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解剖学を好きになってください! 第35回

2021年1月27日 
 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日は私が研究していた膝のとある靱帯に絡む骨折です。解剖学的な再発見がこの骨折の発生に密接な関連があるとされており、古典的とも言えるこの骨折に世界中の膝研究者の目が向けられました。 
柔整の国家試験でも複数回出題されています。 Paul Ferdinand Segond https://en.wikipedia.org/wiki/Paul_Segond 今回はセゴン骨折についてです。 フランス人であるP.

    • 解剖学を好きになってください! 第34回

      2021年1月20日 
 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日は非常勤講師を務める柔整専門学校の学生の例です。同僚の教員とエコー観察したものです。 多くの動物の膝には半月があります。半月板の名称の方が一般的かと思います。臨床でも半月板と記載されることが多いです。 日本解剖学会の「解剖学用語 改訂13版」では外側半月、内側半月と記載されていますが、日本整形外科学会の「整形外科学用語集 8版」ではmeniscus: 関節半月[板]と定められています。筆者は整形外科医ではな

      • 解剖学を好きになってください! 第33回

        2021年1月13日 
 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日も、自験例で興味深いものを報告したいと思います。 ご存じの方も多いと思います。映画「Back to the Future Part II」の冒頭のワンシーンです。前作では核燃料!!で動いていたデロリアンのタイムマシンが、2015年の技術ではゴミを原材料としてエネルギーを得ていました。こんな装置が現実になって欲しいですね! 今回の内容とは全く関係ありませんのであしからず。 今回の症例です。

        • 解剖学を好きになってください! 第32回

          2021年1月6日 
 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日も、自験例で興味深いものを報告したいと思います。 写真はゴマです。 人間の骨にもゴマが名前の由来のものがあり、種子骨が該当します。 種子骨は、文字通り種子(sesame ゴマの種)のような小さな骨です。 人体で最大の種子骨は膝蓋骨ですね。種子骨は腱や筋の中に存在し、多くは関節運動に密接に関わるものです。 今回の症例です。 これと行った理学所見も欠けるためにエコー画像で確認してみました。 膝窩後外側部の長

          解剖学を好きになってください! 第31回

          2020年12月30日 
 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 いままでは国家試験の解説をおこなってきました。現役学生や卒後に再度勉強したい先生方に向けて書いてきました。 しかし、

今回は少し趣をかえて自験例で興味深いものを、報告したいと思います。 まずは半月損傷の形態を確認しましょう! 本題に入ります。 症 例 患者:21歳、男性。両膝に疼痛と違和感(右>>左) •小学生の時に、誘因なしで右膝にロッキングが発生。病院に着いたときにロックが外れる。 •以降、数回のロ

          解剖学を好きになってください! 第31回

          解剖学を好きになってください! 第30回

          2020年12月23日 
 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日も運動器をコントロールする末梢神経の問題です。
筋の支配神経ですから、我々の仕事に直結する分野となります。
神経によっては、遠心性と求心性が混在したり、部分的に求心性のみになったり、その逆もあったりと複雑です。
国家試験でも出題される頻度が高い分野です! ゴリラの大胸筋は立派ですね!  ゴリラは力持ちで知られていますが、握力は400〜500㎏もあるそうです。人間とは比較にならない筋力の差ですね。 実験でも

          解剖学を好きになってください! 第30回

          解剖学を好きになってください! 第29回

          2020年12月16日 
 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日は神経系でも中枢神経ではなく、運動器をコントロールする末梢神経の問題です。
筋の支配神経ですから、我々の仕事に直結する分野となります。
神経によっては、遠心性と求心性が混在したり、部分的に求心性のみになったり、その逆もあったりと複雑です。
国家試験でも出題される頻度が高い分野です! 
それでは、問題の解答&解説です。 写真はカラスです。そんなことは一目瞭然ですが・・・  このカラスは、イギリスのロンドン塔

          解剖学を好きになってください! 第29回

          解剖学を好きになってください! 第28回

          2020年12月9日 
 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日も神経系についての問題です。
脳神経の問題も出題頻度が高いです。
神経系の伝導路もよく出題されます。
存在する部位、遠心性なのか求心性、混合性なのか、自律神経が含まれるかなど多岐にわたります。
生理学と合わせておぼえましょう! 「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」の有名なワンシーン。 猿の脳ミソシャーベット トラウマです。 それでは、問題の解答&解説です。 問題55.橋背部に脳神経核群をもつのはどれか。

