美しい山に誘われ、魅せられて
こんにちは(*'▽')
富士山に登ったことがあります。まだ世界文化遺産に登録される前、友人に誘ってもらって、御来光を拝むために八合目で夕食・仮眠をとり、夜明けより前に山頂目指して暗闇の中ヘッドライトも使って(記憶あいまい)歩きました。そのときにアウトドア用品店で購入した登山靴は、その後、高尾山や上高地、ウォーキング企画に参加するときなど、ちょいちょい出番があります!
私が初めて大山に登ったのは、もう50年近く前のことになります。ある梅雨の晴れ間の日、突然登りたいと思い立ちました。
まず、夏山登山道を登り山頂へ。その日は山頂小屋に泊まり、あくる日は稜線を縦走しユートピア小屋、三鈷峰へと歩き元谷に降りました。梅雨の季節にしては珍しい青空と、夕陽の美しさ、朝陽の荘厳さ、頂上小屋の管理人さんとの他愛もない会話さえ印象的で、山の魅力のすべてを感じることができた初めての山行でした。
その後、時間の許す限り大山を歩くようになりました。無雪期から積雪期へ、歩くコースもノーマルルートからバリエーションルートへとエスカレート。そしてある冬、厳冬期の大山頂上から烏ヶ山までの縦走を企てます。40kg近い装備をザックに詰め込みいざ出発。重荷にあえぎながら山頂へ、縦走路は慎重に歩いたものの何度か雪庇を踏み抜きそうになり肝を冷やします。なんとか天狗ヶ峰までたどり着きますが初日はここで時間切れとなり、三ノ沢を下って安全な場所でビバーク。翌日、稜線まで登り返しましたが、ガスが晴れず断念し、ルートを覚えている元谷へと下ったのでした。この一件から、山に対して謙虚に、慎重に、行動するようになりました。山の厳しさの洗礼を受けたことは、大山の魅力を強く感じ、強く意識することにもつながったように思います。
30代の頃、やっと念願が叶って中判のカメラを購入。さっそく残雪の元谷へ向かいました。好天にも恵まれた絶好の撮影チャンス、元谷を縦横無尽に歩き回ってシャッターを押しまくりました。そしてその成果は……と現像された写真を見ると、撮影時感じたものとはほど遠い仕上がりでした。気持ちだけが先行しての撮影はほろ苦いものとなりましたが、その後、同じようなことを何度も経験するうちに気持ちを落ち着かせ、じっくりと山に対峙することを大切にするようになりました。
裾野から見る容姿端麗な姿、稜線からの荒々しい北壁と南壁、広大なブナ林。四季の変化を確実に感じとることができる大山は、山の持つすべての魅力が備わっています。
例えば、鳥越峠からキリン峠に向けての険しい道を30分歩くと槍見峠に登り着きます。険しさを乗り越えたここから見る東壁の容姿は圧巻です。また、槍ヶ峰への稜線から東面に切れ落ちている壁は崩壊が進み荒々しい様相になっており、四季を通して朝陽が当たるため朝焼けの大山を表現するのにもってこいの場所といえます。
ですが、自然界にある山の中では人間はよそ者。撮るのではなく撮らせてもらうという、謙虚な気持ちで山に接することが大切です。これからも、この姿勢を忘れずに大山と向き合いながら歩いていきたいです。
佐々木俊和 《島根県在住の山岳写真家》
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幼い頃から大山寺の旅館街で育った私にとって、大山はすぐそばにあるのが当たり前で特に意識したことはありませんでした。
初めて大山に登ったのは5歳の頃。両親と共に山頂を目指しました。途中、大山に登り慣れている父についていけず何度も音をあげそうになる私に母が「頑張って」と差し出してくれたのは手作りの甘酸っぱいレモンの砂糖漬け。両親の励ましとレモンに元気づけられ頂上に立つことができました。山頂で両親に褒めてもらい、とても嬉しかったことを覚えています。
そして20代前半で一旦大山を離れて県外で生活した後、ある日久しぶりに父の運転で春の新緑の大山を走りました。そのとき私の眼には生き生きとした緑の景色がどんどんと流れ、呼吸をすると爽やかな香りが体中に広がりました。「なんて美しい緑なんだろう!とてもエネルギッシュ!生きてるって感じがする!大山って素晴らしい山だなぁ!」と心から感動したのを今でも覚えています。
そして、今の私につながるのはいまから15年前のある秋の日。子育てと仕事に疲れていた私はふと見上げた美しい大山に誘われるように一人で登り始めました。その日はとても穏やかで足を進めるごとに日々の疲れや悩みが少しずつ取れていくようで、無心で登りました。山頂に着くときれいな青空に白い雲、眼下には弓ヶ浜と日本海が広がり、ゆっくりと過ぎていく山時間に今まで味わったことのない穏やかな気持ちでいっぱいになりました。山頂に一人座り、目を閉じていると大山に包まれているようなホッとする気持ちになります。その日から大山の魅力をもっと知りたいと思うようになり、時間があれば大山に登るようになりました。
そのうち、大好きな大山だけで仕事がしたいと思うようになり、あるとき思い切って会社員をやめました。ちょうどそのとき、大山山頂の小屋番の席が空き、今の仕事につながっています。
山は下界とは違う特別な場所です。普段の便利な生活が当たり前に過ごせる場所ではありません。安全のために、十分な装備を整え、入念な準備や下調べをしてから山に登ってほしいと思います。また、美しい大山を守るためにも、例えば、登山道を外れ、自然の草花を踏まないように気をつけるなど、山に対しての思いやりも忘れないようにしてもらいたいと思います。
大山の山頂には大山を愛するたくさんの人の思いが詰まった緑の大地が広がっています。山のなかでも、これだけ多くの人に愛され、大切にされている山は、大山が一番なのではないかと感じています。
私にとって、大好きな大山で仕事ができるのは幸せなことです。大山に来られたお客様に大山の良さを伝え、幸せを感じながら楽しく仕事をしています。その気持ちが皆さんにも伝われば最高です。
上野紀代子 《大山ガイドクラブ、大山山頂避難小屋の小屋番》
写真集『-鳥取県- 大山絶景 THE MOST BEAUTIFUL AND BREATHTAKING PICTURES OF MT.DAISEN』(今井出版、2018年)より
わたしの両親が鳥取出身なので、大山登山はしたことないものの、麓の植田正治写真美術館や大山まきばみるくの里など遊びにいったことがあります。西から拝むと富士山の姿に似ていて、「伯耆富士」と呼ばれ親しまれています。叔父さんが梨をつくっていて、収穫前の時季に台風がその近くを通るときは実が落ちてしまわないか心配になりますが、大山があるおかげで地理的に守られているそうで、大きな被害はないということが多いみたいです。この写真集は、法事でだったか鳥取に行ったとき、米子空港(米子鬼太郎空港)の売店で買いました♪
山に登る気分を味わえる連作小説が、湊かなえさんの『山女日記(やまおんなにっき)』(幻冬舎、2014年)です。山に登り自然の環境に包まれると、人は素直な自分の気持ちに気づきやすいのでしょうか。ふだん忘れていますが、人間のカラダも自然の一部だから、山の自然に呼応するのかもしれません…(*'▽')
Countries may fall, but their rivers and mountains remain ☆
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