高齢者向け食パンを考える-part.1(顧客起点マーケティングを読んで)
じゅんや(マーケティング勉強中)です。
こちらの本を読んでみました。
「たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング」
私はこの本からあまりにも多くのことを学びましたので、前半と後半の2パートに分けてnoteを書きたいと思います。
著者のご紹介
西口 一希(にしぐち かずき)
Strategy Partners代表取締役。
大学卒業後はP&Gに入社。マーケティング本部に所属し、数々のブランドマネージャーを歴任。2006年にロート製薬に参画し、「肌ラボ」を日本一の化粧水に育成。男性用ボディケアブランド「デ・オウ」を開発し、発売1年で男性用全身洗浄料市場No.1を獲得。その他、60以上のブランドを担当。2015年にロクシタンジャポン代表取締役に就任。2016年にはグループ過去最高利益達成に貢献。2017年にSmartNewsへ日本および米国のマーケティング担当 執行役員として参画。累計ダウンロード数5,000万、月間使用者数2,000万人を達成し、国内3社目のユニコーン企業にまで急成長(企業評価金額10億ドル:約1,000億円)。
と、西口さんはどの時期を切り取っても素晴らしい実績をお持ちです(数多くの失敗があるのかもしれませんが。。。)。
どんな内容が記載されているのか?
一人の名前を持つ顧客「N=1」を徹底的に理解して、マーケティングに活かす方法が記載されています。まさに、それが本の題名にもなっている「顧客起点」の視点です。名前の見えない複数人を平均化した誰かに対してマーケティングを実行しても、それは架空の人物であって、効果は限定的とされております。
実在する一人のロイヤル顧客が、どこでブランドと出会って、なぜその商品やサービスを使い続けているのか、丁寧にヒアリングする。その想いを理解し共感することで、ビジネスを成長させる「アイデア」を見つける。ここでいう「アイデア」とは、人の心を動かす(深層心理の変化)魅力や訴求のこと。それを、まだロイヤル化していないユーザーに対して提示したり、離反顧客への事前の対策などに応用していく。
素晴らしい実績をお持ちの西口さんがこれまで実践してきた「顧客を起点としたマーケティング手法」を、細かく丁寧に、且つ誰でもマネできる方法で記載されているのが本書です。
何を学んだのか?
本書の前半部分では、大きく4つ学びがあると感じました。
1.「アイデア」が「独自性」と「便益」を持っているもので、強固な「プロダクトアイデア=商品やサービスそのもの」を持っていることが前提。ただし、「プロダクトアイデア」の独自性がやや弱くても、便益があれば「コミュニケーションアイデア=対象顧客に認知してもらうための手段」で補強できる。
独自性:他にはない特有の個性であり、唯一無二
便益:顧客にとって都合がよく利益のあること
2.「N1」から離れると、調査の結果は平均値でありエッジのない「アイデア」となってしまう。また、平均的なカスタマージャーニーやペルソナは実在しない誰かになる危険性がある。誰か一人に絞り込む(=N1)ことを躊躇してはいけない。
例)よく理解できている特定の一個人のほうが、何をプレゼントすれば喜んでくれるのか想像できる。
3.自社商品の未認知顧客にとっては、その競合商品は「新商品」として受け入れられる。そのため、ターゲット顧客に対しての「早期の認知形成」はビジネスをスケールさせていく上で重要。マスマーケティング自体が問題ではない。
4.顧客ピラミッドは3つの質問でできる。そこに「行動データ=ブランドとの接点」と「心理データ=認知イメージ」を加えることで、セグメント間のギャップ(WHY=購入意思決定を左右している心理的動き、インサイト)を理解し、マーケティング戦略を構築する。
サンドイッチを売るならどう活かすか?
