マーケティングにおけるデータとの付き合い方
マーケティングの中でも、私はWEBマーケティングの運用型広告が入り口でした。その後、商品開発、SNS運用や純広告、タイアップ、キャンペーン、オフライン施策など様々なマーケティングをしてきましたが、どの施策においてもデータ分析のスキルは重要になってきます。
WEBマーケティングでは、施策(広告、SNS運用、タイアップ、キャンペーンなど)をしながら、その成果を様々なデータで毎日確認します。そのデータを見て次のアクションを決定していきます。
データをどのように見て、次のアクションを決めていくかというのは、成果を出すためにはかなり重要な要素なので、僕がどのように普段データを見ているかお話しします。
◆何故データを取るのか?
そもそも何故データを取るのでしょうか?
いつも当たり前のように、データを取っている人もいますが、そのデータは全て必要でしょうか?
このデータとこのデータがあれば、こういうことが分かるな!
だから、そのデータを取るのです。
このデータからこういうことが分かる!ということもありますが、
こういうことを知りたい!だから必要となるデータを取るのです。
データ活用①/修正箇所を見極める
例えば、広告を作ったとして
下記のように5つの数字を取るとします。
imp(インプレッション数/表示回数)
クリック率
広告・商品ページなどに飛んだ人の数
cvr(顧客転換率)
cv数(購入や申し込みの数)
広告を流す前に上記5つの数字それぞれの目標値を下記のように設定します。
ここまできて、実際に広告を流します。
そこから実際のデータを見てみます。
その結果、下記のような実データが取れたとします。
さて、データが出揃いました!
ここから次のアクションは何をすべきでしょうか?
まず、目標の購入者数が5件に対して、実購入者数が2件と半分以下の成果になっています…
どこに問題がありそうでしょうか?
データを見てみると、
目標クリック率が10%に対して、実クリック率が5%
目標cvrが5%に対して、実cvrが4%でした。
ここの数字が目標値に合っていないことが、分かります。
では、修正はどこから行うべきでしょうか?
基本的には大きく数字があっていない箇所から取り掛かります。
ここでいうと、cvrは1.25倍にする必要があるのに対して、クリック率は2倍にしないといけません。
ですので、修正のインパクトの大きいであろうクリック率の改善にまずプライオリティを置きます。
ここが分かっていないと、
広告を流す→購入数が足りない→とりあえず修正しなきゃ→感覚的に修正
となってしまいます。
感覚的に修正しても、数字が合うことはあり得ますが、
ロジカルではないため、場合によっては、関係のないところを修正し続けて、結果がいつまでも出ないことになってしまいます…
なので、目標値と実データがどれくらい乖離しているのかという点を確認し、さらに、どの地点に問題があるのかを確認するのです。
データ活用②/再現性を高める
データがあると、そのデータを元に、マーケティング施策をする前に、売上・利益などの高精度なシミュレーションを立てることが可能となります。
例えば、
宅配ピザのチラシを配った人の内、何人が宅配を頼むのか?
もし、あなたがピザの宅配ビジネスをしようと思って、チラシポスティングの施策をしようと思うと、上記のデータがあれば大体の売上・利益の予測を立てることができるしょう。
また、あなたがスイーツの宅配ビジネスをしようと思っても、ピザの宅配データを用いることで、売上・利益のシミュレーションを作ることもできます。もちろん、ピザとスイーツでは、金額も頼むシーンも変わってきますので、そこもシミュレーションに反映しなければいけませんが、少なくともピザの宅配より頼まれる機会が多いか少ないかなどは、推測することができるはずです。そこから、ピザのデータより、どれくらい数字が良いだろうか、悪いだろうかとシミュレーションに反映させるのです。
これは、あらゆるマーケティング施策に応用できます。
◆データが全くない施策を検討するときは、どうする?
次に、データが全くない施策を打つ場合はどうしたら良いでしょうか?
小さな会社だと過去に社内でやったことのない施策は続々と出てきます。
社内にデータがない場合どうやって施策が上手くいくか判断するのでしょうか?
①調べる
まずは、調べてみます。
ググったり、SNSで似たような施策のデータが落ちていないか調べてみます。
②聞く
知り合いや、専門の広告代理店やマーケティング会社にアポをとって、似たような過去施策の数字を教えてもらいます。ただ代理店などの場合は、契約する為に、かなり上手くいった場合のデータを伝えてきているという可能性も考えて、話半分に何社か話を聞いたりします。
③フェルミ推定
①と②で集めたデータを元に、自分達の施策がどのような数字になるか推定します。
④テストする
最後にテストするという方法もあります。
自分がやろうとしている施策をミニマムでテストできないか、考えます。
ミニマムでテストすれば費用もそこまでかからないので、その数字(データ)をもとに、大きく施策を進めるかどうか決定します。
あまりにも金額が大きい施策の場合は、基本ミニマムでのテストをしてから、決定します。
このように施策前にデータを集めて、シミュレーションを作成し、できる限り施策が失敗する確率を下げていきます。
◆データを読み間違えない
マーケティング施策の後、PDCAを回す際、データを確認して、分析して、次のアクションに移しますが、データを間違って解釈してしまうと、その後の施策に響き結果が中々出ないという事態に陥ります。
読み間違えに多いケースを紹介します。
・確率の問題・統計の問題
これは結構よくあるケースです。
例えば、8月1日にある施策を修正したとします。
その時の売上のデータが下記になりました。
8/1から売上が上がっているので、この施策は良かったと判断します。
しかし、もっとデータを長い期間で見てみると、
8/1以降、数日間平均を取ると、7/31以前と同じ100,000円になっています。
ここから分かるのは、日によって多少の売上の上下はあって、確率的に平均値より20%高い日もあったということです。たまたま、その施策を修正した日が確率的に売上が若干高い日と重なっただけで、修正のおかげで売上が上がったわけではないということです。
・外的要因によるデータの上下
外的要因は沢山あるのですが、
例えば、
土日祝日は平日に比べて売上が上がりやすいとか、
競合が一時的に広告露出を増やした為に、売上が取られているとか
社会情勢や不況で購買行動に影響が及んでいるとか
こういった日と重なっていると、その施策や修正onlyの影響が正確にはわからなかったりします。
◆数字よりも自分の感覚を信じる
ここまで、データについて話してきましたが、
本当の意味ではデータを見ても正確にわかることはないと思っています。
もちろんデータを見て、大枠を掴むことはできると思います。
しかし、データが全てではないなと思います。
それよりも、データの奥の人の心理や行動、背景、文脈理解が重要だと思います。
このサイトに訪れた100人の5%が購入したとして、この5人はどういう背景でこのサイトに辿り着いて、どのようなことに悩んでいたり、興味があって、どこの文章や訴求に心に動かされて、購入に至ったのか。
サイトに訪れなかった人含めて、そういう人たちの心情変化や行動の結果の集計がデータとなっているのです。
なので、個人的にはデータも当然見ますが、自分の持っている一般的な感覚が「違う!」とか「そんなはずはない!」と、直感的に反応するとそっちを信じるようにしています。
データは判断や決定を助けてくれますが、決定の絶対条件ではありません。何よりも自分が「こういう人はこういう行動をとる可能性が高いはずだ」と感覚的に思った施策が数字上はまらなかったら、むしろ「データの取り方が間違っているのではないか?」とか「他の要因が絡んでいるのではないか?」とか「システムにエラーが起きているのではないか?」とそっちを疑うようにしています。
データ分析について書いたこの記事は少し雑に書いてしまったので、またいつか書き直したいと思います。
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