高度な専門知識による作業の行く末 ~考えることの大切さ~
あらゆる分野において、素晴らしい技術や知識を持った人はたくさんいます。
実際、伝統技術の分野においては、具体的な作品という形において、その素晴らしい技術や知識が大いに反映されています。
ただ、素晴らしい技術や知識を持ちながら、
実社会において仕事ではなく、「作業」だけに従事することで、
ほぼ進歩なく勘違いをする人も多くいます。
例えば、飲食業におけるサービススタッフ。
ホテルやグランメゾンを含むフランス料理店などは花形とされますが、
日本や世界的コンクールで名を馳せた人で、独立後さっぱりどうしているのか分からなくなった・・・
というケースは多々あります。
特にサービススタッフにこのようなケースが散見されます。
これは料理が具体的にお客様に明示できるものであるのに対して、サービスは形がないものであることがほとんどです。
ソムリエの場合は、ワインという実物を提供しますが、これはあくまでも料理とのマリーアジュの提案であって、
ワインだけであれば、ワインショップを含めて購入することはさほど難しくはありません。
加えて、現場のノウハウを含めた知識、技術というものは真面目に取り組んでいれば、
10年も経験すると、ほぼトップクラスの知識・技術は身に付くはずです。
サービスの世界では、現場の最前線は35歳がボーダーラインだと言われています。
その後は?
マネージメントができるかどうかです。
この点において、過去の実績やタイトルなどあまり意味はありません。
数値管理を含めたマネージメントスキルがなければ、組織においては年齢と共に居場所がなくなっていくことでしょう。
コンクールの実績なども、毎年新たなタイトル保持者が出てくるわけですから、
世界一であればまだしも、国内レベルの優勝経験があっても難しいこの世界、入賞程度では価値を維持することは難しいのです。
商業高校の卒業生が取得できる、簿記2級程度の知識はもちろんですが、
「誰かがいないと機能しない組織」というのは意味がありません。
その為には、マニュアルを含めた誰でも対応できる組織作りをできるかどうか!
ということがマネージメントスキルの基本になります。
この点において、最も有効性が高いツールが「How」、「Why」というツールです。
実際、何も考える事なく当たり前のように作業として取り組んできた人は対応できません。
そして、技術や知識に傾倒する傾向がある飲食の世界では、これが顕著にみられます。
これが高度な知識と技術をもった作業に過ぎない顕著な例です。
どんな業種業態においても同じだと思いますが、
あらゆることを当たり前、そういうものだと思わずに、
「何故、こうするのだろうか?」 「どのようにすれば、これはもっと上手くできるのだろうか?」といったことを、
常に考えながら作業をしなければ、自分自身の能力はもちろん、後輩の成長も一定以上は望めません。
年齢を重ね、35歳前後~40歳にかけて、この能力がなければ、
よほど突破力のある個人能力が高くない限り、組織において一定以上のポジションを得ることは難しくなることでしょう。
多くの優秀な料理人やサービスマンの方々がフェドアウトしてしまうことほど、口惜しいことはありません。
どうぞ、常日頃からあらゆることに対して「考える」ということを意識して頂ければと思います。
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