年商5億円以下でおこりやすい「新規事業をやりたくなってしまう」という心

年商5億円以下の中小企業における新規事業への挑戦
中小企業の成長には新規事業への挑戦が不可欠です。が、特に年商5億円以下の企業では、十分な準備や検討なしに新規事業をスタートしがちです。
以下に、そうした企業でよく見られる3つのケースとその対策について解説します。


1. 「トレンド型新規事業」

最新のテクノロジーやビジネスモデルに飛びつきたくなる傾向です。AI、SDGs、サブスクリプションなど、話題のキーワードに触発されて新規事業を始めようとします。
特徴:

  • 業界トレンドや競合他社の動向に過敏に反応

  • 自社の強みや経営資源との適合性を十分に検討せず

  • 準備不足のまま新事業に着手しがち

対策:
新しい技術やビジネスモデルに注目することは重要ですが、自社の強みとの相乗効果を慎重に検討することが大切です。トレンドを追うだけでなく、顧客ニーズと自社の強みを結びつける視点が必要です。また、新規事業に取り組む前に、十分な市場調査と事業計画の策定を行いましょう。
例えば、AIを活用したサービスを始める前に、自社のデータ資産や技術力を評価し、顧客にどのような価値を提供できるか具体的に検討することが重要です。また、SDGsに関連した事業を展開する場合も、自社の既存事業との関連性や、実現可能性を十分に検討する必要があります。

2. 「既存事業不振による焦り型展開」

主力事業の成長が鈍化したり、業績が低迷したりすると、新規事業に活路を見出そうとする傾向です。
特徴:

  • 既存事業の立て直しよりも新規事業に期待を寄せる

  • 短期的な成果を求めるあまり、拙速な判断をしがち

  • 経営資源の分散によって本業にも悪影響が出る可能性

対策:
まずは既存事業の問題点を徹底的に分析し、改善の余地がないか検討しましょう。新規事業を検討する場合も、既存事業とのシナジー効果を重視し、段階的に取り組むことが重要です。(補助金や助成金の活用も検討)
例えば、事業再構築補助金は、新分野展開や業態転換、事業転換などの取り組みを支援しており、最大1億円の補助を受けられる可能性があります。これらの支援を活用することで、リスクを軽減しながら新規事業に取り組むことができます。既存事業の立て直しと新規事業の展開を並行して行う場合は、経営資源の配分を慎重に行う必要があります。例えば、既存事業の効率化を図りつつ、その過程で得られた知見や技術を新規事業に活かすといった方法が考えられます。

3. 「経営者の個人的興味優先型事業」

経営者の個人的な興味や趣味から、突如として新規事業を始めようとする傾向です。
特徴:

  • 市場ニーズや事業性の検証が不十分

  • 従業員の理解や協力が得られにくい

  • 経営資源の無駄遣いにつながる可能性

対策:
経営者の直感や経験は貴重ですが、客観的な事業性評価が不可欠です。外部の専門家や顧問の意見を積極的に取り入れ、社内でも十分な議論を行いましょう。また、小規模事業者持続化補助金などを活用し、市場調査や販路開拓の費用を抑えることも検討しましょう。経営者の興味を活かしつつ、市場ニーズとのマッチングを慎重に行うことで、独自性のある事業を生み出せる可能性があります。例えば、経営者の趣味である健康食品に関する知識を活かし、既存の食品製造業から健康食品市場への参入を図るなど、個人的興味と事業性のバランスを取ることが重要です。

新規事業成功のためのポイント

  1. 市場調査の徹底:新規事業を始める前に、十分な市場調査を行いましょう。競合分析、顧客ニーズの把握、市場規模の推定などを通じて、事業の実現可能性を検証します。

  2. 段階的なアプローチ:一気に大規模な投資を行うのではなく、小規模なテストマーケティングから始め、徐々に規模を拡大していく方法を検討しましょう。

  3. 既存事業とのシナジー:新規事業は既存事業と全く異なる分野ではなく、既存の経営資源や顧客基盤を活用できる分野を選ぶことで、成功の確率が高まります。

  4. 従業員の巻き込み:新規事業の計画段階から従業員を巻き込み、アイデアを募集したり、意見を聞いたりすることで、全社的な取り組みとして推進できます。

  5. 外部リソースの活用:自社だけでなく、他社との提携や外部専門家の助言を積極的に取り入れることで、不足するリソースを補完できます。

まとめ

新規事業への挑戦は中小企業の成長に不可欠ですが、慎重な計画と準備が必要です。自社の強みを活かし、市場ニーズに合致した事業展開を心がけましょう。また、国や自治体の支援制度を積極的に活用し、リスクを軽減しながら新規事業に取り組むことが重要です。新規事業の成功には、既存事業とのバランスや、段階的な展開が鍵となります。また自社の状況に合わせた戦略を立てることも大切です。
最後に、新規事業に取り組む際は、従業員の理解と協力を得て、全社一丸となって取り組むことで、新規事業成功の可能性が高めます。
慎重かつ大胆な挑戦が、中小企業の未来を切り開く鍵となると思います!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・以上の文では、
年商5億円以下の会社が新規事業を行うにあたっての話しを載せていますが、そもそもやらずに本業一本を大きく育てることで、仕組みと組織と資金を持って、年商〇〇億円を超えてから行うという判断も必要です。私自身も新規事業を行いたくなるタイプですし、始めてしまうタイプなので”その心”も良く分かりますが。個人的には、やむを得ない場合を除いて基本は推奨しない派です。この辺りは、いつかお伝えできればと思います。
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※新規事業と新商品の違い/新規事業は新しいビジネスモデルや市場を創造すること。新商品は既存の枠組みで商品ラインナップを拡充するもの。新規事業は収益構造の変革を伴います。 ご注意ください

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