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技の継承

武術の稽古は、模倣から入ります。すなわち師の技をコピーすることです。
今どきのデジタルデータのコピーは劣化しないそうですが、一般的には、コピーの回数を重ねるごとに劣化が進みます。技の継承もこれに似たことが起こりがちです。流祖は自らの経験や思想を「形」としてまとめ、これに付随する書伝や口伝と合わせて総合的に継承しますが、伝承の過程を通じた劣化(=失伝)は避けられないことのようです。

「形」の見かけ上の動きは、保存されていても、術理が分からないため、形の本当の意味が分からない、書伝は保存されていても、形との関連性が分からない。口伝に至っては、さっぱり…ということもあるでしょう。時代の変化や後継者の有無等外的な要因を含め、結果、使えないものとして失伝した流儀は多くあります。

幸い現在まで伝承されている流儀についても、同様の課題があるかもしれません。
そこで、現代の形の継承者たる我々は、習ったそのままを後世に伝える義務があります。仮に我々の代では術理が分からなくても、今後、これを解明できる中興の祖が現れるかもしれませんから。

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