魔獣軍師ジェネラルリオン 第1話

※先に前情報見てね

第1話 深夜の顎力/2

依頼を受け、俺たちは作業にとりかかる
まずは佐々木が情報をまとめ、有香は一先ず書類整理と経費計算だ

「とりあえず俺は警察に行ってくる……嫌だなぁ…」
俺は渋々、警察に赴く…向こうの厄介になる真似は避けなきゃいけないしな

「あ、せやったら皐月さんにお土産持ってってくださいや」
佐々木が言う「お土産」というのは、俺が独自に調べた指名手配犯の潜伏先の情報だ

「あぁ……嫌だなぁ…」
「しょうがないじゃないですか、甲斐性なし」

そう、皐月というのは……元嫁だ

『捜査一課特殊捜査係』
薄暗い廊下の先にデカデカと看板を掲げる異分子の集まり
そこは俺の元嫁、神楽皐月が課長としている

「ういーす、土産持ってきたから、情報くれー」
ガチャとドアを開けると、壁しか映らない窓辺に佇み、コーヒー牛乳を男らしく飲む姿

「ん?なんだ、あなた…何、今日は」
「これ、とりあえず例の強殺犯の居場所」
佐々木から持たされた封筒を渡して、事の顛末を話した

「なるほど、捜索願は…確かに出てるな。目撃情報もなさそうだし…まだ何も」
「そうか…じゃなんか分かったら連絡くれ…一先ずポリじぃんとこ行ってみる」
ポリじぃとはホームレスの元締め的な老人でこの街の情報なら一通り分かってる男だ

「じゃまたなんかあったらくるから」
踵を返し部屋を出る、後ろから「ちょっと!」と聞こえてきたが、こっちも時間との勝負だ

駅裏の高架下に屯するホームレス集団の元に到着したとき、えも言われぬ匂いが立ち込めていた

血の匂い

数名のホームレスが倒れていた、みんな何かに噛まれたり、引き裂かれたような傷があった
「なんだよ、これ………はっ!」

血の跡が続いている先を見ると、ポリじぃのダンボールハウスに行き着いた

「おい!ポリじぃ!大丈夫か!何が………」
息も絶え絶えでポリじぃは倒れていた
「おぉ、ヤングボーイ……なんだこの街は……ワニとでけぇ猫まで居んのか?へへ……こないだきた新人が……ワニになりやがった…信じられるか?あ?」
「喋るな!今救急車を!」
電話を取った俺の腕を掴み、弱くなる息遣いで
「おらぁもうダメだ………へへ…皆死んじまった……」
腕がだらんと落ちた…ゆっくり寝かせてやる

新人?ワニ?猫?!

まさか

「新人の名前!わかるか!」

「かみ………た……にって………」
ポリじぃは息を引き取った……かみたに……上谷に間違いない

『うわ言のように『猫が殺した…俺はワニだ』』
人がワニになる?

冷静に考えたらおかしな話だ
人がワニに変われるわけがねぇ…何があるってんだ

俺は皐月に電話し、事情聴取を受けた……
皐月の話では
『動物に襲われたとしか考えられない』
『最初に死んだ人は夜中の3時』

一体何が起こってるんだ……
今までこんな事はなかった……

雷が鳴り、雨が窓を叩く

「ソロモン様、我が配下バアルが動き出したようです」

「わかっておる……さぁ、者共!存分に楽しむがいい!」

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