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競争・闘争理論を整備する:闘う、競う、争う

お断り:競争・闘争理論は闘争理論と呼びます。

河内氏は競争という概念と対比しながら議論を展開し、闘争の本質的な要素を明確にした。
一方で、検討が十分に行われていない側面も残っており、その点については河内氏自身も著書の終わりで認めている。

本書では、特に間接的闘争についてはほとんど言及してこなかったが、その特徴について考えると、「競争」と「闘争」の両方の要素が混在していることに気が付くはずだ。

『競争闘争理論 サッカーは「競う」べきか「闘う」べきか?』おわりにより

この発言には注意を払う必要がある。「間接的闘争」の実態は「間接的競争かつ間接的闘争」であることを示唆しているからだ。

上記の発言を踏まえると河内氏はスポーツを次のように分類している。
①競争
②間接的競争かつ間接的闘争
③直接的闘争
個々の単語は一般的な日本語なのだが河内氏はそれぞれ英語に言い換えたうえで独自の定義を付与しているため理解を困難にしている。

競争(Competition)とは「異なる時間」または異なる空間」において、その優劣を競うスポーツ競技=ゲームである。
闘争(Struggle)とは「同じ時間」かつ同じ空間」において、その優劣を競うスポーツ競技=ゲームである。

『競争闘争理論 サッカーは「競う」べきか「闘う」べきか?』第二章より

この分類と定義を整理するためにまず競争・闘争に関わる競う、争う、闘うといった言葉を調べてみた。

競争・闘争の意味(引用は読み飛ばしてOKです)

[用法]あらそう・[用法]きそう——
◇また、互いに張り合い、勝とうとする意味では両語とも使われるが、「首席を争う」「優勝を争う」など、ある目的のために張り合う場合は、ふつう「争う」が用いられる。
◇「競う」は、「腕を競う」「技を競う」「カラオケ大会でのどを競う」「美しさを競う」のように、能力の優劣、物事の程度などを対象とする場合に多く使われる。

https://dictionary.goo.ne.jp/word/争う_(あらそう)/#jn-7195

競争/競技 の使い分け
1「競争」は、スポーツ、遊びに限らず、勉強その他、多くの事柄について互いに優劣、勝ち負けなどを競うことをいう。
2「競技」は、互いに技術を競い、その優劣を争うことをいう。スポーツに関して使われる。

https://dictionary.goo.ne.jp/thsrs/12040/meaning/m0u/

たたか・う〔たたかふ〕【戦う/闘う】 の解説
1 武力を用いて互いに争う。戦争する。2 互いに技量などを競い、勝負を争う。競争する。試合する。3 思想や利害の対立する者どうしが自分の利益や要求の獲得のために争う。4 苦痛や障害を乗りきろうとする。打ち勝とうと努力する。5 互いにたたき合う。(<小学館デジタル大辞泉>より)
[補説]3・4は多く「闘う」と書く。
「戦う」の使い方を例文でチェック!
明日のサッカーの試合は、世界強豪のチームと戦うことになっている
スポーツゲームで「戦う」時も、技量などを競うために勝負をすることなので、「戦う」を使います。

https://domani.shogakukan.co.jp/733093

とう‐そう〔‐サウ〕【闘争】 の解説
[名](スル) 1 相手に勝とうとして争うこと。

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E9%97%98%E4%BA%89/

競うと争うと闘うについて、まとめると次のようになる。

  1. 競うと争うには「互いに張り合い、勝とうとする」という共通する性質がある。

  2. ある目的のために張り合う場合は普通「争う」が用いられる。

  3. 能力の優劣、物事の程度などを対象とする場合には「競う」が多く用いられる。

  4. 競技は優劣について使うが、勝ち負けについては使わない。

  5. 競い争う、競争という言葉は優劣と勝ち負け、両方について使う。

  6. 闘いは勝ち負けを争うときに使うがスポーツの技量を競う時には使わない。

競技、競争、闘争、興行

競うと争うの関係を整理すると以下のようになる。

  1. 優劣を競っているが、勝敗は争っていない:競技

  2. 優劣を競い、勝敗を争っている:競争

  3. 勝敗を争っているが、優劣を競っていない:闘争

  4. 勝敗も優劣も争っていない:スポーツではないもの、興行※

※4.はアイスショーやプロレスを想定しています。

結論として

上記を踏まえて河内氏の①競争②間接的競争かつ間接的闘争③直接的闘争が競技、競争、闘争、興行についてどのようなことを言わんとしているのかを考えてみたい。

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