2030年の広告ビジネスはどうなる?(2030年の広告ビジネス デジタル化の次に来るビジネスモデルの大転換を読んで)
じゅんや(マーケティング勉強中)です。
こちらの本を読んでみました。
「2030年の広告ビジネス デジタル化の次に来るビジネスモデルの大転換」
著者のご紹介
横山 隆治(よこやま りゅうじ)
横山隆治事務所( シックス・サイト)代表
株式会社ベストインクラスプロデューサーズ 取締役
CCC マーケティング 株式会社 エグゼクティブアドバイザー
1996年デジタルアドバタイジングコンソーシアム株式会社を起案設立。インターネットの黎明期からネット広告に携わってきたい人物。2014年に「広告ビジネス次の10年」を出版し、その当時予想していた広告ビジネスの動向が今では現実となってきている。
広告ビジネスに対して知見が深い著者が、今度は2030年の未来を予想したのが本書である。
感想
本書を読んで私自身も思うが、総合広告代理店の売上をしばらく支えていたTV CMに関しては、広告主からのニーズ自体は徐々に低下していると思う。理由としては、①ユーザー&メディアが多様化したため、広告を届けただけでモノやサービスが売れる時代ではなくなった、②圧倒的なReachと引き換えに、出稿にあたっての金額も高額である、からだ。
①ユーザー&メディアが多様化したため、広告を届けただけでモノやサービスが売れる時代ではなくなった
個人の価値観が尊重される時代となり、モノやサービスを選択する理由は人それぞれである。また、接触するメディアが増加したことにより、可処分時間の使い方やどのような情報に触れているのか、も異なる。同じ渋谷のスクランブル交差点で信号待ちをしている隣の人が、全く異なる世界で生きている。結果的に、マス向けに配信されるTV CMに関しては、誰にも刺さらない広告というだけでなく、いつもTVをよく見る特定の人にしかReachができない状態となる。
②圧倒的なReachと引き換えに、出稿にあたっての金額も高額である
上記の状況であるにもかかわらず、TV CM出稿は数億円という規模感で費用がかかる。TV番組がTV CMなどの広告収益から製作費を捻出しているという業界構造的にも、高額になる要因として考えている。ただし、Raechの数、という点で見ていくと、いまだに圧倒的であるである。これが広告出稿理由になるかもしれない。
筆者は従来のマーケティングファネルで考える購買プロセスも崩壊していると述べている。AIDMAやAISASなどの認知(Awareness)から始まる流れは、TV CMを販売するためだけの理由となっており、現代に合わせると「ビンゴ」型で考える必要性が伝えられている。
ユーザーによって購買を刺激するポイントが異なるため、商品自体の購買ポイントを整理して、それぞれのユーザーに対して一点をつくようなイメージで訴求する。丁寧に認知から購買までのフローをカスタマージャーニーを作成することで分析し、それに伴いマーケティングを展開する時代も徐々に終わりを迎えているということである。
広告代理店という業界に対しても今後の予想がなされていた。中でも、一番大きく影響を与える内容は、ITコンサル(アクセンチュアなど)と競合関係になるということでだ。昨今、DXという言葉がよく聞かれるようになったが、マーケティング領域に関してもDX、つまりITシステム周りの変革がすでに起きている。しかし、エンジニアやIT部署との接近経験の少ない広告代理店は、そこがITコンサルとの競合の中で弱点となる。ただし、広告代理店はマーケティングコミュニケーション設計という観点では、これまでの実績からITコンサルに対しては大いに優位といえる。お互いがお互いの領域を浸食しあい、マーケティング x ITの分野に関しては、これからも激しい競争がなされると思っている。(クライアント側もマーケティング担当がIT知識を、IT部署がマーケティング知識が必要とされるため、その状況下でわかりやすく説明できるスキルは必要になると思われる)
おまけ程度ではあるが、生成系AIの躍進もマーケティング業務に大きく影響を与えている。
また、
と、筆者は言及している。
短期的な(部分的な)成果はAIによる最適化のほうがよっぽど優れるだろうと思う。ただし、なぜそうなったのかを明らかにしないまま進めていくマーケティングは、長期的には売上減少につながるのではと考える(その失敗を再度学習して、次は失敗しないAIが登場したらまた話は違うかもしれませんが。。。)。商品やサービス自体が人に対してである限り、”なぜ”という心理変化の読み解きはマーケティングの本質であり、それはAIの登場であれマーケターである人がやるべきだと私自身は思う。
以上です。
より詳しいことを知りたい方は、ぜひ本を手に取って見てください!