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今日も-ひとりカラオケ-
ひとりカラオケ。週2回行っていると話すと、大抵の人に驚かれる。
「寂しくないの?」とか、「誰と行くの?」とか、そういう反応が返ってくるけれど、私にとっては逆だ。ひとりだからこそ、私は自由だ。
今日は朝からモヤモヤしていた。特に何か嫌なことがあったわけではないのに、気持ちが曇っている感じがする。こんな日は、決まってひとりカラオケに行く。歌うことは、私にとって自分を整えるための儀式みたいなものだ。
カラオケルームは私の小宇宙
部屋に入ると、すぐにドアを閉めて、息を整える。薄暗い照明に包まれたこの空間は、私にとって小さな宇宙だ。外の世界と切り離されて、誰にも邪魔されない。
まず最初に、マイクを手に取る。軽い。それだけで、なんだか安心する。リモコンで曲を選びながら、「今日はどんな曲が私の気持ちに合うだろう?」と自分に問いかける。画面の文字をぼんやりと眺めているうちに、ふと選んだのは、松任谷由実の「春よ、来い」。
歌うことで知る、私の本音
曲が始まる。イントロの優しい音色が部屋に満ちる。歌い出しのフレーズを声に出した瞬間、胸が少しだけきゅっと締め付けられるような感覚があった。歌詞の一言一言が、自分に語りかけてくるようだ。
「私、こんなふうに思っていたんだ」と気づく。普段は忙しさや周囲の雑音に紛れて、気づけない感情。それが、この静かな空間では歌を通じて顔を出す。不思議なことに、歌い終わる頃には気持ちが少し軽くなっている。歌詞に込められた希望が、自分にも届いたのかもしれない。
今日もひとりで歌う理由
ひとりカラオケの何がいいかって、誰に遠慮することもなく、自分の声に集中できることだ。音程が少し外れても気にしない。むしろ、思いっきり感情を込めて歌うことが楽しい。まるで、自分の心の中に蓋をした思いをマイクを通して解き放っているような気がする。もちろんうまく歌えるに越したことはないので、採点はつける。
誰かと一緒のカラオケももちろん楽しいけれど、ひとりの時間には別の魅力がある。それは、自分と向き合う贅沢なひとときだ。
部屋を出るときの心の軽さ
ひと通り歌い終わって、部屋を出る。少し汗ばんだ額を拭いながら、心が軽くなったのを感じる。この感覚があるから、私はまたひとりカラオケに行きたくなるのだ。
今日も歌を通じて、自分の心に触れることができた。ひとりカラオケは、ただの趣味ではなく、自分を取り戻すための大切な時間だ。