本当の理由シリーズ ~ナポレオンの肖像画~
誰もが一度は目にしたことがあるナポレオンの肖像画。
世界史の教科書に載っていたし、地域によっては教室の壁に飾られている学校もあったのではなかろうか。
タイトルは「ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト」
作者はナポレオンお抱えの画家ジャック=ルイ・ダヴィッド。
なんとも勇ましい白馬に乗ったナポレオン。まさに皇帝というニックネームに相応しい豪快さと優美さが垣間見える。
しかしTVやインターネットでやり尽くされているネタとして、実はナポレオンは馬に乗ることはできず、この白い生き物はロバだった。そもそもナポレオンは肖像画を書かれることを拒否し、すべて想像で書かせたなんて逸話まで出てきています。
しかし実はもう一つ、本当の理由が隠されていたんです。
ナポレオン「ダヴィット、きょうもイケてる画を一枚頼むぞ」
ダヴィット「はい、もちろんです。庭にフランスでも指折りの名馬をスタンバイさせております。そちらに跨った状態で本日は描かせていただければと思います」
ナポレオン「ふむふむ。それは名案だ。さすがダヴィット」
ダヴィット「はっ。ありがたきき幸せ」
ナポレオン「ただ平常時ならな」
ダヴィット「はっ?」
ナポレオン「まもなく隣国との戦いが始まる。そのことも念頭において肖像画を描かなければならん」
ダヴィット「はっ」
ナポレオン「そこでだ。まず限りなくロバっぽい白馬を描け。さらに書き終わったあと、ナポレオンは本当は馬には乗れないからロバに跨った状態で肖像画を描かされ、さらに白馬に跨っていることにしろと強く言われたと触れ回るんだ」
ダヴィット「はっ」
ナポレオン「そしてもう1つ、顔だ。顔が敵にバレて良いことなんか1つもない。そこでだ。顔はダヴィット、お前の顔にしろ。俺の体を描いて、顔だけお前にするのだ」
ダヴィット「はっ。諸々承知しました」
迫る隣国との領土争い。ダヴィットは画家生命を懸け、急ピッチで肖像画を仕上げた。
そして完成したのが今でも語り継がれているナポレオンの肖像画だったのだ。
あの肖像画に描かれているニセモノの顔と、馬に乗れないリーダーというあえて悪い噂を流布させ、敵を油断させることに成功したナポレオン率いるフランス軍。ここから連戦連勝の伝説が始まった。
このあとナポレオンが実は手品師になっていた話はまたどこかで・・・