感じちゃったかな。ちなみに、宮澤ひなたはリードが4点になった後の79分から出場したんで、試合終了=優勝決定の瞬間にピッチに立ってたってことになる。点差が開いた後の10分ちょっとのプレイ時間だったから見せ場は特になかったと思うけど、移籍してきて最初のシーズンで、ケガで苦しんだ時期もあった中で、タイトル獲得の瞬間をピッチで迎えられたってのは、ひとつの成果って言っていいんはないかな。
終わってみれば圧勝でマンチェスター・ユナイテッドの初優勝になったんだけど、マンチェスター・ユナイテッドは前回大会でも決勝には進出したけどチェルシーに決勝で負けてるわけで、でも、今大会ではそのチェルシーを準決勝で破ってて。チームとして積み上げてきたモノとか経験値とか、いろんな意味で今シーズンのFAカップではマンチェスター・ユナイテッドが最も優勝に相応しいチームだったのかな、最終的には。
※ 追記:『サッカーキング』に試合後の宮澤ひなたのコメントが載ってたんで、備忘も兼ねて貼っておこうかな。
良さが出しきれなかったスパーズ
この試合のトッテナム・ホットスパーに関しては、思ってた以上にマンチェスター・ユナイテッドを苦しめられなかったって印象かな、正直なところ。もちろん、今シーズンの躍進の大きな原動力だったグレイス・クリントン(Grace Clinton)が(マンチェスター・ユナイテッドからのローンだから)出れなかったのももちろん痛かったんだけど、失点のタイミングとかも含めて、今シーズンのトッテナム・ホットスパーならではの良さみたいな部分をあまり出させてもらえなかったって感じで。もちろん、ロバート・ヴィラハム(Robert Vilahamn)監督が就任して最初のシーズンの成果としては決勝まで勝ち上がったってこと自体でも十分大きいんだけど。でも、最大限の力が出せて、ちょっと運もあったりすれば、ひょっとしたらひょっとするかも? なんて期待してたんで、そういう意味では、ちょっとあっけなく負けちゃったって感じだったかな。
ウェンブリーに75,000人を超える観衆
当日の入場者数は76,082人とのことで、昨年の決勝の77,390人には及ばなかったみたいだけど、それでもちょっと桁違いの数字。事前に売り切れたことは報じられてたけど、アーセナルもチェルシーも出ない決勝でも売り切れて、好天にも恵まれて75,000人を超えるファンが集まるって、やっぱり明らかにこのくらいの規模になったっていうか、代表じゃなくクラブ・チームの試合で年に何回かはこれくらいの入場者数を記録できるくらいのスケール感の興行になったってことなんだろうな、と。
ちなみに、決勝がウェンブリーで開催されるようになったのは2015年からで、徐々に増えてきてる感じじゃなくて前回大会から急増したらしい。
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