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マツグロヒョウモンの観察

マツグロヒョウモン(松黒豹紋、学名:Argyreus hyperbius)は、タテハチョウ科に属する蝶の一種です。日本では、特に関東以西の地域で広く見られることがあります。以下はマツグロヒョウモンの特徴や生態に関する詳しい情報です。

1. 外観の特徴
• 成虫の外観:翅の表側はオレンジ色を基調とし、黒い斑点がちりばめられた模様をしています。翅の裏側は灰褐色や白っぽい色合いで、複雑な模様が描かれています。この模様は保護色となり、地面にとまった際にカモフラージュ効果を持ちます。
• 大きさ:翅を広げたときの大きさは約60mmから80mm程度で、やや大型の蝶です。

2. 生態と分布
• 分布:日本全土に分布しており、特に平地から山地にかけての草地や公園、庭先などで見られます。また、アジア各地(中国、インド、インドネシアなど)にも広く分布しています。
• 食草:幼虫は主にスミレ属(Viola)の植物を食べます。特にニオイスミレやタチツボスミレが好まれます。
• 生態:マツグロヒョウモンは年に複数回(多くは年2回から3回)の発生があり、春から秋にかけて活動します。成虫は花の蜜を吸うため、花が咲いている場所でよく見られます。

3. 生活史
• 卵:産卵はスミレ属の植物の近くの草や葉の裏に行われます。卵は直径約1mmで、淡黄色から橙黄色です。
• 幼虫:孵化した幼虫は黒褐色で、全身に棘があり、特に背中の中央部には赤い斑点があります。成長に伴い、脱皮を繰り返しながら大きくなります。
• 蛹(さなぎ):幼虫は成長すると、植物の茎や葉に吊るし状に蛹化します。蛹は全体的に灰褐色で、金色の斑点があるのが特徴です。
• 成虫:羽化した成虫は約10日から20日間の寿命があり、その間に交尾と産卵を行います。

4. 名前の由来
• 「マツグロヒョウモン」**という名前は、翅の表側のオレンジと黒の斑点模様が、ヒョウの毛皮の模様に似ていることから名付けられました。「マツグロ」は、「松のように黒い」という意味ではなく、単なる名前の一部です。

5. 保護状況
• マツグロヒョウモンは、日本国内では広く見られるため、特に絶滅危惧種には指定されていません。しかし、都市化や環境の変化によって、生息地が減少することが懸念されています。
マツグロヒョウモンは、都市部の公園や庭先でも比較的よく見かける蝶で、その美しい模様からも人気があります。スミレの花が咲いている場所で観察すると見つけやすいです。

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