【韓ドラの屋台スケッチ#5】“人生の悩みや憂さを晴らすのは屋台”「あなたが願いを言えば」「ファイティンガール Miss Lee」ほか
▲(トップ画像)「あなたが願いを言えば」(英題:If You Wish Upon Me)には、当代きってのイケメン/イケジョ俳優と言われるチンピラ役のチ・チャンウク(右中段)と看護師役のスヨン(少女時代元メンバー、左上段)、そしてボランティアチーム長の役には話題作には欠かせない名優のソン・ドンイルが出演し、豪華な顔ぶれとなっている。
「あなたが願いを言えば」の若きヤクザが決行前夜に選んだのは<屋台>だった
「あなたが願いを言えば」(英題はIf You Wish Upon Me、2022年)は、入院患者の苦痛をしずめ、安らかな最期をむかえるためのキリスト教系の<ホスピス病院>が舞台。
ヤクザ組織の下っぱだったチンピラがボランティアチームのスタッフとなり、死期を間近にした患者の最後の願いをチーム全員で叶えていくというラブロマンスありのヒューマンな物語です。
韓国ドラマ(映画)には、親の虐待や育児放棄などの理由で預けられる児童養護施設の出身者がよく登場しますが、「あなたが願いを言えば」にも若い男女3人が登場し、主役のチンピラ(扮するはチ・チャンウク)と彼を慕う美しい女性(ウォン・ジアン)、さらにその女性に恋心を抱く犯罪組織から抜けられない若いヤクザ(ナム・テフン)が三角関係のようになって、物語に奥行きを出していきます。
この3人は同じ児童養護施設で一緒に暮らした“仲間”ですから、成長と転落と再生が綾を成して描かれるという筋立てです。
そして、若いヤクザが、組織のボスから、児童養護施設で一緒に育った2人を消せと命令され、彼は<屋台>に入って、ひとり酒をしながら、深く悩みます。
そこでの結論は意表をつく行動でしたが、その決行前夜の舞台が居酒屋でもバーでもなく<屋台>という設定があまりにもぴったりだったので、ヒリヒリと心に残る場面でした。
「ファイティンガール~Miss Lee」は韓国ナウを色濃く反映した作品、その<屋台>は
「ファイティンガール~Miss Lee」(2019年、スタジオドラゴン制作)は、大手の下請け電器メーカーの元気で明るい新人イ・ソンシム(扮するは売れっ子のイ・ヘリ)が経理補助として働き、古参社員から「コーヒー買ってきて」と言われるような、要するに使いっぱ。
ところが、社長が借金を抱えて夜逃げしたことから、社内でロシアン・ルーレット風のくじ引きを行なうことになり、イ・ソンシム(ミス・リー)がくじに当たり社長となってしまう。
営業部長のユ・ジヌク(ポン・ジュノ監督作品「殺人の追憶」でソン・ガンホと刑事役で共演したキム・サンギョンが演じる)たちとともに、なんとか苦境を乗り越えていくのですが、果たして会社再建はなるか……。
このドラマは、若い女性が奮闘するありがちな“お仕事もの”と違って、外国人労働者の首切り、財閥系大企業による吸収合併工作など、社会派作品としての要素が盛り込まれており、最後は胸がスカッとするストーリーですが、ここにも<屋台>が登場してグッとくる場面が出てきます。
――さて、ご案内したい韓国ドラマの<屋台>スケッチ、もうすでに文面が長いのですが、本日はお開きといく前に、せっかくですので、最後にさらっと2つの<屋台>場面を。