【第2回公判】現役弁護士が刑事裁判の文書を破って起訴された事件(被告人に寄り添うあまり自身が被告人になっちゃった弁護士さん)
初公判で被告人中道弁護士が罪状認否を「留保」していた「現役弁護士が刑事裁判の文書を破って起訴された事件」の第2回公判が、12月25日午後13時半から大阪地方裁判所503号法廷で開廷しました
初公判では起訴状の朗読から、留保された罪状認否、検察側の冒頭陳述が読み上げられ、起訴の内容や犯行に至る経緯が明らかにされました。詳しくは初公判記事をご覧ください
第2回公判前、被告人中道弁護士は下記のようにXに自身の苦悩をポスト。一体罪状認否はどのように答えられるのか。また今回から交代になった新裁判長はどのような訴訟指揮をされるのか。非常に気になりつつ、公判傍聴に臨みました
・法廷録音Tシャツで登場
開廷時間前、法廷前には初公判時と同様に多くの傍聴人が行列。今回も在宅起訴中の被告人中道弁護士は、開廷20分ほど前に姿を現しました。今回はセーターにスラックス姿という、ちょっときれいめのスタイルで安堵。するもすぐに、「忘れ物した」と来た廊下を引き返して行かれました。そして開廷5分ほど前。なんと今度は職員さん達が利用する書記官室に繋がった裏側の通路から登場。たまたまその裏側通路前にいたわたしは最初に見たのです。「あのTシャツ」に着替えていることを!! そのTシャツとはこちら
参考記事↓
それは、Tシャツのおもて側には「法廷録音」の文字が描かれ、背中側には公文書に関する曲の歌詞のような文章が描かれたTシャツ。中道弁護士を支援する弁護士さんが作られて、クリスマスにプレゼントしてくださったそう。オリジナルの一品ものです。そして先日それを受け取られた場面をたまたま目撃していた私は、公判で着用するか迷ってる中道弁護士の姿を拝見していたので、「やはり着たのか~!!」とびっくり。新たな論争が起こるのではないかとヒヤヒヤするわたしを尻目に、開廷時間が迫っている被告人中道弁護士は、弁護人らにせかされながら法廷へと入っていかれました
・第2回公判開廷
今回も開廷時間直前に法廷の扉が開き、開いたと同時に数席残して傍聴席が埋まりました。そして程なく開廷。初公判と同じく、弁護人席に弁護人と並んで座る被告人中道弁護士。初公判時の裁判長は先月に別刑事部へ異動となり、第2回公判からは新たな裁判長に交代されました。この新裁判長、「被告人は前に来なさい」と普段は被告人に対して命令口調ですが、初公判調書を読まれて了承されているのか、今回そのような指示はなく、被告人中道弁護士は当然のように、初公判時と同様弁護人席に座ったまま進行しました
・法廷録音許可申請
今回も法廷録音許可申請もしくは、裁判所の録音を聴取させてほしいという代替処置の申請が事前に提出されていたそうで、そちらの可否から入りました。しかし、新裁判長も不許可との判断。主任弁護人が今後調書を入念に取ってもらうよう、要望を出します。ところで主任弁護人は、最近殺人罪で無期懲役求刑の被告人の弁護をして無罪判決を獲った有能な方。無期懲役を覆した方が、公用文書毀棄で適正に手続きを進めるよう求めている姿は、傍聴人としては聴き応えがあります。漏れなく被告人中道弁護士からも「弁護士にも録音の確認の機会を与えるべき」と異議が出ますが棄却されました
・Tシャツの文字に特段の意味はあるのか
ここから審理開始。まずは裁判長が交代したので更新の手続き。そして最初に裁判長から来ました、この質問
「やっぱり気づいたんだ!」と驚くとともに、「意味はない」と判断することでTシャツを脱がせることもなく、訴訟を進める裁判長の指揮に「そうきたか!」と唸りました。これには被告人中道弁護士も後に「そう来るとは思わなかった」とおっしゃっていて、完敗と言った感じでした
・起訴状朗読~認否
ここで更新手続きの一環で、再度起訴状が検察官から朗読(それも初公判記事で)。そして以下被告人中道弁護士の罪状認否です
はい、今回も認否留保でした。ただ少し法的主張をされるのかなと方向性は感じました。もしかして最後まで認否留保されるんじゃ、と若干思ったり
・再び起訴状の送達について
初公判で弁護側が主張した「起訴状を受け取っていないので公訴棄却を求める」という主張について(こちらも初公判記事参照)、裁判長の職権で証拠を取調べるとこのとで、第一回公判調書が裁判長によって読み上げられました。意見を求められた被告人中道弁護士が「裁判長が変わっても公訴棄却はしないのか」と尋ね、「変わらない」との判断に再び異議を出し棄却。なぜまた調書が読み上げられたのかよくわからなかったのですが、後ほど中道弁護士に異議の意図を尋ねたところ、「一応異議を言わないと認めたことになるのがなんか嫌」とのことでした
・まさかの防カメ映像、大モニタで再生されず
弁護側から証拠意見が出され、不同意や留保が多かったものの、弁護側が同意した引き裂かれた電話聴取書のコピーと、犯行現場の防犯カメラの動画が同意され、再生されることに。時間は人物が写ってる20分。そのうち犯行状況は40秒。角度違いで2本分映像があるとのこと。それは詳しく見られるなと思ったところ!! 裁判所内の設備が映っているため庁舎管理権を理由に、裁判長は手元の小モニタのみでの再生を許可され法廷壁面の大モニタでは再生されなかったのです!!
