これからのデジマに必要なMOpsとは?
じゅんや(マーケティング勉強中)です。
こちらの本を読んでみました。
「マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識」
著者のご紹介
丸井 達郎(まるい たつろう)
ゼロワングロース株式会社 代表取締役
株式会社マルケト(現アドビ株式会社)にて、実現性の高い戦術設計に重きを置いたフレームワークを活用し、多くの顧客企業のDXを成功に導く(”戦略”ではなく、”戦術”というのは重要なポイント)。グローバル規模の大型案件にも従事。web広告関連のみならず、マーケティングオートメーション及びSFAをはじめとしたセールステック関連の知識も豊富に持つ。テクノロジースタートアップ企業の海外進出などにも従事している。
このような豊富なマーケティング経験を持つ著者が、直近グローバルでは主流となっているマーケティングオペレーション(MOps)と呼ばれる組織の考え方を説明しているのが本書である。
感想
本書を読んで率直に思ったことは、
「日本のマーケティングDXを推進していくには、MOpsの考え方を持つことは必須」
前回のnoteで「2030年の広告ビジネス デジタル化の次に来るビジネスモデルの大転換」という書籍を読んだが、そこでは”広告代理店がITコンサルと競合関係になる”、と言及されている。要は、マーケティング領域とIT領域の垣根がなる時代に突入するということだが、MOpsがそれを体現している組織に思える。
MOps(マーケティングオペレーション)とは、社内における組織の一つであり、マーケティングプロセスをシステムで統合・最適化する役割を持つ「マーケティングとITの架け橋となるチーム」である。
近年、デジタルマーケティングがマーケティングの主流となり、あらゆる情報をデータで取得できる時代となった。それに伴い、マーケティングチームが扱うツールも多岐にわたり、現場の担当者はその都度ツールの使い方を学び、それに応じてデータのカスタマイズなどが必要である。ただし、現場のマーケター(本書では”フィールドマーケター”と呼ばれている)は、マーケティング施策の実行に追われており、小難しいツールやシステム関連の話を理解する時間はあまり取れない。そこでMOpsと呼ばれる、マーケティングチームが取り扱うデータやシステムの管理を行うチームが登場する。
MOpsは、自社のフィールドマーケターが施策実行に必要なデータの管理や分析、導入ツールの策定やシステム管理などを担い、自社のマーケティングチームをバックで支える役割を果たしている。つまり、MOpsは、マーケティング知識だけでなくデータやシステム関連の知識も有するチームである。
さて、日本のマーケティングDXを推進しているうえでMOpsの考え方が必要となる理由を考える。主に、以下の3点と思っている。
①「ツールを売る企業」と「使う企業」のギャップを埋める
ツールを売る企業は当然そのツールのスペシャリストであり、システム関連の知識を豊富に有している。一方、使う企業は、その窓口を現場のマーケターが担当する場合、説明を聞いても詳細な内容まで正しく理解できない。売る側も使う側も「これはマーケティング x ITの領域であり、マーケティングチームのみではなくITチームとも連携して検討すべき事案である」という共通理解のもと話を進めないと、売る側の有利な体制が続き、使えもしないツールを導入してしまう企業が続出してしまう恐れがある。使う側の企業にMOpsチームが存在すればこの手の問題は生じないが、それはまれである。
日本全体で考えた場合、両者がMOps的な考えをもち、お互い納得した状態を作り出さないと、マーケティングDXの本質的な部分は解決できないのではと考える。
②導入が目的ではなく、その先の事業成長が目的であることを強く意識できる
MOpsのKPIは、自社のマーケターの業務効率改善がメインである。参考書を買っただけでは頭はよくならないのと同様に、ツールを導入しただけでは業務効率は改善しない。実際に使ってみて状況を確認する必要がある。ただし、はじめはきちんと管理されていても、時間が経つにつれてなあなあになってしまうのも、企業あるあるなのでは?と思っている。
その使い方や使用状況をトラッキングするチーム、つまりMOpsがいることで、本当に意味のあるツールであったのかを判断することができる。自社のマーケターだけに管理業務を任せるのではなく、専門チームを作り管理することで、業務効率改善状況の可視化、ひいてはその先の事業成長に対してツールがどこまで寄与しているのか、という視点でマーケティング施策を管理することに繋がる。
③マーケティング戦術設計に時間を要する組織づくりができる
本書で言及されていたが、シリコンバレーでは戦略よりも戦術設計に時間を要しているとのこと。いくら戦略が良くても、肝心かなめの中身(戦術)が良くなければ施策の効果は出ない。当然だが、改めてその通りだと思う。
しかし、マーケティングの現場では、戦略設計はPowerPoint何十枚も作成して詳細に組んでいるものの(市場、ポジショニングなど)、戦術設計はExcel一枚に数行のみ、みたいなことも多いのではと思っている(私の経験上)。デジタルマーケティングが主流の今、高速でPDCAを回すことが成功のカギであるため、実際の施策(戦術)を考えることに時間をかけるほうが時代に合っていると思う。
MOpsは戦術のPDCAを回すためのデータ基盤の構築やツールの導入を支援している。そのため、フィールドマーケターは自分自身でデータ分析をする必要がなく、MOpsがまとめたデータをもとに、戦術を緻密に設計する時間をとることができる。これが、まさにデジタルマーケティングを実行する企業において理想の形ではないかと思う。
最後に、MOpsに必要なスキルに関して、私自身がとても勉強になった内容を引用する。
以上です。
より詳しいことを知りたい方は、ぜひ本を手に取って見てください!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?