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広がるヌートリア被害・その生命力

外来動物による被害、各地で報告が聞かれます。

1 ヌートリアの特性


ヌートリアは外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)による侵略的外来生物に指定されています。げっ歯目ヌートリア科で南アメリカ原産。

分類群 哺乳類
目名 齧歯目
科名 カプロミス科

天敵がいない上に、年に2~3回(1回に2~6頭)出産し、爆発的に繁殖します。増えないほうがおかしいこの生物、最近は京都市内の鴨川土手でも見かけられるようになりました。
以前は京都府の丹後半島一帯だけだったものが、遂に市内までやってきたのです。
形態 草食性の大型齧歯類で、体長50~70cm、尾長35~50cm、体重6~9kgと日本の齧歯類で最大で、耳は小さく後ろ足に水かきがあります。

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分布
岡山県、岐阜県、愛知県、兵庫県、島根県、京都府、鳥取県、三重県、広島県、香川県など広く分布。府内では由良川と桂川など。

特性:水辺に巣穴を作り繁殖する。
水から100m離れることは稀でイヌなど他動物に襲われると直ちに水の中へ逃げ込む。泳ぎは得意であるが地上での行動はにぶい。
イネやほうれん草など農作物が水辺にあると被害が生じる。大食漢なためマコモやヨシのタケノコ、ホテイアオイなどを大量に食べる。

草食と言われていたがドブガイなど淡水産二枚貝を多量に食害していることが報告されておりタナゴ類への影響が懸念されている。

2 なぜ広まったか?

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ヌートリアは戦前、寒冷地で勤務する軍隊の兵士用毛皮として導入されたものだそうです。
軍服の襟につける毛皮を取るために、繁殖飼育されたのです。太平洋戦争前後、またそれより早い時期だと思われます。当時は化学繊維を使った防寒素材などがなかったので、毛皮の需要があったのでしょう。

思えば勝手な話です。同じく、アライグマも問題視されている動物です。

【追記】この記事を書いて数か月後の2023年3月に、京都府宇治市でも目撃がありました(筆者)。どんどん生息範囲が広がっています。
【追記2】口の中がなぜオレンジ色なのか?という質問については、口の中というより門歯(上 下2本ずつ)の上の方がオレンジ色なのです。これは歯のエナメル質に鉄分が多いせいであると考えられています。

借り物でない画像です。筆者撮影。それだけ身近になっているということですね。

【参考】京都府民環境部自然環境保全課のHP 
    京都府獣医師会研修配布資料
    農林水産省のHP
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/manyuaru/old_manual/manual_tokutei_gairai_old/data5.pdf

似内惠子(獣医師・似内産業動物診療所院長))
(この原稿の著作権は筆者に帰属します。無断転載を禁じます。)
似内のプロフィール
https://editor.note.com/notes/n1278cf05c52d/publish/
オールアバウト「動物病院」コラム
https://allabout.co.jp/gm/gt/3049/

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