乃木坂46時間TVを45時間40分観た、過激派女ヲタの喜怒哀楽が暴走した話
「もしもし……あのさ、今それスマホで喋ってるよね。ちょっとPC通話に切り替えて。あの、あれね。画面ありでね。ちょい、メシ食おう」
昨晩、2時過ぎの電話である。繰り返す。深夜2時過ぎである。
電話の相手は最近なぜかちょこちょこnoteで紹介している過激派の女性乃木ヲタだ。ちなみに本職は映像制作会社の編集者で、なんかよく知らんがいろんな番組をつくっている。以下の記事でも紹介した。私が昔、某アイドル雑誌で書いていたころに知り合った友だちだ。
彼女はかつて大園桃子のために、一回のイベントで80万円ほど課金した猛っ者猛者の猛者。大園桃子卒業のショックでダウナー入りすぎて体調がおかしくなり、なぜか身に覚えのない"つわり"に襲われたという過去を持つ。「胃が出るかと思った。カエルみたいに。へへへ」とげっそりした顔で笑っていた。
ちなみにそんな辛い過去も何処へやら。今は同じく乃木坂46の筒井あやめちゃんを推しており、先日「あやめちゃんの魅力教えてよ」と軽々しく聞いてみたら鬼長文ラインがきた。
そんな彼女から電話があった。いや話題はもちろん分かっている。「乃木坂46時間TV」である。
2月21日〜23日まで、乃木坂ちゃんたちは46時間ぶっ通しで生放送をしていた。 おそらく、その内容がよかったのだろう。で、筒井あやめちゃんの素晴らしさを誰かに喋りたくなったのだろう。
いったんスマホ通話を切ってPCでLINEを立ち上げる。ビデオ通話ボタンを押すと、すぐに応答があり、画面の向こうにモンスターエナジーを持った髪の毛ボサボサの乃木ヲタがいた。もうなんか、やる気に満ち溢れた貞子みたいな奴がいた。
そんな彼女の話を聞いていて非常に楽しかったので、ちょっと今回は、ほぼ無編集で深夜2時のヲタトークを紹介させてほしい。
乃木坂46時間TVを45時間40分観ていた女の「412枚フォルダ」
乃:「おつ〜」
私:「うーい。どうしたん? 髪、やばいよ。髪」
乃:「ほぼ寝てなくて風呂も入ってないからさ。だって乃木坂46時間TVあったし。なんか終わってからも眠れなくて。あの徹夜ゆえの躁鬱リピートが今8週目くらいです」
私:「嘘やん。ぜ、全部見たん? 46時間?」
乃「いやメンバーがパジャマで人狼してるとこで20分くらい寝た。マジ雰囲気がぬるすぎて寝た。マジでびっくりして。自分でも急にオチたからスナイパーに撃たれたかと思ったわ」
私:「20分!? やっば。45時間40分観たんだ。イカれてんじゃん」
乃:「いや、だってたぶんこれ、アーカイブ残んないじゃん。そうなるともう、己の眼球と脳のメモリしかないから。濃厚に焼き付けないと」
私:「あぁ。なるほど」
乃:「あやめちゃんがやばくてさ。かわいいから発表します。あやめちゃん映ってるとこ、全部スマホで撮ったんだわ。観て(スマホのカメラロールスクロール)」
私:「(画面越しに確認)……いや、やばいやばいやばい。何枚あんのそれ。
乃:「えーっとね、412枚あります」
私:「(笑)。おもろいからスクショで撮って送って」
乃:「嫌に決まってんだろ。誰にも見せねぇわこれは。あやめちゃんがほんとにすごくてさ。どの瞬間を撮っても顔面が崩れてないっていう。これエグない? もうぜんぶ100で可愛いんだけど。お人形さんなんだけど〜(カメラロールちらー)」
私:「やっば。マジ可愛いじゃんぜんぶ。怖。自分と同じ人とは思えん。神なんていねぇなこりゃ。怖すぎるんやけどコレなに」
乃:「でね。これも観てほしい。観て、与田ちゃん! 与田ちゃんがね。「逃げ水」をアコギで弾き語りしてて。もう3期のメンバーが思い出(※)を掘り返して泣いちゃってて。もうギター全っ然下手なの! でも感動したわ」
(※)逃げ水とは3期のメンバーである大園桃子と与田祐希が、加入直後ながらWセンターをした曲である。
私:「あ、与田ちゃん。与田ちゃんかわいいよね〜。ギター弾けるんや」
乃:「いやそこはどうでもいいんだわ。もはや、ほぼ弾けてなかったんだわ。地獄のアルペジオをもう。でもいいの。技術とかじゃないから。それより服見て服。Philme(大園桃子が立ち上げたブランド)なのよ。同期の絆感じるわ〜。そして今日の私を見てください! ほらPhilmeなのよ〜」
