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"怪獣/サカナクション"の制作過程を追って

本日2025/2/20、サカナクションの新曲「怪獣」がリリースされた。

サカナクションは、学生時代から聞いていて、高校時代には幕張メッセにライブを見に行ったこともある。ドルビー協力のもと、音響設備を行っていて、最初に響いた音に心身ともに震えたのを覚えている。あと、初めて踊り狂う人間をみて、カルチャーショックを受けたのもいい思い出だ。

サカナクションは、コンスタントに作品をリリースしているイメージがあるが、今回の作品は約3年ぶりのリリースと、かなり久しぶりの新作となった。

期間が空いた理由としては、ボーカルの山口一郎さんが数年前から"うつ病"になり、休養していたことがあげられる。

休養から復帰、そして新作の制作する山口さんの姿をドキュメンタリー作品やインタビューなどを通して知った。苦しみつつも諦めず闘っている姿には涙が出た。

自分自身も約一年前にうつ病になった。医師からの診断では、"軽度のうつ病"とのことだったのだが、それでも自分の周りだけ重力が変わったように身体が重く、しばらくはまともに生活ができなかった。

おそらく山口さんの症状は、僕よりかなり悪い。(比べるものではないのだが。)

それに現在も良くなったり、悪くなったりを繰り返しているという。そんな中で創作を続けているというのはとんでもないことだと思う。

ドキュメンタリーの後半では、"怪獣"の制作にフォーカスが当たっていた。本作は、アニメ「チ。」の主題歌になることが決まっており、納期が予め決まっているため、それまでにフル版を完成させなければいけない状況だった。
結果的にフル版は未完成となった。

納期が遅れた理由は、曲後半の歌詞が完成しなかったからだ。最終的に79パターンも作詞したらしい。自分も作詞をすることがあり、その際考えこむこともあるのだが、季節が変わるほど長期間向き合ったことはない。自分なら作詞を諦めてしまうかもしれない。どのくらい自分を搾り出したのか考えるだけでも恐ろしい。

このように様々な苦悩を乗り越えて"怪獣"は完成し、遂に本日リリースされた。

完成した歌詞の考察は自分には出来ないのだが、作品を通してどうしようもない苦悩への叫びを感じた。

リリースされた曲に対して、リスナーからの様々なコメントを目にした。中には現在進行形でうつ病と闘っている人からのコメントもあった。

ドライなことを書くが、ほとんどのリスナーがこの作品のバックグラウンドのことは知らないと思うし、作品のクオリティーをそういったもので判断をして評価することはあまり良いことだとは思わない。

でも、しっかりと自分と向き合って、搾り出した作品はちゃんと届くんだなと知った。 

僕はうつになった時、全てのことに興味がなくなってしまった。そして、「こんなことやってても意味ないや…」と思って音楽用の機材を売り払ってしまった。

その後少しずつ回復したところで、改めてやってみたい気持ちが戻ってきて、機材を買い直し、今は作詞をしている。

このnoteも同時期に休止していたが、性格的になかなか口に出せない心情を書くことが自分には必要だと思って再開した。

たまに「書くことがない」というコメントを目にするが、たぶん本当はそんなことはない。自分で書くトピックを制限してしまっているのだと思う。それか辛辣だが、そもそも本当は書きたいと思っていないかだ。

もしどうしても何も思いつかないというのであれば、「あれをやりたい!」とか、反対に「お前は無能だ!」とか好き勝手叫び続ける自分の中の怪獣の声を聞いて、そのまま書いてみるのはどうだろうか。
それを繰り返していれば、自分らしい表現力も付いてくるかもしれない。


【info.】SoundCloudに曲をアップしています。ぜひ聴いてください🙏