【ベストセラー】本の虫はベストセラーを編集できない?
本の虫みたいな人が
必ずしもベストセラーを出せるか?
これは悲しいかな、ノーです。
案外、本はそこそこ好き位の
編集者こそが、世のみんなが読みたい
ベストセラーを手掛ける場合が多い。
本の虫編集が、
本の虫お客さんを目掛けて
本の企画をしても、
世に実在する本の虫さんは
5000~8000人がいいところ。
つまり、10~20万を超える
ベストセラーを出すためには、
本の虫以外の人たちが
買ってくれなくてはならない。
ディープなマニア向けでなく、
ミーハーな一般的な人向けの中身を。
という時代は確かにありました。
90年代や2000年代は、そうでした。
私はその時代、
出版社のコミックス編集部にいました。
コンビニに来る20~40代の
サラリーマンや学生をターゲットに、
過去の人気マンガの再編集を
企画するのが仕事でした。
今はもうすっかり、レジェンド作品しか
コンビニ向けは出なくなりましたが、
当時は、廉価版コミックスが最盛期。
どんなマンガなら、
よく売れるかが常に会議の話題で、
編集も販売さんも集まり、
議論をしましたが、
よく今でも覚えてるのは、
ラブコメと、ギャグマンガは
どうも毎回、結果は芳しくなかった。
どちらも、経年で腐りやすいのか?
編集のように本好きには
シュールなギャグマンガ好きが
たくさんいるのですが、
渾身の思いで出しても、
結果は渋いものに…。
周りは、ホラね的な態度で(笑)。
売れたのは、スポーツマンガ、
格闘マンガ、
サラリーマンマンガ、
不良ヤンキーマンガ。
もう俄然よく売れました。
ただし、これはあくまでも
コンビニ棚マンガの特徴です。
マンガオタクは
そもそもコンビニにマンガを
買いにはきません。
ところが、時代の潮目が変わります。
コミケやコスプレが流行り、
オタクが市民権を持ちだす2000年代末は、
「世の中の人みんなが買う」本が、
存在しなくなるんですね。
読者の好みがどんどん多様化し、
細分化して、
それぞれのオタク向けに
それぞれのマンガ作品を出していく。
時折り、その中の幾つかが、
オタクを虜にしながら、
ミーハーな人まで取り込んだら
ベストセラーになる!
そんな時代になりました。
細分化、多様化は、
同時に、オタク心を捕らえようと、
ユーザーのツボを深掘りしようと、
より一層進化したものが
ヒットの条件になってきました。
最近では、どんなマンガも、
まずはオタクに賛同されるかが
作品のクオリティの高さを表します。
マンガのヒットには、
オタク的センスがないと
出しにくい時代になりました。
こうして、オタク受けする作品が
時代と共に洗練され、
一般的な人にも馴染んできました。
文学ではどうでしょうか?
まだ、マンガ畑のように、
文学オタクの支持作品が
一般読者にも広がっていく傾向は
ないようですね…。
マンガオタクに比べて
文学オタクは規模も小さいですかね?
でも、マンガ畑で起きた
購買層の変化は、歓迎すべきものです。
まずは、そのジャンルのマニアが
認める?認めない?といった選別があり、
そこを勝ちぬいた作品が
一般的に世の中に広がるという流れ。
90年代みたいに、
マニアやオタクの審美眼に
さらされていない、
中身が薄い作品も
どんどん売りに出された時代は
ちょっとした出版バブルでしたね。
出す側も、買う側も脇が
甘かったような…。
これからのベストセラーは、
本の虫、マンガの虫に
まず認められることが大切。
オタクの審美眼を通過するということは
内容が詰まってるあかしですから。
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