魔獣軍師ジェネラルリオン 第1話

第1話 深夜の顎力/1

”プルルル…ガチャ こちらは神代探偵社です。現在営業時間外となっとおります。御用のある方は……”

「起きてんだろ!!獅子神!!!」

朝からけたたましい叫びで起こされる。
非常に不愉快………まだ朝……10時

開店時間だった

ゆっくりと叫びをあげる電話を取る

「今起きた…」受話器から更に怒号が飛んできた

「いいから早く起きろよ!!何時だと思っとんだ!お前に事務所任せてんだからしっかりやれよ!」
元所長の神代さん、名探偵と言われている神代大河だった。
「おやっさん?あぁ…わりぃ、なんかあったのかよ」

「なんかあったじゃねぇよ!こっちの事務所じゃ扱えない依頼者、もう着くころだろ」
はっとなった。そうだ、依頼者がくる…着替えなきゃ

寝室のドアを開けると、ポニーテールの女性とマッシュルームカットの男が立っている

「起きましたん?宿伍さん、依頼者さん待っとりまっせ」
エセ関西弁のマッシュルームカットが佐々木九郎、俺の助手
「早くして下さい、パンイチ変態野郎…あ、間違えた…獅子神所長」
わざとらしい訂正を入れたのが助手2の紅有香だ

はーい、と小さく返事して、そそくさと着替えた
髪は…いいや

事務所に入ると、依頼人がすでに座っていた
中年の女性と中学生くらいの娘さんだ

「お待たせして申し訳ありません、所長の獅子神宿伍と申します。」
女性は上谷牧子、4 0才
なんでも旦那が1ヶ月前から様子がおかしく、会社を辞めて家に引きこもっていたが数週間前に行方不明となったらしい
心当たりも探したし、捜索願もだしたが思うように事が運ばずに今に至るらしい
「うちの旦那、うわ言のように『猫が殺した…俺はワニだ』と呟いていて、声を掛けようとしても何も答えてくれなくて…」
余程疲れているのか、発する言葉も弱々しくなっていた

「わかりました、うちのことは聞いてるでしょ?」
「えぇ、なんでも『探し屋』とか」

そう、ここは人探し専門の事務所として、俺の能力も手伝って結構な人数を探し出してる
まぁ…生きてるとは限らないから、心は痛いけどな…
でも余程憎んでない限り、人は涙を流す…
俺は悲しい涙を皆に流して欲しくなくて探偵をやってるんだ……

「止めてくんない?紅くん、考え事してるときにモノローグ入れるの」

「間抜け面だったもので」
「ひどっ!」

ぷっと娘さんが吹き出し、奥さんも釣られてふふっと漏らした
「大丈夫、ここは絶対に探し出すことをモットーにしています、ご安心ください。」

すると娘さんが
「絶対見つけ出して、お願いします。こんなお父さんじゃないんです。お願いします!」

いい父親だったのだろう、いい旦那なんだろう
絶対に見つけ出さないとなと心に決めた

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