やめた方がいいもの「仮面浪人」
いろいろな方の受験や進学を拝見していて、お勧めしないものが「仮面浪人」です。もちろん無駄な費用がかかりますが、それ以上に失っているものが多いと思うのです。受験についての文章をいくつか書きましたので、こちらも参考にしていただけると幸いです。
1 仮面浪人って
そもそも仮面浪人って、「本当は入りたい大学があるのだが、そこに入れなかったので次の大学に籍を置き、浪人をしている」という状態を指します。人によっては、理科系学部に落ちたので、文系学部に入ったりしている人もいます。
何がしたいのかよくわかりません。今入っている大学は自分が一番入りたかった大学ではないので、どこか下に見て授業などもいやいや受けます。これは嬉しくって来ている人にそもそも失礼だと思うのです。
そしてひそかに受験勉強をする。
ある大学の先生が書かれていたことですが、「僕はこの大学に入って嬉しいです!父もここの出身者です!」という青年と、「国立大を受けて2年浪人してここに入りました(後半声が小さくなる)」という青年がいたら、大学で伸びるのはもちろん前者だそうです。後者は「この大学」に入ることを納得していないので、どこかシニカルなところがあり、人とも距離を置くようになるそうです。
そんな大学生活って楽しくないですよね。これは浪人して志望校に入れなかった人の例ですが、仮面浪人はもっと問題だと思います。
2 翌年成功するのか?
実はこれで受かる人はあまりいません。また、ちゃんとそういう人のために予備校というものがあるので、そこに通う方が幸せです。
予備校では仲間がいます。指導してくれる先生もいます。筆者の学歴には入りませんが、とても大切なことを教わった先生が、予備校にはたくさんおられました。
「化学が苦手です」と相談にいくと、「まず高校の教科書を買ってきなさい」と言われ、時間外に教えていただいた先生がありました。本当なら大学で教えても遜色ない先生も、予備校にはいらっしゃるのです。
仮面浪人でいいよといって、授業料を出す親御さんもあると思いますが、それって本当に良いのでしょうか?
浪人している子供が恥ずかしいのでしょうか?
その学費、無駄なような気がしますがどうなのでしょうか?
3 仮面浪人の立ち位置
仮面浪人というのは、
大学生になる
その大学はいずれさようならして、どこかの志望大学に入る
の2つの目的を同時に行っています。
ここからすでに矛盾があります。大学生にならなくても、受験勉強はできます。よほどの難関大学を狙っているのかと思いますが、それなら受験に勝負をかけてはどうでしょうか?
生物学的に言っても、進化の系統がめちゃくちゃのような気がします。
受験生をやった経験から言うと、受験勉強はしんどいものです。志望大学に先に入った同窓生などと道であうと、脇道に避けたい気もします。
しかし、それが勉強のエネルギーにもなるのです。「来年こそは」がATPになってクエン酸サイクルが回るのです。
そこで「今は〇〇大学に行ってるから」というのはエネルギーになりません。むしろ負のエネルギーです。反応を逆方向に進める何かが産生されているような気がします。
人生ではなんども勝負時というものがあります。これを見極め、自分の実力も見極めるのが、勝利への道です。
何か、仮面浪人の人は、自分さえも信じていないような気がするのです。
【画像解説】犬をワクチンに連れていきました。
似内惠子(獣医師・似内産業動物診療所院長))
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似内のプロフィール
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