          解剖学を好きになってください! 第28回

          解剖学を好きになってください! 第27回

          2020年12月2日 第27回 
 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日も神経系についての問題です。
神経系の伝導路もよく出題されます。 
運動や感覚は反対側の大脳に関連しますが、神経伝導路が左右入れ替わる場所や通過部位などが問われています。
また、遠心性(下行性)なのか求心性(上行性)なのかも問われます。
リハビリテーションや運動学とも密接に関わるところです。
国家試験での出題も多いので、生理学と合わせておぼえましょう! https://www.ctii.co.jp

          解剖学を好きになってください! 第27回

          解剖学を好きになってください! 第26回

          2020年11月25日 第26回 
 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日は神経系についての問題です。
大脳基底核や小脳核はその場所や役割についても問われています。
リハビリテーションや運動学とも密接に関わるところです。
国家試験での出題も多いので、生理学と合わせておぼえましょう! https://gakusyu.shizuoka-c.ed.jp/science/chuugaku/seibutu/sigekitohannou/tutawarusikumi/keitou

          解剖学を好きになってください! 第26回

          解剖学を好きになってください! 第25回

          2020年11月18日 第25回 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日は内分泌器についての問題です。
解剖学では、内分泌器官が体の何処に位置するのか? つまり場所を問われることが多いです。 生理学では、どのような機能なのか? 例えば、分泌するホルモンの作用などを問われていることが多いです。
国家試験での出題も多いので、生理学と合わせておぼえましょう! 内分泌といえばホルモンです。私も大好きです。 焼き肉のホルモンと内分泌のホルモン、関係なさそうで関係ありそうです! 

          解剖学を好きになってください! 第25回

          解剖学を好きになってください! 第24回

          2020年11月11日 第24回 
 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日は卵管についての問題です。
 女性の生殖器に関しては、子宮の形状や傾き、卵管における受精部位などが過去に出題されていますね。 それでは、問題の解答&解説です。 
 問題51.受精は卵管のどこで起こるか。 1.漏斗部 2.膨大部 3.峡 部 4.子宮部 解答&解説の詳細は以下になります。

          解剖学を好きになってください! 第24回

          解剖学を好きになってください! 第23回

          2020年11月4日 第23回 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日は前立腺についての問題です。
前回の膀胱に続き、泌尿器の問題です。
前立腺は尿路の経過中にあり、かつ膀胱の真下に位置しています。男性のみが有する器官で通常はクルミくらいの大きさです。 前立腺の中央には尿道が貫通し、その途中に精管も開口します。 関連する前立腺肥大症や前立腺ガンなども国家試験で散見されます。
 ジャッキーチェンの映画、酔拳でクルミを割ってトレーニングしています。懐かしいですね。 それで

          解剖学を好きになってください! 第23回

          解剖学を好きになってください! 第22回

          2020年10月28日 第22回 
 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日は膀胱についての問題です。
前回の腎臓に続き、泌尿器の問題です。
 膀胱は尿路の経過中にある嚢状の筋性中空臓器で、左右の尿管からの尿を受けて貯留します。形状、大きさ、壁の厚さは中の尿容量によって著しく変化します。空の時は完全に収縮し径約3㎝ほどの球形に、中程度に満たされると上方が尖った卵形を呈し、最も拡張すると上端部の広い球形を呈します。通常の容量は350~400ml程、最大で約800mlとされて

          解剖学を好きになってください! 第22回

          解剖学を好きになってください! 第21回

          2020年10月21日 第21回 
 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日は腎臓についての問題です。
腎臓は尿を生成する場所ですが、そもそも体内水分量、電解質などの調整や不要になった物質の廃棄を行う臓器です。特に水分代謝は循環器系と密接に関わります。また、酸塩基平衡も同様です。生理学で学ぶ機能も非常に重要な臓器です。 
通常、腎臓は左右一対の腎臓を持っていますが、片方のみでも機能的には十分です。したがって、生体腎移植で片方を提供することが可能です。 映画ミッション・イ

          解剖学を好きになってください! 第21回

          解剖学を好きになってください! 第20回

          2020年10月14日 第20回 解剖学を好きになってください! 第20回 
 水曜日に解剖学を担当する渡辺です。 今日は横隔膜についての問題です。
前回の呼吸器とも密接に関わります。胸郭を拡張させつ構造の一つに横隔膜があります。 横隔膜は体壁から起始し、停止部はお互いの腱線維が癒合した腱中心に集約します。
焼き肉のハラミ&サガリは横隔膜ですね! 内臓と記載されている事も多いですが、れっきとした横紋筋です。消化管のような自律神経支配の平滑筋ではなく、頚神経叢由来の横隔膜神

          解剖学を好きになってください! 第20回