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さようならガース、そしてザ・バンド。
ガース・ハドソンが逝ってしまった。ロビー・ロバートソンとはまた違う意味で、オリジナルのザ・バンドのサウンドの要であった。
そんな人の去り際は、まるで友達を想ってしんがりを務めてくれたかのようだ。
繊細なリチャード・マニュアル、やんちゃなリック・ダンコ、頑固なリヴォン・ヘルム、孤独なロビー・ロバートソン、そして優しきガース・ハドソン……。そんなパーソナリティを想像すると、この順番で神のもとに召されたのは良かったのかもしれない。ザ・バンドらしいのかもしれない。
以前の原稿では触れなかったが、サウンドからしてロバートソンのソロの布石になるかのような名曲が「ラスト・ワルツ」に納められている。
『Out of the blue』だ。
ロバートソンの儚げな歌声とギター、それに寄り添うハドソンの鍵盤が印象的な曲だ。「ラスト」アルバムの最後の最後に置かれてはいるものの、バンドの名曲群のなかでも埋もれることがない、いわばバンドの白鳥の歌だ。
ロバートソンなりの、バンドへの惜別の歌でもある。バンドを取り巻く喧騒と幻想から離れたい……そんなロバートソンの気持ちを歌ったかのような曲だった。
私がハドソンの訃報を知って真っ先に思い浮かべたのが、この曲だった。二人の演奏の美しい結晶だからだ。
生前のハドソンはバンドについて「私たちは兄弟だった」と繰り返し語っていた。
いま、ザ・バンドという魂の兄弟たちは神のもとで、久方ぶりのリユニオンの時を迎えた。安らかな喜びの音楽を鳴らしていることだろう。
『Out of the blue』で歌われたように、「この世界から離れて、突然に」