見出し画像

簿記・会計知識ゼロから学べる!決算書[超入門]プロローグ

物価上昇がつづくなか、さらなる原材料価格の上昇が見込まれ、仕入れ価格の上昇分を価格転嫁しにくい中小零細企業ほど経営におおきな影響をうけています。そこで、このnoteでは、自社の「決算書」の数字を経営改善のツールとして活用したいけれど、いまひとつ決算書が理解できなくて悩んでいる「中小零細企業の経営者」さんや、決算書の知識を基礎から学びたいと思っている「新人銀行マン」の方々に向けたコンテンツになっています。

なお、ここに掲載する内容は2007年8月に出版しその後絶版となった日本一わかりやすい!「ザ決算書ドリル」を著者自身が加筆修正を加えリメイクしたものです

プロローグ

わたしの友人に顧問税理士事務所に勤務する同級生がいて、自社の決算書のことで過去にこのようなやりとりがありました…。

友人:「それをするには…こんな方法があるよ」
わたし:「知っていたのなら…どうして事前に教えてくれないの?」
友人:「……」
わたし:「……」
友人:「だって…それを事前に教えるのは僕の仕事ではないよ!」

今になると笑える話ですが、税理士さんの仕事とは、経営改善をサポートするコンサルタントとは違い、税務申告書類を作成し税金を計算することが主な仕事だったのですね…。

当時のわたしは、会社の数字を決算ごとみていてくれているのだから、経営を改善するために前もってアドバイスをしてくれるのが税理士さんの仕事だと勝手に思い込んでいたのです…。このことに気づくまでは税理士さんにまかせておけば大丈夫という、わたしの気持ちはまさに「税理士さんまかせ」だったのです…。(※現在は経営コンサルを兼ねた税理士さんや会計事務所さんも多数あります)

そこから、経営者自らが決算書を読み解き、経営改善していく必要性を感じ、独学で決算書を学びはじめました。

実は、中小企業の経営者さんで決算書を理解できている方はそうは多くありません。冒頭でもふれたように「決算書」とは「税務申告書類」であって主たる目的は「税金を計算するもの」です。

ですから、経営者がいきなり「損益計算書」「貸借対照表」をみても理解できるようには書かれていません。すご~く当りまえのことかもしれませんが、はじめにこの事実を知ることが大事なことだとわたしは思います。

開き直るわけではありませんが「すこし気持ちが楽になってきませんか?」税務申告書類ですから、どんな立派な経営者さんだって…はじめからスラスラと理解できた人なんかひとりもいないはずですよ!

わたしの書籍を読んで下さった公認会計士さんが書評でこのようにいっていました。「税理士、会計士は簿記や会計を徹底的に学んだ結果として決算書が理解できるようになった!」…と。

しかし、経営者さんで簿記や会計を徹底的に学んでこられた方は少数派なんです。実はわたしも「簿記・会計」を学んで決算書が理解できるようになったわけではありません。

最初は少しずつ断片的な数字の意味を理解していき改善策としての打ち手を考え即実行社員のみなさんにも数字の意味具体的な改善方法を教える。つねにこれを繰り返していくうちに、結果として自分自身も決算書が理解できるようになりました。

そこで、過去のわたしと同じ悩みを抱えているあなたのために、以前2日間の日程で経営者さん向けに開催していた「マンツーマン決算書セミナー」の内容をシェアしたいと思います。決算書はどんなに時間を掛けても「学び方」を間違えてしまうとなかなか理解できるようにはなりません。そのため、あなたがスムーズに学べるよう、そして、即実戦で役立てられるように、決算書を理解していく上でのポイントとなる「演習問題」を多数掲載してあります。

本内容を学ばれた後には、今までの断片的な知識がつながりをみせ「決算書」が体系的に理解できるようになり、自社の経営改善に必要な発想がきっと湧いてくるようになると思います…。

なお、各sectionに進む前に、自社の3期~5期分の決算書(損益計算書・貸借対照表)をご用意ください。「決算書の数字はペンと電卓を使って自分で計算するとより理解が深まります!