私:「あ、買ったんだ。服、かわいいね」
乃:「そう! 私じゃなくていい。服がかわいいのよ〜。私じゃなくていい。それは分かってるから。桃子のセンスがかわいい。それでいいんです。最高なんです。ブランド立ち上げてくれたマジでありがとう。おかげで、まだまだ推せるよ。最近、YouTubeも始めてさ。偉いよ桃子ほんと。ほんと偉い。丁寧な暮らしがんばってて偉い!」
賛否両論すぎた新曲と新センター・中西アルノちゃんの話に
私:「で、45時間40分のなかでどこが一番良かったん?」
乃:「いや〜、そりゃもう与田ちゃん弾き語りでしょう。Philme出ちゃったから。ただこれがね……。楽しいだけじゃなかったのよ。45時間20分は楽しかったんだけど、このラスト20分。これが衝撃よ。新曲発表だったんだけど」
私:「あぁ『Actuary…』ね。なんかSNS燃えてたね。あれなんなの?」
乃:「まず新センターが5期生の中西アルノちゃんなんだけど、これが事前にリークされてたのよね。流石にデマだろ〜つって笑ってたんだけど、ガチだったんよね。運営は何をしてんだっていう」
私:「たしかに……。それはファンとしてはキレ案件かもな。でも中西アルノちゃん、歌死ぬほどうまない? Salyuみたいな秋元康が手に負えなくて小林武史に出会うルートもあったんじゃないかってくらいうまかった」
乃:「それ。マジでアルノちゃん、超歌うまいのよ。みんな言ってたけど、カメラも中西アルノちゃんにフォーカスして撮ってた。これもいいのよ。存在感あるんだから。でもSNSであった通り、私は「欅っぽさ」に我慢できなかったのね」
私:「『欅っぽさ』ってなによ」
乃:「これはもう5年以上前の「サイレントマジョリティー」からずっと続いているものだと思うんだけど。欅って初期の「笑わない」っていうイメージがあるじゃん? で、ダンスも王道じゃなくて「集団コンテンポラリーダンスモチーフ」なのね。クラスに1人はいた「ちょっと変わってる子」が集まった感じなのよ。ちょっと常人には理解できないわけ。だから「病んでる」とか言われて。そこに平手ちゃんの体調不良もあって、なんか「メンヘラ」っぽいイメージがついたのよ。握手会いったけど、実際はみんな明るい普通の子なんだけどね。ただ世間的なイメージはそういう「なんかちょっと変わってる子」って感じ。それが欅っぽさ」
私:「乃木ヲタさんはそれが嫌いなん?」
乃:「いや、実はそれも好き。全然愛せる。でも私は乃木坂ちゃんのニコニコで純なアイドル感がたまらんのですよ。一生、健康にアイドルしててほしいの。乃木坂ちゃんはAKBが出てきて、その公式ライバル設定で登場したわけ。で、乃木坂って最初マジでコンセプトなくて「ただAKBとは路線の違う方向で行く」っていうそれだけ。だからスカートはミニじゃなくてひざ丈よ。それでコンセプト模索中にファンが「清楚」っていうキャラクターをつけはじめるのよね。「おいでシャンプー」でスカートめくる振り付けがバッシング受けてからは一層、清楚を意識しだしたのね」
私:「ほうほう(なんかこいつ熱くなりだしたぞ)」
乃:「で、初期のセンターは生駒ちゃんだったんだけど、まいやん(白石麻衣)とかがスタイル良いメンがモデル決まり始めて……。ビジュアルはもう明らかにスタート時からAKBより乃木坂のほうがよかったし…………アレ、これ何の話だったっけ」
私:「いや、欅っぽいのが嫌っていう」
乃:「そうそう。そんな最初は「AKBのフォロワーになるな!」って言ってた乃木坂がなんで欅のフォロワーになってんだよ、と。今回の件で「インフルエンサーのときも乃木っぽくないとか言ってたよな」とか言ってるにわかいるけど、あれはただ「進化」しただけで「誰かの真似」じゃなかった。でも今回は明らかに「誰かの真似」なのよ。しかも後輩の真似してんのよ。単純に曲がクソで推せないわけね。乃木坂の子たちには笑っててほしいんだわ、こちとら。
私:なるほど。じゃあ中西アルノちゃんのあのいろいろ発覚したやつは、乃木ヲタさん的にはどうなん?
