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景品表示法の概要(連載1回目)

1 景品表示法の概要

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 テレビやインターネットなど、様々な広告表示を目にする機会が多くあ  ります。
 最近ではテレビCMやチラシだけでなく、インターネットメディアの発達によって、インスタグラムやYouTubeなど、今までとは違った広告手段も増えてきています。
 事業者の方も自社の製品やサービスをアピールするために、様々な宣伝活動を考えているものと思います。

 では、どのような宣伝活動であれば、問題がないのか、考えたことはあるでしょうか。
 文字にしなければ大丈夫、など思っていませんか。
  
 実は、こういった宣伝活動・広告表示に関するルールを定めたものの1つとして景品表示法(正確には、不当景品類及び不当表示防止法、という長い名前です。)といった法律があります。
 この景品表示法という法律は、不当表示に関する規制と過大な景品類の提供に関する規制とを定めていますが、これから半年くらいかけて(予定なので変動するかもしれません。)我々如水グループに所属する弁護士が交代で、不当表示に関するルールについて説明をしていく予定です。
 今回は景品表示法が定める不当表示の全体像について書きます。

  

2 規制の対象となる表示にはどのようなものがある?

 まず、規制の対象とされる表示というものが、どのようなものなのか、ということを説明します。
 これについては、

「顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であって、内閣総理大臣が指定するもの」(景品表示法2条2項)

 とされています。
 そして、告示の中で表示が具体的に示されています。チラシとかパンフレットに記載されているものについては、規制対象になりそう、と予想がつくかもしれません。
 では、口頭で説明しているものはどうでしょうか。
 もしくは、製品の説明などではなくて、会社名が規制の対象になったりすることもあるのでしょうか。このような疑問については、次回以降の記事で詳しく説明する予定です。


3 規制の類型にはどのようなものがある?

 次に景品表示法でどのような表示が禁止されているかですが、これは大きく3つの類型があります。
  ① 優良誤認表示
  ② 有利誤認表示
  ③ 商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認される      おそれがある表示であって、内閣総理大臣が指定するもの
です。
 優良誤認と有利誤認、似ていますがどのように違うのでしょうか。
 また、どのような表示を行った場合に、それぞれの場合に該当してしまうのでしょうか。
 この具体的な内容については、来月以降、具体例や実際の処分例なども踏まえて説明をしていく予定です。言葉だけではなかなか理解が難しいこともありますが、実際の具体例や処分例を見ていくことで、このような表示はしてはいけないということが分かってくると思います。
 全体に共通することとしては、一般消費者に誤認されるおそれのある表示で、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示について禁止をしているということです。
 この文言だけで理解できる方はなかなかいらっしゃらないと思いますので、来月以降の記事も是非ご参照ください。

4 一般消費者とは?

 一般消費者については、一応の常識のある者をさし、一般平均人の理解よりもレベルを下げた段階でとらえられているとされています。本によっては、10人中7,8人が誤認しなかったとしても、残りの2,3人が誤認して、その誤認がある程度やむを得ない場合には、表示に問題があったといえるとするものもあり、表示の内容については、誤認を招かないか、多方面から検討を行う必要があります。
 特に、特定の業界に属している人からすると常識と思っていることであっても、一般消費者にとっては常識ではないということはよくあります。この場合に、この業界では当たり前だからと言っても通用しません。しかし、業界に属していると、業界の常識と一般消費者の常識の区別がなくなってしまいますので、この点はしっかりと注意してください。

5 違反したらどうなる?

 では、違反したらどうなるのでしょうか。
 不当な表示を行っているとの疑いがある場合、消費者庁が関連資料の収集や事業者への事情聴取などの調査を実施します。調査の結果、違反行為が認められた場合は、消費者庁は事業者に対して弁明の機会を付与した上で、一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないことを命じる「措置命令」を行います。
 また、不当表示の類型によっては、課徴金という金銭の納付が命じられることもあります。
 違反した場合の具体的な処分の内容や消費者庁の事情聴取への対応などについても説明していく予定です。  

                 (橋本道成(福岡県弁護士会所属))

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