日本経済新聞「春秋」に取り上げられた合気道6
コラム中に「相手の呼吸に合わせて技を受けることができるようになれば、他の技も自然に上達するというしくみだ。」とあります。さすが、鋭い視点です。普通なら「相手の呼吸に合わせて技をかけることが・・・」と書きそうなところ、受手側の立場から書いている点です。
形稽古は仕手と受手という役割分担を決めて行うものですから、技をかける側(仕手)のための一方的な練習方法ではありません。古武術では、一般的に上級者が受手となり、稽古をつけるというやり方がほとんどでしょう。こうすることで、安全面を配慮しつつ効率的な稽古が出来るわけです。受手側も上級者に対する配慮もあり無茶は出来ません、自制心の修行になり、バランス感覚も養える稽古法なのです。ところが、見かけ上、受手はやられっぱなし、なわけです。そうすると、自分だけ上手くなりたい自分のための稽古をしたいと思っている人にとっては、面白くないのです。自分は仕手側をやりたい、より上級者について稽古したいということでしょう。
さて、受手側の役割は、仕手にいろいろ指摘をしてあげることです。(筆者は、受手をやる場合は遠慮なく「ダメ出しをしてください」と言っています。)指摘をするためには、受手を観察し、その考え、体の使い方、どこの筋肉等を使っているのか等々見て感じとらなくてはなりません。