「兵法百首」から読み解く「新陰流兵法」5
付けかけは 太刀の反りより 二星をば 守りて行は よき位なり
太刀先に 付けて心を とどめなよ いつも心は 二星にぞ置く
補足説明:相手の拳を見ることも大事だが、我の拳を守ることも大事。太刀先は気になるところだが、心をそこにとどめてはいけない、との教えです。さらに言えば、何ごとにも心をとどめることなく自在に動ける境地(不動智)を目指すべきということでしょう。
勝事は 上手も下手も おしなべて ただ三調子 その外はなし
補足説明:三拍子之事の教えです。流祖は、敵に応じて勝つ太刀の拍子はいろいろあるが、整理すれば次の三つしかないと解明しました。
越(こす)拍子 敵の浅い打ちに対し、これを避けて、遅れて打ち乗る技法
付(つける)拍子 敵の深い打ちに対し、その腕の軌跡に付け乗る技法
当(あたる)拍子 敵の打ちに対して、一拍子に当たる(ぶつける)技法
ここまでの、教えを江戸柳生家では三ケ三見三調子と覚えるように書伝しています。