学んだことをもとにサンドイッチを例に具体的に考えていきます。
(サンドイッチからは外れるかもしれませんが。。。)
私自身の祖母の話を少しします。
この前、祖父の米寿のお祝いがあり、5年ぶりぐらいに会いに行きました。
祖父は祖母(80代前半)と2人で暮らしているのですが、祖母は最近料理をするのが面倒だと話していました。
5~10年ぐらい前は私が祖母の家に遊びに行くと、私の母から「太って帰ってくるね」と言われるぐらい、祖母はたくさんの料理を振舞ってくれました。
今回も祖母の料理を楽しみにしていたので、それが食べれないとなるととても寂しい気持ちになったのですが、体力的な問題もあるので仕方がないことなのかな、と自分を納得させていました。
しかし、その滞在期間中に私の固定概念を変える出来事が起きました。
それは、祖母がおもむろにパンを食べ始めたことです。
もしかすると常識なのかもしれないのですが、私にとっては驚きでした。
それまで私の中では、高齢の方は、和食(ごはんとか味噌汁)を食べるイメージがありましたが、実際はそうではなかったのです。
祖母も祖父も、何もつけていない食パンをお茶と一緒に食べていたのです。
そして祖母は言うのです「火も使わないし、楽なのよ」。
これが「アイデア」になるかもと、思いました。
当然、おなかはすくので、何か食べたいという欲求はある。しかし、高齢の方にとって料理は準備も片付けもしないといけないので面倒。体力的にも現実的に厳しいこともある。
また、個人的には食欲だけを満たすのではなく、栄養面も考慮した食事が手軽に取れればとも思いました。
現在、嚙む力が弱くなった方向けの「やわらかい食パン」という商品がすでに存在しております。パン好きの方で、でも噛む力が弱くなってきて大好きな食パンが思うように食べられない方には、ぴったりだと思います。
しかし、私の祖母や祖父の場合は、お茶と一緒に食べているので、口の中で十分やわらかくなり、触感という面では、いつもの食パンと同じでも良いのではと考えております。
問題は、栄養面をどのように補うのか、ということ。
色々調べていると、特に「たんぱく質」に関しては、高齢の方でも若年層と同程度の接種が必要とのこと。たんぱく質が減少すると筋力量が低下し、フレイル(虚弱)の状態に陥り、さらに食欲が低下し、フレイルが加速する悪循環に陥ってしまいます。
*参考:https://www.kamaboko.com/sakanano/column/senior/post12295.html
上記を踏まえて、今回学んだことを整理していくと以下のようになると考えました。
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N1=私の祖父、祖母
①「プロダクトアイデア」=大豆のタンパク質が練りこまれた食パン
→独自性:パン一つでたんぱく質も摂取できる。
→便益:調理の手間がかからない。
※商品補足※
タンパク質が豊富な大豆を食パン自体に練りこむ。
②「プロダクトアイデア」=ジャム見たいに塗るだけで、たんぱく質も接種できる「たまごサンドペースト」
→独自性:いつもの食パンに塗るだけでタンパク質が接種できる。
→便益:手間がかからないだけじゃなく、たまごの味がしっかりして食べ応えもある。
※商品補足※
たまごサンドの中身を細かくペースト状にして、食パンに塗るタイプの商品。
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以上が、現時点で考えている「アイデア」です。
後半のパートも踏まえて、これらのアイデアをもう少し考えてみたいと思います。
本書では、上記の例よりもわかりやすく詳しく記載してあります。
より詳しいことを知りたい方は、ぜひ本を手に取って見てください!
いつまでも祖父、祖母には元気に暮らしてほしい!
最後に。。。
この記事を書く上で思ったこと
・カスタマージャーニーやペルソナは調査を平均化して作成していたため、そうじゃない、ということは、とても刺さった。
・特定の誰かを喜ばせることに注力することが、結果として多くの人を喜ばせるアイデアに繋がる。その対象は自分でもよい。
・高齢者はメディア接触数が少ないと思われるので、どこで商品を認知していただけるのか、はとても難しいと思った。(コミュニケーションを考える相手は高齢者ではなく、その子供や孫になるのでは?とも思った)