「ひるおび!」弁護士のデマ騒動―4 謝罪と弁明
★見出し画像★ 2019/12/26の玉木代表(国民民主党)によるツイート
「〽あんな時代もあったねと…」(中島みゆき「時代」)という歌詞を思い起こさせるほど、玉木代表(国民民主党)と志位委員長(日本共産党)は両党の“蜜月”ぶりをアピールしていた。その後、“集票マシーン”の労組中央組織で“共産党ぎらい”の「連合」が両党の接近にストップをかけ、国民の「野党共闘」への参加はご破算になり、部分的な「選挙協力」にとどまった――いま日本の政治は≪共産党≫を軸にして動いている。
=前号のつづき=
やっぱり出た、「共産主義」恐怖キャンペーン
八代弁護士が「反日共キャンペーン」の先頭に立ち、その結果、「謝罪」(後述)というリスクを負ったにもかかわらず、立憲民主党+日本共産党+社民党+れいわ、それに「連合」に遠慮して「選挙協力」というかたちで国民民主党も加わった「野党共闘」の分裂工作は破たんし、逆に結束を強める結果になって、全国289の小選挙区のうち、200以上で候補者が一本化される見通しになった、という。(2021/10/15付朝日新聞)
この与野党一騎打ちの構図にあわてたのが、キッシー自民党です。
菅政権のもと、自党でおこなった全国選挙情勢調査(=結果は約60議席減)や週刊誌報道に見られるように、自民党の苦戦が予想されるなか、野党で束になってかかってこられては、公明、維新と組んでも過半数割れになるかもしれない。
(↑)そのうち≪中国≫を≪日本≫に変えた幟(のぼり)でも立つのだろうか。
画像は、右翼団体が中国の領海侵犯に抗議するため、沖縄県庁前に掲げたもの。(2021/09/29発信の©沖縄タイムスの阿部岳記者のツイートから転載させていただいた)
そこで、“ワイロ疑惑”の甘利明幹事長は、「自由、民主主義の思想のもとに運営される政権と、共産主義が初めて入ってくる(立憲による)政権と、どちらを選びますかという政権選択だ」と、野党共闘を批判。(10月14日のNHK番組で。同上報道)
キッシーに敗れた河野太郎広報担当は、衆院解散の1週間も前に――、
「共産党(の手法)は、一歩でも靴をドアの中に入れたら、こじ開けてその家を乗っ取る。それが世界中の共産主義国家のやり口、スタートだ」
「日本が共産主義に染まってしまうのかどうかが問われる選挙だ」
と、危機感をあらわにしている。
(10月8日夕、JR四街道駅前の遊説で。2021/10/13発信-毎日新聞デジタル)
河野太郎の演説は、まるで共産党が強盗であるかのような口ぶりで、ユーモアのかけらもありませんが、総裁選に敗れての失地回復、しかも党じたいがなりふり構っていられない状況という何よりの証拠でしょう。
戦前の共産主義者=アカ=思想犯というネガの連想を古いタンスから引っ張り出し、共産主義というより“社会民主主義”に転換した日本共産党に対する恐怖のイメージを今なお煽り立てようとしているわけですが、「共産党」にも党名を変更する意思がない(結党99周年という伝統を売りにしているくらい)のだから、それもやむをえないことかもしれません。
(もっとも党名を変えようにも「社民党」はすでにあるし、「労働党」ではイギリスのそれより金正恩の朝鮮労働党を思い起こさせてしまうだろうし、若い新党員も増えたと聞くので、いっそ公募してみたらとも思うのですが)
■内田樹さんの冷徹な目■
ここで、いつも明快な内田樹さん(神戸女学院大学名誉教授)の連続ツイートを拝見したいと思います。(10月15日午後発信)
<与党が切れる(註:選挙の争点)カードは一つだけで、それは「野党に政権担当能力があるのか?」だけです。そのためには「悪夢の民主党政権」という定型句ではインパクトが足りないので、新しいフレーズが出てきます。それは「野党が政権をとったら日本は共産化する」です。>
<なんと「日本列島を一匹の妖怪が徘徊している。共産主義という妖怪が」という幟が自民党の宣伝カーに林立するのであります。泉下のマルクスもびっくりして目を覚ますことでしょう。ということがほんとうに起きるかも知れません。>
では、だいぶ遅くなってしまったのですが、「謝罪」後もさまざまな余波を引き起こした八代弁護士の初回の苦しい弁明を聞いてみることにしたいと思います。
(↑)9月13日放送のTBS系「ひるおび!」で深々と頭を下げる八代弁護士。エリート人生を歩んできたご本人にとって、初めての屈辱的な体験だったのでは。
八代弁護士の謝罪(書き起こし)
安倍・菅・岸田を筆頭に、政治家の朝令暮改の「公約違反」や「詭弁」すなわち「言葉の劣化と虚偽」が指摘されて久しいのですが、弁護士は言葉が勝負ですから、その重み、責任の取り方というものを当然考えるものと思いました。
それに、反射神経のよい日本共産党および党委員長は放送後にすぐさま抗議し、TBSは「共産党の綱領には(※暴力革命との)記載がなく、(※八代司会者の)発言は誤りでした」という謝罪のコメントを出した――と朝日新聞系列の「日刊スポーツ」は伝えていました。
さあ、どうするTBSと八代弁護士――もし謝罪するのであれば、休み明けの9月13日(月曜)と当然予想され、「ひるおび!」を「注視」しました。
ところが、番組スタートの10時25分、司会の恵俊彰、当の八代英輝、局アナの江藤愛の各氏トリオは、しれっとした表情であいさつし、通常の番組内容をこなしていくだけです。
「ひるおび!」は13:55終了までの3時間半、そのほとんどを総裁選候補の河野太郎と、安倍首相との高級寿司会食を好んだ“アベ友”の“スシロー”こと田崎史郎氏(政治ジャーナリスト)たちとの座談を和気あいあいのうちに進め、いきなり、<謝罪コ-ナー>が始まりました。
――時刻は、午後零時56分ごろ。
お昼どきの“ながら視聴”が落ちる時間帯を狙った不意打ちのように思えました。
<「ひるおび!」八代弁護士による共産党デマ謝罪の採録>
〇女性アナのアップ
江藤アナ:先週の放送で野党共闘のテーマを扱ってる際に、日本共産党について、「まだ暴力的な革命というのを党の要綱として廃止していない」という発言がありました。日本共産党の綱領に、このようなことは書かれていませんでした。訂正してお詫びいたします。
〇八代弁護士のアップ
八代:先週の私の発言についてですが、私の認識は閣議決定された政府見解に基づいたものでした。(急に声のトーンを上げ)一方ですね、日本共産党はそれを度々否定していることも併せて申し上げるべきでした。申し訳ありませんでした。
(八代、頭を下げる。すかさず司会の恵が割り込むが、気配を察して、再び八代に)
八代:えー、テレビで発言する者として、今後はより正確にバランスに配慮し、言葉に責任を持っていきたいと思います。(深々と頭を下げる)
司会(恵):私たちも脇を締めてですね、(卑屈な薄笑いを浮かべつつ)番組作りにのぞんで、より広く与野党の政策についても伝えていこうと思っております。
――この間、たったの1分、これで「みそぎ」が済んだと思っているのか! と思いきや、後日、事態は深刻になっていきます。
(つづく)