弁護人も被告人も何度も、あらゆる角度から「傍聴に来てる人が見られない」と異議を出しますが、結局覆らず。「えー、きょうそれが見に来たのに!?」とわたしはがっかり。しかも冬休みに入ったため小学生の子どもも傍聴に来ていたので、映像が流れないとなると「何が裁かれているか視覚的にわからないじゃない!」と大変残念でした
他の地方裁判所では「(証拠調べで)裁判所内の防犯カメラの映像が流れて見た」という話を聞きますので、今回も裁判所内の映像を流してもらえるものだと思っていました。しかも一般の人も入れる空間とのことなので、それなら今度入って自分の目で現場確認してこようかな(被告人に再現もしてもらいたいところ)
再生がはじまって最初は弁護士中道被告人が「映像を解説するのはどうか」と提案したり、弁護人席のモニタの角度を傍聴席側に向けるも、「これじゃ自分たちが見られない!」と気づいて戻したり、傍聴人に映像を見せられないかいろいろ試行錯誤していました。その努力も空しく音声のない映像が手元モニタのみで再生され、傍聴人はその手元モニタを眺めあーだーこーだ話してる弁護人と被告人をただ観察するという時間が過ぎました。そして1本目が終わり、2本目は犯行状況の40秒のみを再生して動画再生は終了。途中、小学生の子ども達はとっくに席を立って法廷を出て行ってました
・原本じゃないんかい!
そして「引き裂かれた電話聴取書」の証拠調べ。コピーが書画カメラで法廷の左右壁面にある大モニタに表示されましたが、表示された聴取書を見て思ったことは「どこが破れてるの!?」
どうやら、切り裂かれたあと合わせて、それをコピーしたものなので、破れてる箇所が全く分からないのです!
裁判長もさすがに「破り具合がわからないから、現物を改めて証拠請求するように」と検察官に促しておられ、被告人も「むしろ適切」とかっこ良く返答されてました
破ったこと自体が起訴事実、というのは分かるけれど、傍聴人の心証としては、「くっつけて問題なく読めるんだったらもういんじゃない?」と思うような証拠。原本を見られると思ってたので、なんで最初から原本じゃないんだ!? と疑問でした
・将棋の試合を観戦してるような裁判傍聴
そして次回期日打ち合わせへ。検察側は電話聴取書を作成した書記官と、犯行時現場にいた書記官の証人請求を検討してるとのことで、期日外に請求決定するかと裁判官から問われましたが、弁護側は「公判期日にしてほしい」とすべて公の場ですることを希望され、次回期日で行われることになりました
個人的には書記官さんの証人尋問をぜひ聴いてみたいです。普段書記官として裁判に立ち会われる立場で、自身が証人になった場合どのように受け答えをされるのか。裁判傍聴人としては、証言内容もさることながら、その辺りに興味あり
そしてこの公判は、始終、裁判官も弁護側も合議し合い、長ければ5分くらい合議して判断したりと、(詳しくはないですが)将棋の試合のように両者熟考されることもあれば、間髪入れず異議を出されたりと、傍聴していて息を飲むことの多いスリリングな展開の公判です。多数来られている弁護士さん達の見解もぜひ伺ってみたい
そんな中道弁護士の公用文書毀棄の公判に興味を持っていただければ、下記の初公判記事もご覧ください
中道弁護士が法廷録音を申請する理由を知りたい方はこちらをご覧ください
中道弁護士が、法廷録音を不許可とした一審判決を不服として控訴した高裁判断はこちらをご覧ください