勉強のできる子とは?
進学校の子を観察する
私がよく電車に乗る沿線は、京都では進学校といわれている学校が各駅にある路線なので、テスト前の生徒の観察をしています。。
ちょっとひ弱な感じで、朝から車内でノートを広げて宿題をやっている子がいます。たいてシャーペンの薄い字を書いています。追いつくのが大変のようです。
次の組は、真剣に単語帳や参考書を広げています。赤フィルムを置いて覚えています。
もう一組は、友達同士で無駄話をしています。
さて、この中で一番成績がよいのはどの組でしょうか?
学校の成績だけに限らず、将来知的な職業につくタイプはどの組でしょうか?
必死で車内で勉強している子は、意外と勉強ができないのです。その次が単語など暗記している組で、おそらく一番できるのは雑談している組なのではないかと思います。
電車の中で必死に勉強しなければならないようでは、これから先は知れています。
進学校にやっと入れて、最初は嬉しいでしょうが、実力があるのにその集団ではビリとか、下から数えた方が早いというのでは、かわいそうです。
今まで通っていた中学ではトップでも、トップが集まる高校に行けば必ず順位があるものです。自分がその最低にいるとわかったときの驚きはどんなでしょうか?
もっと楽な高校や中学に移ってはどうでしょうか?と言いたくなるのです。親御さんはそのあたり、分かっているのでしょうか?
勉強というものは、クラスで高い順位だったり、教師から優秀だと言われたり、同級生に尊敬されたりするのがモチベーションになるものです。
一番扱いにくいのがこうした進学校でついていけなかった子だという話も、予備校の先生から聞いたことがあります。
雑談はなぜよいのか?
それはさておき、雑談をしている組を、なぜ勉強ができると判断するのでしょうか?テストを投げている奴もあるかもしれません。
しかし、学生を生物の集団と考え、テストをある環境の変化と考えてみてはどうでしょうか?
テストで集団がふるいにかけられるのです。
他の人と話をしないで勉強している集団は、自分だけで個々に生き残りのためのデータを集めています。それはそれで重要なことです。
しかし、それを前日までに済ませて、同じようなメンバー同士で情報交換をしているグループがあるとすればどうでしょうか?
最強です。
個人のやれることなんて、たかが知れているのです。
もしそういうことに気付いて、分担してテスト対策ができる集団があれば、おそらくかなりの確率で勝ち残りができるでしょう。
まして学校のテストなんて、教師の要求水準に到達するだけでいいのです。
中学や高校から、こうした組織化や分業の知恵が働く子がいたら、将来は有望です。そこまでせずとも、勉強がかなりできる子同士の雑談5分は、青い顔をして寝ずに勉強している子の10時間に相当します。
情報の重さが違うのです。
学会や専門職の集会に出られたことのある方は、きっと経験があると思います。長年の疑問が同業者と会話するだけで解決するのです。
研究や知的労働は競争ではない
親御さんは受験や学習を「戦争」であると勘違いしていますが、実はそうでなく、共同作業であり、「共闘」です。
社会に出てからずっとこれが続きます。なので、あまり「〇〇さんに負けるな」とか「◎◎さん、あまりテストできなくて良かったね」といような発言はされない方がいいと思うのです。
親は子供の友達が来たら、お菓子を出すのが一番の仕事です。
こうして、大学に入るまで通用したことが通用しなくなるのです。特に理科系で人と一緒に作業できないのは致命的です。親としては、卒業や就職にこぎつければ良いと思いがちですが、まだまだ先は長いのです。そのあたりの認識を変えていく必要があると思います。
思えば獣医学科の修士課程のとき、苦手科目のテスト勉強に協力してくださったHさん、ありがとうございます。ここで御礼を述べておきます。
【画像の解説】犬の中では最強に賢いといわれるボーダーコリー君です。
似内惠子(獣医師・似内産業動物診療所院長))
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似内のプロフィール
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