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世界で初めて男性用腕時計を作ったCartier 腕時計の歴史と魅力

今日は、自社であつかっている時計ブランド
Cartier(カルティエ)の歴史について書いていきます。

Cartierと聞くと世界的に有名なジュエリーブランドとして思い浮かべる人も多いと思います。Cartierは宝飾メゾンとして世界五大ジュエラーに数えられますが、実は、世界初の”男性用”腕時計を作った時計メーカーといわれているのをご存知ですか?
宝石商から時計メーカーへ、誕生してから100年以上にわたり愛され続けるカルティエの魅力に迫ります。

カルティエについての基礎知識

カルティエの歴史は、ルイ=フランソワ・カルティエが1847年にパリに宝飾店を創業したところから始まります。1853年にはパリにジュエリーブティックを開き、そのわずか6年後にはフランス皇帝ナポレオン3世の皇后ウジェニーを顧客として持ちました。
カルティエを世界的なジュエラーとして成長させた3代目の孫のルイ・カルティエの時代になると、1939年までに15カ国から王室御用達の特許状を受けるに至ります。

初めてプラチナをジュエリーに使った

ヨーロッパにおいてプラチナの加工技術が確立したのは18世紀後半でした。
19世紀以降、産業界でもプラチナが利用されるようになります。そして、1903年、世界で初めてプラチナのジュエリーを制作したのが3代目のルイ・カルティエと言われています。他のジュエラーの多くがプラチナを手がけるようになるのは、30年近くも後のこと。その間、英国王エドワード7世から「王たちの宝石商にして宝石商の王」と賞賛され、戴冠式には装身具の下命を賜る栄誉に浴しました。

世界初の男性用腕時計として登場「サントス」

1907年3月、サンシールでの飛行試験に臨むアルベルト・サントス=デュモン(1873-1932)。飛行機は自製の15型飛行機。

1904年、ブラジルの富豪であり飛行家のアルベルト・サントス=デュモンの依頼によってカルティエが試作した時計は、ケースとラグを一体化させた世界初の男性用腕時計と言われています。
サントス=デュモンの要望は、「飛行中は懐中時計を取り出すことができないため、飛行中でも容易に時刻がわかること。」当時の飛行機の操縦桿は重く、両手操作が基本。ゆえに懐中時計を胸ポケットから取り出すことが難しかったためです。その要望に対して、友人のルイ・カルティエが出した答えは腕に時計を巻き付ける腕時計「サントス」でした。

カルティエは脆弱なワイヤー製ラグから、ケースと一体となったラグを発案。ケースにラグを溶接することで堅牢さを確保している。写真のモデルは1912年、カルティエ パリで製作された「サントス」。当時はブレゲ針を採用していた。手巻き。

サントス・デュモンに許諾を受け、この特別な1本の同型モデルは「サントス」として1911年に一般販売されることとなります。これが初の男性向け量産型腕時計です。それから1世紀後、サントスはほとんど変わらないまま、時を越えて愛される時計であり続けています。

第一次世界大戦時の戦車がモチーフ「タンク」

軍需がきっかけに誕生したり、発展したりしたものは、男性が身に着けるもののに多くあると言われています。腕時計もその一つ。
カルティエの「タンク」が誕生したのは1917年。第一次世界大戦の終結を決定づけ、再びヨーロッパに平穏な日々をもたらした平和の象徴である戦車=タンクをモチーフにしたことから、「タンク」と名付けられました。

タンクの誕生の過程のスケッチ。

タンクの魅力 デザイン性

初期に製作された「タンク」。現在とほぼ変わらない佇まいをもつ。

「タンク」の生まれた20世紀初頭は、時計が懐中時計から腕時計へと移行していった、腕時計の草創期。腕時計は第一次世界大戦で戦う兵士たちが、懐中時計を出し入れする煩わしさを軽減するために、腕に巻きつけたのが実質的な始まりとされます。そしてそのため最初期の腕時計は、懐中時計の丸いケースにベルトをつけるための突起=ラグを付加した、単に懐中時計を改造したものがほとんどでした。
しかし、「タンク」のデザインの考え方はまったく違いました。四角形のケースの両サイドの上下をキャタピラーのように突き出し、そこにベルトをつけたのです。「タンク」の簡潔を極めた造形は、実用性のみならず、何より素晴らしい所は、新しい時代の芸術である「アール・デコ」を表していたことなのです。

アールデコとは

アール・デコは1925年のパリ「アール・デコ展」(現代装飾美術・産業美術国際博覧会)を機に開花し、「世界で初めて世界を一周した芸術」などともいわれています。一般的には、アール・ヌーヴォーの時代に続き、ヨーロッパおよびアメリカ合衆国(ニューヨーク)を中心に1910年代半ばから1930年代にかけて流行したデザインです。自動車や飛行機、各種の工業製品、近代的都市生活といったもの生まれた時代の進歩した文明の象徴である機械を思わせる、装飾を排除した機能的・実用的なフォルムが新時代の美意識として様式化したものです。
アールヌーボー花や植物など有機的なモチーフや自由曲線を多く用いていたデザインだったのに対し、アールデコは、過度な装飾を抑えた、直線や正円、幾何学模様など機械的な美しさが印象的なデザインです。