乃:全然OK。マジで。ちな中西アルノちゃんに乃木ヲタがキレてるのは、さっき言った通り「乃木王国には清楚しかいらん」ってガチで信じ切ってるから。アルノちゃんはデビュー前に個撮してたんだけど、これも「男と二人きりになってた!」って騒いでっから。清楚をはき違えてんだよねみんな。世の中のかわいい18歳をなめんなよ、と。そりゃ18歳にもなれば、セックスしてるわ。乃木ヲタはスカート長いだけで、処女信仰に陥ってるわけよ。
私:まぁ、そんなファンの気持ちもわかる。プロじゃないといえば、プロじゃない。地下アイドルだとよくあるけどね。推しとパパ活してました~ってのは。
乃:確かに。メジャーアイドルでやっちゃいけないんだろうけどね。たださすがに騒ぎ過ぎよ。アルノちゃんがTikTokで上裸配信してたのも一緒よね。乃木坂に露出はいらん、と。もうあいつらはイスラム教徒レベルの露出に興奮する謎の性癖持ってっから。
私:ヒジャーブかわいいもんな(急なアスペ発揮)。
乃:でも、1つだけ許せなかったのは、アルノちゃんZOCに落ちてんのよ。ぜってぇ運営も知ってんだわ。いやこれは「ZOCより乃木坂が優れてる」とかそんな話じゃなくて、ZOCとか、あとミスID系に憧れてる自己承認欲求爆発系地雷女子は「絶対欅のほうが映えるだろ!」っていう。だから振り分けんときに、欅に入れるべきだろうが!っていう。確実に乃木坂で浮くじゃろうがい! だから運営はもう推すよ。明らかに乃木坂に異物を加えてんだから。中西アルノちゃんを推すべくして、あえて乃木坂に入れてんだもん。
私:なるほど。名探偵だなお前。
乃:そう。45時間40分見て、最終的に感じたのはこれだったね。運営としてはこの後も中西アルノちゃんは連続でセンターにするつもり満々だったと思う。でもこれだけ炎上したら、路線変えるかもね。でもそしたら中西アルノちゃんの居場所なくなるから、下手したら欅とトレードとかあるかもな。あぁもうこの「大人のおもちゃ感」も嫌なのよ。くそー(泣)。アイドルのマーケティングを表に見せんなよー(泣)。
私:でも推し続けるんでしょ?
乃:うん(泣)。あやめちゃん見て、落ち着こ……。
いや、すべて見切ったうえでの運営の戦略なのかもしれない
ちなみに、結構淡々と書きましたが、喜怒哀楽がぐるぐるしている乃木ヲタがおもしろすぎて、私は終始爆笑していた。ろくに寝ていないヲタというのは、もうなんか人でも殺しかねん勢いで情緒がおかしくなるものだ。文中でもかなり暴言吐いていたが、これは約3日ほぼ寝ていない人間なので寛容に許してほしい。
私もちょいちょい46時間TV見たが、中西アルノちゃんの尾崎豊はすごかった。オーラが半端なかった。なんかただ上手い人、じゃなくて「世界観がMAXの人」みたいな歌い方。そこに黒髪ショートで、ポトレ上がり、しかもZOC落ちという「地雷系の役満」だ。全然東横キッズ界隈にいてもおかしくない。これは乃木の握手会に厚底靴・派手髪・マイメロキーホルダーの女子が並ぶ日も近いな、と。運営はそんな新たな刺激を求めていたのではないだろうか。
そういった意味で、乃木ヲタの話で面白かったのは「変化じゃなくフォロー」という部分だ。今や日本一のアイドルになった乃木坂46の持ち味を捨てて、後輩の真似をしているのが、ファンとしてはプライドを傷つけられたのだろう。
ちなみに、乃木ヲタさんは「こうなったら、あやめん(筒井あやめ)につぎ込みまくって、意地でもセンターにするしかない」と意気込んでいた。いやまさか、これが運営の狙いだったのか、と思うと、ちょっとヲタの扱い上手すぎて寒気がしたわけである。