※section1「損益計算書」って何?section2「貸借対照表」って何?基礎編は無料でお読みいただけます。section3 貸借対照表は左を攻めて右へいく! は有料になりますので予めご了承ください。

section1「損益計算書」って何?

目次
①売上原価とは
売上原価を図にしてみると…/売上原価の算出方法/売上総利益って何だ?/粗利がいい商売とは/売上と粗利の客観的な関係とは/期首の在庫より期末の在庫が増えると利益が出る?/在庫をチェックする!/棚卸資産(在庫)回転率を計算する/変動費って何?固定費って何?
②販売費及び一般管理費
ダントツに突出している人件費!/人件費の目安/租税公課とは/減価償却って何だろう?/固定資産とは/減価償却の対象となるもの/減価償却の計算方法は?/減価償却の仕組みを考えてみましょう!/減価償却費は現金の支出がない費用/減価償却しないとどうなるの?/引当金とは/営業利益とは/本業で儲ける力の度合い…売上高営業利益率
③営業外利益とは
本業以外で重要な財務活動とは?
④営業外費用とは
借入金の金利をチェックする/支払利息の負担度合い/インタレスト・カバレッジ・レシオとは…/経常利益とは/本業で儲けたの?本業以外で儲けたの?
⑤特別利益⑥特別損失
税引前当期純利益とは
⑦法人税、住民税及び事業税
当期純利益とは/お金の流れと利益の流れ
essential point 

section2「貸借対照表」って何?基礎編

目次
貸借対照表を単純化すると…/右側の資本が大きく2つに変化する/大きな数字から小さな数字へ!/3つの大きな数字を図で表現してみましょう/自己資本比率に捕らわれなくてもいい!/貸借対照表は最終的に5つの箱に変化する/流動って…固定って何?/5つの数字を図で表現してみましょう/短期は短期…長期は長期/流動資産VS流動負債…それって教科書どおりでいいの?/固定資産VS「固定負債+株主資本」/流動比率VS固定長期適合率…は裏表の関係!/資産は現金化しやすい順に並んでいる?
essential point 

section3 貸借対照表は左を攻めて右へいく!

目次
①流動資産
現金に始まり…現金に終わる!/毎月…どれくらいのお金が必要になるの?/現金及び預金の水準…/手元資金をもっと厚くしたい!/売上が立っていても…現金化されていない!受取手形・売掛金/売掛債権の中身を整理する/現金化できる在庫…現金化できない在庫!/商品の在庫日数を減らす/在庫(棚卸資産)粉飾決算後のツケ…/雑勘定と実態バランスシート
②固定資産
資金回収できるもの…できないもの 建物・土地/現在の事業に本当に必要な固定資産?/みせかけの資産を整理すると…
③流動負債
売掛債権VS買掛債務/支払いと回収の期間差を縮める!/リスクが高い支払手形!/手形をなくしていく!/遅れて入ってくる現金…短期借入金/未だ支払っていない「お金」と「費用」未払金、未払費用/ここでつまづくと…後がない!/借入金の返済原資…
④固定負債
設備投資のお金…長期借入金/減価償却費+税引後当期純利益…借入金の返済原資になるの?/設備投資シミュレーション/借入金って多いの…少ないの?
⑤株主資本
減価償却からみた貸借と損益のつながり/ここに現金があるわけではない!…株主資本/赤字が債務超過の原因…利益剰余金の重要性!/損益から貸借へのパイプライン…繰越利益剰余金/節税すると…繰越利益剰余金が減る!?/今まで蓄積された利益…別途積立金/利益のゆくえ…/利益は…色々な科目に変化する/お金の流れは貸借を2期比較するとよくわかる!/中小企業のモノサシ
essential point 
エピローグ

いいなと思ったら応援しよう!