<アール・ヌーボー>
19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に開花した花や植物などの有機的なモチーフや自由曲線の組み合わせによる従来の様式に囚われない装飾性。
グラフィックではミュシャや、ガラスでは、エミール・ガレが有名。建築ではアントニオ・ガウディのサグラダ・ファミリアや、カサ・バトリョなど植物を思わせる柔らかな曲線の造形が特徴的。
<アール・デコ>
アール・ヌーヴォーの時代に続き、ヨーロッパおよびアメリカ合衆国(ニューヨーク)を中心に1910年代半ばから1930年代にかけて流行、発展した装飾の一傾向。幾何学図形をモチーフにした表現や、機能的で実用的なフォルムが特徴的。建築ではニューヨークのクライスラー・ビルディングやエンパイア・ステート・ビルディングなどが有名。

カルティエの時計の魅力

サントス、タンク、パシャ、バロン。
カルティエの時計はどれも、エレガントさと普遍性、そして機能美をあわせ持ちます。洗練された美しく機能的なデザイン。
世界初の男性用腕時計として登場した「サントス」はネジを思わせるデザインなど、飛行機の機械的な美しさが感じられます。この機械的な洗練された美しいデザインは、時計だけでなく1970年代のニューヨークで生まれたジュエリーの「LOVE」コレクションにもうかがえます。

カルティエ「LOVE」コレクション

サントスやタンクなど初期に製作された時計のデザインは一世紀後の今もほとんど変わらないまま、時を越えて愛される時計であり続けています。
由緒正しき名門ブランドであり、時計製造の歴史を変えた設計思想と美学はカルティエの誇りともいえるでしょう。
100年以上に渡り受け継がれてきた普遍的な設計思想と美学がありながら、常に革新的で伝統や歴史に縛られることのない姿勢は製品作りに生かされています。

2023 カルティエの人気が上昇している理由

このような豊かな歴史は、カルティエの人気を支える揺るぎないアイディンティティであると思われます。
また、偉大な歴史だけでなく常にユニークで斬新、画期的なデザインやモデル名は、普遍的でありながらも革新的な魅力にあふれています。

メンズとレディース多くのモデルがユニセックス
カルティエの時計にはメンズとレディースでさまざまなサイズがあります。実際に、多くのデザインはユニセックスな魅力があり、誰にでもぴったりと合うものを見つける事ができます。カルティエには直径ではなく、XS、SM、MM、LMといったサイズ表示があるため、さまざまなモデルの種類を検索し、自分の手首に合うサイズを見つける事ができます。

機械式時計とクォーツ式時計の両方を製造
カルティエは機械式時計とクォーツ式時計の両方を製造しており、より多くのオプションが提供されています。
クォーツ式モデルが機械式モデルよりもお手頃価格であることは言うまでもありませんが、これは値段的な問題だけでなく、「時計を巻く事をあまり好まない女性」に対しても広くオプションが用意されているという事が言えます。
80年代以降は魅力的なレディース時計を数多く輩出してきたカルティエですが、近年では明確なメンズ時計のコレクションも登場しています。
2010年に発表されたカルティエ初のメンズスポーティコレクション「カリブル ドゥ カルティエ」では、カルティエ初となる自社製ムーブメント「Cal.1904-PS MC」を搭載。
まさに、どんな人にでもぴったりなお気に入りが見つかる時計メーカーと言えるのではないでしょうか。

カルティエの価格は高すぎる値段ではない
新品のカルティエは約40万円から購入でき、その価格はそこから数百万円まで上昇とします。
他の時計ブランドが、イエローゴールド、ピンクゴールド、ホワイトゴールドを多く使用する中、スティールを使用した時計もあり、また先ほど述べた通り、機械式時計とクォーツ式時計の両方を製造しているため、サイズも値段もバリエーションも豊富なモデルから選ぶことが出来ます。
カルティエは時計の世界にまだ足を踏み入れたばかりの人や、時計に大金は費やしたくない人にとっても比較的手の届きやすい一流ブランドと言えるでしょう。

自分のスタイルやアイディンティティを持ち、常に革新的であり続けるブランドCartier(カルティエ)。
カルティエの時計は、現在、フォーマルなドレスウォッチだけでなく、スポーティで大胆なデザインなどより多くのバリエーションを提供しています。
21世紀のカルティエは、歴史と伝統を守りながらも、真のマニュファクチュールとしての道を歩んでおり、改めてカルティエの魅力を実感する事ができました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!









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