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私はネイルをしない、

 ネイルもマニキュアも、したことがない。
 一応、まぁおしゃれもそこそこは気にするのだが、爪に対してのおしゃれはまったくしたことがない。
 高校までもちろんしたこともなく、大学に入ってもしようと思わなかった。
 バイト先は飲食店で、キッチンにも洗い物にもがんがん入るからだ。ゴム手袋なんかしても、手や制服は汚れまくるし、腕にはオーブンでのやけどの跡もたくさんある。

 大学に入って一年の5月ぐらいに、今のバイト先の面接を受けた。そして、辞めたい・しんどい・楽しい…という意見をぐるぐるしながらも、結局今まで、約三年続けている。
 飲食店というバイトは、私自身はなんだかんだ楽しくやれていると思う。職場の友人やパートさんとも、結構よくしてもらっている。精神疾患があることも知ってもらえた上で雇ってもらえた。接客も好きで、まさかチェーン店なのに自分に常連のお客さんができるとは思っていなかった。

 楽しくはやっているのだが、どこかで「バイトありきの生活」になれてしまった自分がいる。

 ネイルやマニキュアは禁止。
 メイクは控えめなもので。
 ピアスは禁止。
 髪色も指定の色以上は駄目。
 指輪もアクセサリーも外す。
 そんなルール。

 守っていない学生も多い。実際髪色なんかは、髪の毛を全て帽子の中にしまうため、染めても関係ない。ピアス穴なんかはよく見ないとわからない。社員さんも黙認しているから何も言わない。
 でも私は、意味があるのかわからないルールを守る。

 「真面目」といえば真面目なのだろうと思う。
 確かに、髪を染めてみたい願望もないわけではないし、駅でネイルサロンを見たり、きれいに着飾っているネイルを見たときに「いいなあ」ぐらいには思う。
 でもいつも、「バイト先が禁止だからなぁ」と、言い訳を作る。
 どうせ水仕事で駄目にしちゃうし…と。

 特に今の生活に不満があるわけではない。
 バイトはしないと、生活費がないし、バイトも辞めるつもりは今のとこない。

 ただ、きれいなかわいい指先を見たとき、私はいつも自分の指先を見てしまう。
 その人は、どんな生活をしているんだろう、と。

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きりしま
毎日のコーヒー代に。