アウェイ アンド ホーム
関西にいた頃、オートバイは冬場は乗らないつもりだったので、秋になると自宅まで乗って帰っていた。
その年も11月にそろそろ家に戻そうと、金曜日に午前で仕事を切り上げて、午後からオートバイで帰省した。
多分アパートを出たのは2時を過ぎていた。名神高速~東名に入り、浜名湖のパーキングに寄ったのは4時ぐらいだったと思う。
浜名湖は琵琶湖ともまた違った感じでいいなと思いながらコーヒーを飲んでパーキングを出た。
静岡は長い。嫌になるぐらい長い。“静岡もういいよ“そう思いながらいくつかトンネルを超えたら不意打ちのように富士山が現れた。
「おー富士山だ。」
声が出た。太陽は傾き始めているけれど空気の澄んだ空をバックに堂々とそこにいた。
ああ、帰ってきたな。
もちろんウチまではまだまだ全然遠いけれど、帰ってきた。だって富士山が見えるんだもの。
富士山ただいま。
関西では見られなかった富士山が見えただけでこの安心感。
富士山が見えたからもうこちらのターン。
うまくは説明できないけど、やっぱり富士山はいい。
関西の生活が嫌なわけではなかったけど、頑張ったご褒美みたいだった。
やがて富士山が見えなくなる頃には標識に馴染みの地名が出始めて
さて、もう一踏ん張り