「人権について」 社会正義を考えるnote №7 2020/8/23
前回のブログで、今回の記事は「人権」をトピックとしました
人権は法律でしょうか、法律以上のものでしょうか
ブログ管理人が参考にしているのは、ハーバーマスの指摘です
以下、ハーバーマスの見解です(この書に記載があります)
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カント哲学において人権は法律上のものである
多くの人が人権を道徳上のものだと考えるのは
人権が道徳的内容を持っているからで
人権が国際法上で弱い実効性しかもっていないからだ
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なるほどー!
そう思いました。
尊厳は道徳上のもので、
たしかに、カントは尊厳の根拠を自律におきます
自律は個人の自己規律ですので法律が根源ではないです
自己規律の根源は自己意志です
カントは、法論と徳論つまり、法と道徳で共同体を構想しています
法と道徳は別です
しかし、
道徳を実効性のある法律に含まれるようにしていく
そういった実践が実効性には必要ということ
結局、人権は法律以下でも以上でもなく、法律であるということ
尊厳、道徳を法律で守る
こういうポジショニングをカントはとっていることになります
「世界人権宣言」の成立背景を知るうえでとても参考になるのが、『世界人権宣言の研究』(寿台順誠)です。この書にはハーバーマス同様に強いインパクトを受けました。(ちなみにブログ管理人は「寿台」という珍しい名について、論文公開に向けた筆者校正時に誤記していたのに気づき訂正したことを「寿台」の文字を見るたびに思い出してしまいます(笑))
『世界人権宣言の研究』(今知りましたが、kindle版もあります)では、共産圏、資本主権圏、また、西洋、アジアなど世界中の哲学、思想については意見が異なる論点が解決されえないので、そういったことは除外して、宣言が合意形成されていったことを論及しています。そして、現在になって除外した論点が復活してきていると述べています。最後に人権は「自然権」ではなく「多元型社会正義」によって成立していると主張します(ソーシャルワーク専門職のグローバル定義にある「多様性の尊重」はまさにここにリンクすると思います。さらに「集団的責任」もリンクする)。
次回は、「多元型社会正義による人権」について考えたいと思います
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