大東流と陰陽道(上)
「合気陰陽法之事」は皆伝の口伝でした。したがって武田時宗氏はその内容を知らなかったのです。このため、同氏の発言がいろいろ誤解を招く元となったのでした。このことに関する鶴山先生のメモです。
「大東流は昔、陰陽法とも称した」と武田時宗が語った。その理由として、父(惣角)は易の様なことをやっていたし、易の本も残している、と言っている。ここでいう陰陽法とは陰陽道(おんみょうどう)のことだ。
さて、陰陽道は陰陽五行説をその根拠としている。易に由来する陰陽説は、森羅万象の状態を表わす概念で、能動的、攻撃的状態に傾いている(向かっている)ことを「陽」とし、受動的、防衛的状態に傾いている(向かっている)ことを「陰」とする二元論的考え方である。物事の相対的な相を陰陽として示す概念である。一方の五行説は、もともと森羅万象を木・火・土・金・水の五つに区分しものごとを当てはめるために用いられた概念だったが、陰陽思想と一体化して万物を成り立たせる五つの気の様態という理解に変化した。すなわち、陰陽五行説とは、「中国に起源した哲理であって、一切の万物は陰陽二気によって生じ、五行中、木火は陽に金水は陰に属し土はその中間にあり、これらの消長によって天地の変異、災祥、人事の吉凶を説明する。」ものである。
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