メモ:『競争闘争理論 サッカーは「競う」べきか「闘う」べきか?』河内一馬/Kazuma Kawauchi著
※読書メモのため、時々書き直します。
Q. 競争闘争理論とは何か
A. サッカーで勝利に至る道筋を体系化するために
スポーツを競争と闘争に分けて分析することで
サッカーの本質を掴みだそうとする理論
Q. この本のポイントは?
①スポーツを人数や相手選手との関係で分類していくと日本勢が成果をあげられていない領域(=直接的団体闘争)があるという問題提起
②日本勢が成果をあげられていない領域固有の特徴をつかみだそうとしたこと
③日本勢がなぜ成果をあげられていないかという点で日本文化論にもなっている
Q.この本のポイントは?
A. 競争とは正しい選択を実行していくゲームであり、闘争とは選択した行動を正解にしていくゲームである。
Q.この本の不足しているところは?
A.サッカーがほかのスポーツと異なる本質的差異を掴みだすことに成功している。これまで日本語に存在しなかった概念を言語化したということは画期的なポイント。
以下2点の精緻化がされていないため、ほかのスポーツ一般にまで適用が難しい。
①闘争・競争の概念分析が例示にとどまり、定義に進んでいない
②分類が手探りのため根拠に乏しい
他スポーツに適用可能な闘争・競争の定義を検討がのぞましい。
著者はサッカーの実務家でもあるためどうしてもサッカーの問題に意識が引っ張られているため広く読まれて議論が展開されることを期待したい。
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追記:上記の不足については本の最後の結びで「本書では、特に「間接的闘争」についてはほとんど言及してこなかった」と著者の河内さん自身が言及しているため、むしろ読者側が引き受けていく開かれた問いになっていると思う。