マイルド引きこもりが10年振りくらいにボルダリング をしたら
わたしは基本週の半分は家から出ない。一歩も。
それが数年続いているけれども、かつてはわたしもアクティブな時期があった。
今の自分と果たして同じ人物なのか誰が見ても信じられないだろうし自分ですらまだ信じていないが、東奔西走し充実ここに極まれりといった週末を過ごしていた。
それはもう土曜の朝はボルダリング 、午後はダンススクールを2コマ受け、さらにそのあとスポーツクラブのダンスプログラムに馳せ参じ、次ぐ
日曜はパーソナルトレーニングのためおしゃれな人ばかりでびびりながらも南青山まで出向き、その後はまたしてもスポーツクラブのダンスプログラムにとひた走った。
輝かしい20代だった。(全部1人で行ってたけど)
それがどうだ。
この間の夏休みは5日間一歩も外に出ることなく過ごした。
コロナ禍でもなんの苦痛もなかったほどに、一所懸命に引きこもり生活に精を出していた。
そんなわたしが10年振りくらいにボルダリング をすることになった。
いつの間にか異動してきた職場の人に、ボルダリング してたんでしょ?と10年前の入社面接でしかしてない話が言い伝えのように脈々と語り継がれているようで、事務所の近くにあるから行ってみないかと声をかけられた。
自分でもびっくりしているが、その時はなんか軽率に行きたいと思った。
一緒に行くはずだった同僚が事務所と自宅の行き来しかしてないのになぜか歩けなくなるほどの負傷を負いリタイアしたので、当日はいつの間にか異動してきた人と二人になってしまった。
ド級の人見知りのわたしは正直リスケしたい気持ちでいっぱいだったが、気付いたらなぜかせっかくだから行くと言ってしまっていた。
もう後には引けぬところまで来たので行くしかなかった。
あとで聞いたら先方もまさかわたし一人で乗り込んでくるとは思わなかったらしい。
そりゃそうだよね。
職場ではとにかく目立たぬよう常に黒い服を身に纏っているほど閉じこもったわたししかお見せしてないもんね。
その時の心のままに生きているため自分でも自分の行動が予測できない。他人からしたら驚きの連続だと思う。
定時になった頃にはもう家に帰りたい気持ちでいっぱいだったが鉛のように思い心と足を引きずってどうにかジムまで行った。
週数回の出社時以外は徹底して引きこもりに励んだことで、せっせと蓄えた脂肪とせっせと削ぎ落とされた筋肉ではぼてぼてと這い上がることしかできなかった。
たった一度のトライですでに腕に来て、体力の衰え具合に震えた。
一番簡単なコースで苦労してるやつなんかいなかったし、空中を歩いてるような玄人もいて、恥ずかしくて逃げ出したかったが、それでも行ってよかった。
下手っぴで気にしているのは自分だけだし、知らない人でもアドバイスや応援してくれるカルチャーのスポーツなので、やっぱり楽しかった。
一番簡単なところしかできなかったけど、勇気出してよかった。
今度は負傷から復帰を果たした同僚とリベンジしたい。