こころのおはなし
ある時、かかりつけ内科に行った時。
浮かない顔をしてたうちに先生が言った。
「(こころが)しんどいの?」
虫の話が出ます。苦手な人はご注意ください。
時は遡り2023.6
持病のベーチェット病で大腸カメラをすることになったんよね。
大腸カメラする時って前日の夜に下剤を飲んどくんじゃけどさ、当日は9時前に病院におらんといけんし、その為には家を8時前に出る必要があって、更にその準備で⋯
ってことで言われた通りの時間に下剤を飲んで早寝しようと思ったんよね。それが22時ぐらいだったかな。
スっと眠りについて、ハッと目が覚めた。
なんか
なんか腕におる
夜中の3時。近隣の迷惑になる、声は出せん。
一人暮らしで誰もおらん。
腕には黒くてデカイ夏のあいつがカサカサ。
しかもよりによって下剤が効いてきやがった。
とりあえず腕を振り払う。いや待て。越したばっかで殺虫剤無いぞ。くそっ下剤が⋯お腹が⋯意識が⋯
腹痛で迷走神経反射が起こる中、
腕から振り払ったあいつどうする、
棚の下に逃げ込んだのは見た。
いやお腹やばいんだが。腹痛が⋯出そう⋯
でもあいつが⋯⋯
逃げた棚を凝視しながら数秒後、ヤツが壁を這い出した。稀に見るデカさ。越冬した個体か?
そんなこと考えとる場合じゃない!
どーする、どー⋯⋯っ!!!!!?????
目に飛び込んできたのはクイックルワイパーフローリングサイズ
っこれだァァ!!
と、ヤツめがけて振りかぶり一発で撃退。
したのはいいけど⋯どうするんこれ。
なんか掴むもの⋯あぁ腹痛がやばい
やばいけどこれそのままにするのも気持ちが悪い
ワイパーの先についたやつをビニール袋にいれて縛って、トイレにダッシュ。
無事に両方とも事なきを得た訳なんだけど、この時に変に緊張や恐怖なんかを声に出さず押し殺して我慢したせいでトラウマ化してしまったんよね。
また出たらどうしよう、あの隙間が怖いって思考から始まって、
難聴のせいで少しの物音がしても発生源の位置が分からなくて、それが余計に恐怖心を煽ってしまって。
音の発生源を特定しないと落ち着かなくなってしまって、毎日怯えるようになってった。
まるで同じビルに凶悪犯でも隠れているかのような恐怖感が常にあって、そこから強迫性障害に。
家の僅かな隙間すら怖い。ラックの裏や棚の中は開けないし見れないし。窓なんか開けられん。ドアポストはマステで隙間を埋めてありとあらゆる隙間を塞いでった。
ほんとありとあらゆる対策をした。毒餌とかね。
さらにはこの恐怖感から逃げたくなって希死念慮がきてうつ状態。ご飯が食べられなくなって自炊もせず、ギリギリ食べて1日茶碗蒸し1つとか。
ご飯って匂いがするじゃん?それでヤツらを呼んでしまうって思考に陥ってたんよね。ゴミすら出せなくなった。ごみ捨てじゃないよ?食べた後のお皿やゴミを生み出すことすら怖かった。髪の毛すら許さなかった。
極端に神経が尖りきってたのが今なら自覚できる。
この辺りで内科いって、しんどそうだよどうしたのって聞かれて
死にたいんです。でも自分の思い通りに行動したらその後に残された人達が自分らを責めてしまうの分かりきってるから踏みとどまってる。そんな思いをさせるのは違う。けどしんどいんです。
って打ち明けた。
そしたら先生が受話器を持って電話をかけながら、
今から心療内科に予約いれるからね。病院から予約したほうがちょっと早く診てもらえる。行かなきゃダメだよいつも笑って元気そうに見えるから⋯
って評判がいいと噂の心療内科に予約をいれてくれた。
虫なんてそこらじゅうにいるし、苦手とか怖いとか嫌な思いをしてるヒトってたくさんいると思うんだけど。
分かってるんだけど。
もうどーにもならんかった。
心療内科の先生は、
持病の薬、新薬への挑戦、引越しによる環境の変化、恐怖体験が複雑に重なってしまったんだろうね、って。
一人でいるのはよくないから実家に帰れる?って。
ベーチェット病が分かった時もそうだったけど、ああ、この状態をしんどいと口に出してもいいんだなって。自分を認めてもらうじゃないけど、どこか安心したのを覚えてる。
未だに体感幻覚で虫が這うような感覚は消えとらんし、虫に遭遇すると体が切り裂かれるような痛みの幻覚があるけど、薬を飲み続けんでも大丈夫なくらいまでには落ち着いた。怖いけど。
人の心ってほんと不思議よね。
いやー我慢はよくないよ。ほんと。
しんどい時はしんどいって声に出そうね。
そんなことで?とか、こんなことで?とか思わんでいいから。
後から後から酷くなって尾を引く前に声に出そ?
いやこれほんまに。
新居2ヶ月ちょいしか住んでないけど、たまに帰ってメンテナンスはしてる。帰るのめっちゃ勇気いるけど。
また自宅で過ごせる日がくるように。