非接触の宅配納品は社会全体の利益
前回に引き続き、
「その気遣い本当ですか?その不毛な気遣いが不要になるかもしれません」
・発注者の目線
人的なセリングを受けたくない(人と接触したくない)からECで購入する人も当然いると思いますし、複数業者からの一日間の配達回数も多くなると、発注者側も日々の仕事に疲れているのに、気を使ったり、配達毎に配達員を労わないといけないのも、正直気づかれします。
・配達員の目線
また、大半の発注者(顧客)は「ありがとね」とか「ご苦労様」とか労ってくれ、励みになる事も実際ありますが、正直、冷たいですが別にあなたに苦労を強いるために注文をしていないというのが、私は本音だと思っています。苦笑
また、雨の日など、配送の業務上、致し方なくずぶ濡れだと宅配時、お客さんに哀れな顔で気を使ってもらう事もありますが、こちら(配達員)としては逆に気を使わせてしまって申し訳無いと私は思ってしまいます。
しかし、こちらとしても濡れたくて濡れているわけでも無いのに
「雨に濡れるの実は好きなんですよ」
なんて、面白おかしくボケて、その場の空気を和ますほどの余裕はありません。笑
少なくとも私はそこまで強者ではありませんでした。
前回から引き続き、以上から言える事は、顧客は配達員との接触を煩わしささえ感じている事が実務(現場の生のデータ)を通して浮き彫りとなっている事です。
そして、いくら煩わしくても、配達員も尊厳のある対等な人間です。接触の際にぞんざいな扱い(卑下するような扱い)を受けると、ハートブレイクしてしまう事もあり得るので、ここは対等な人間として、最低限の気づかいが発注者(受け取り側)にも求められてしまうのです。
(私、自身ECのヘビーユーザーですが、消費者としては上記の理由等で、申し訳ないですが配達員との接触は極力避けたいというジレンマを抱えています苦笑)
「非接触納品は社会全体の利益になる」
そして、非接触納品は実は大きく社会全体にメリットがあります。
一例として、非接触納品の方法の一つである宅配ボックスの機能を一世帯に一つ装備する事で、昨今、社会問題になっている「再配達コスト」を減らす事ができます。顧客には最短で合理的に商品が届くようになり、その分だけ配達員の業務負荷が緩和され、配送人員のマンパワー不足による配送料の値上げを避ける事ができ、EC事業者、顧客、運送事業者すべてが利益を享受する事ができます。
また、ラストワンマイルの配送実務を経験して驚きだったのが、発注者側(お客さん)が、いわゆる「置き配(玄関先にそのまま置き去り配達)」を、発注者側の責任(紛失、盗難などの事故の際の責任)で望んでいる事が意外にも多い事です。
※委託元の運送会社のオペレーションでは原則「置き配」は禁止されています。(また、宅配事業の拠り所である法律上の「宅配便運送約款」では不在時の荷物引き渡し時に「置き配」の定義はなし)
例外である「置き配要望顧客」への納品が不履行になって問題視されていないところを鑑みると、意外にも置き配に関連する事故(紛失、盗難)は多くなく、暗黙の了解として社会通念上容認されているんだろうと思っています(複数の大手運送会社のSDへの聞き取りの際でも同意見でした)。
つづく