ショートショート王様【#毎週ショートショートnote参加作品】
戴冠十年の式典に参列する大臣や兵士らを玉座から眺めながら、こんな自分によくついてきてくれたと、王は思った。
王は未熟児で産まれた。体は小さく、ずっと病気がちだった。頭髪はチリチリに爆発するタイプの剛毛で、王冠が頭に乗せられなかったので、髪の毛を短く刈り込んでいた。そのため、国民からは(背が)ショート(髪が)ショートの王様と呼ばれていた。
「それでは、王よりお言葉を賜りたいと存じます」
王はマイクを受け取ると、玉座から立ち上がった。流れ出すBGMに合わせて体を揺らし、ビートを刻み始めた。
「YO! YO! 戴冠十年の式典
体感では二、三年だっちゅうねん
背低い、髪短い、俺様
ショートショートキングのSHOWTIME!
前王から玉座を譲渡
戦争させれば隣国は焦土
連れてってやろうか極楽浄土?
勲章とか褒賞とか
全国民にあげましょうと言いましょう!
エビバディ、プチャヘンザッ!」
オーディエンスの喝采でフロアは沸騰した。
王は国民から愛されていた。
了
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
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