勇者たち一行~中華料理屋編~
勇者たち一行はグルメサイトで評価が星1つの中華料理屋に来た。
お店の看板は至って普通で、店内もよくある中華料理屋と変わった点はない、一体なぜ評価が最低なのか。
メニュー表を見ると、どれも写真付きで美味しそう。値段もリーズナブルでランチタイムの今ならどの料理にもライスとスープ、デザートが付いてくると書いてある。
大食漢の戦士は「ライスお代わり自由」の店内の張り紙を見て、目を輝かせたことを勇者は見逃さなかった。
勇者がパーティにメニューが決まったか目配せすると全員がコクリと頷いた。
勇者『すいませ~ん』
勇者が厨房に向かって声を掛ける。
勇者『すいませ~~ん』
先程よりも少しだけボリュームを上げたが反応はない。
勇者たち一行は席を立ち、厨房の中に店員がいないか暖簾をくぐって入っていた。ここから勇者たちの大冒険が始まった。
『すいませ~ん』
遊び人は余程お腹を空かせているのか、今まで聞いたことのない大きな声で店員を探している。
『すいませ~ん』
賢者はこれまでの経験を活かして、店員が隠れていそうな棚や引き出しを開け、覗き込んで声を上げる。
『誰かいませんかぁ~』
戦士は手に持ったハンマーを肩に担ぎ、人の気配がないか少しの動きも逃さぬように神経を研ぎ澄ましている。
『ごめんくださ~い』
勇者が声を張り上げたその時、厨房に掛けられたホワイトボードが目に入った。ホワイトボードに書かれた文字を見ながら、推理をしているようだ。
そこには食材の残りの量や予約の入っている日付、人数が書かれている。
どうやら今夜は10人の団体予約が入っているようだ。勇者が厨房内にある時計を見ると、団体客が来るまであと3時間、そろそろ仕込みを始めなければいけない時間だ。
その時、店内にバブルスライムが現れた。
ひとり~の小さな手~♬なにもできないけど~♬それでもみんなの手と手を合わせれば♬何かできる♪何かできる♪