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物理でライフ 第1回 自己紹介

書いているのはこんな人

※自己紹介なのであまり物理の話はでてきませんのであしからず...

野菜さらださんの「さらさら談話室」の1つとして「物理でライフ」というルームを音声SNSのClubhouse上で開いてみることになりました.肩の力を抜いて身近な現象を物理をベースに考えてみよーというゆるい雑談イベントです.
なるべく,数式は算数程度に控えて伝えられたらなーという自分にとってもチャレンジングな取り組みです.

簡単に自己紹介すると,一応,自分は物理学で博士号をとった人間で,大学で現在は医療系の学生教育に携わっています.

そもそもなんで大学の教員になったかというと,気がついたら流れ着いていたというのが正直なところで,自分でもよく分かりません.
強いて言えば,人とのつながりによる偶然の産物といったとことでしょうか.
そのあたりのお話しを書いてみようと思います.

高校時代,NHKスペシャルで放送された「アインシュタインロマン」という番組を見て,相対性理論とか,素粒子論とか高エネルギー物理学という分野に興味をもちました.理科系の科目はもともと好きだったのですが,身の回りの現象が数式で記述できる「物理学」が特に好きでした.記憶力に乏しく,メモリの少ない脳みそしかないので,化学式を覚えるのが苦手.そのため化学の成績はダメダメでした(そのツケが大学時代に回ってきます).
物理学も公式がたくさんあって苦手だ!という人も多いかと思いますが,物理の公式は,意味が分かっていれば多くが導出できるという点が自分にはあっていました.

大学は物理,数学,英語あたりで受けられる大学をいくつか受験し(物理が学べればどこでもよかった(苦笑)),最終的に広島大学へ.

人生の転機:その1


相対性理論とか素粒子論に興味があって大学に入学したのですが,学生実験で行った高温超伝導の実験が面白いと感じて,そちらも選択肢の1つに...
3年生の終わりに研究室を選ぶのですが,当時は第3希望まで記入した用紙を提出するシステムでした.
理論系よりは実験系の研究室にいこうかなという思いがあったので,「高エネルギー物理学」「ハドロン物理学」「低温物理学」を書くことは決めていたのですが,その順番で悩んでいました.用紙提出の最終日,たまたま廊下で低温研の先生に出合い,「うちに来たら?」といわれたのが後押しして「低温研」へ.
この日,廊下で声をかけられなければ「高エネルギー物理学」の研究室を第1希望に書いていたと思うので,今の職に就いていなかったことでしょう.

研究室配属後は,銅酸化物高温超伝導体の圧力効果について研究を行いました.
当時は銅酸化物高温超伝導体の1つであるLa$${_{2-x}}$$Sr$${_x}$$CuO$${_4}$$という物質の,まだ誰も作っていなかった組成領域の単結晶を作製することと,作製したサンプルに8 GPaという高い圧力を加えて電気伝導や超伝導に変化する温度がどのように変わるかということを調べていました.

8 GPaといってもピンとこないかもしれませんが,気圧でいうと約8万気圧です.世界で最も深い海溝といわれているマリアナ海溝の底の水圧が約1100気圧ですから,そのさらに7〜8倍といったところでしょうか?不活性液体の中にサンプルを浸けて四方八方から圧力を加えると,破壊されること無く8万気圧を加えることが可能です.
結果として,圧力の加え方で超伝導にとって有利な条件と不利な条件を新たに見いだすことができました.

高校の頃,化学が苦手だったくせに化合物を作る研究室に行くことになろうとは.


<参考>
興味のある方はこちらで私の学位論文がご覧になれます


人生の転機:その2


さて,大学院は出たものの,このご時世,博士号を取ってもなかなか就職口がないのが実情.研究室のボスには,海外くらいしかないかなぁと言われているところでした.

そんな中,学位論文の副査をしている先生が所属している研究所の研究員を紹介してくださったので,そちらへ行くことに.

研究所の採用面接を受けてOKをいただいた日,先輩から電話が...
〇〇大学で研究員を募集しているけどどう?とのこと.
実は,大学院の頃に取り組んでいた超高圧下の物性実験と同じようなことをやっている研究室だったので,かなり惹かれたのですが,採用も決まった直後だったこともあり,お断りしました.

これも,1日ずれていたらそちらの大学に行っていたかもしれないので,人生の分岐点でした.

人生の転機:その3

研究員として活動し始めた矢先のことなのですが,健康診断の尿検査で潜血が...
最初は尿道結石などが疑われたのですが,その様子も無く.
近くの病院では原因が分からなかったので,大学病院で精密検査を受けたところ腎炎であることが判明.入院して投薬治療になりました.
不思議なことに,そのタイミングでボスから新しいポストの話が来ました.
臨床工学技士の養成をするにあたって教員を募集しているとのこと.当時は「臨床工学技士」自体を知らなかったのですが,調べてみると,腎臓が悪くなった患者さんの人工透析治療にも携わっている医療職種らしい...なんと腎臓つながり.

基本的に脳天気な性格なので,研究分野はガラッと変わるかもしれないけれど,任期無しのポストということもあって応募してみることに.

結果として,今の職場で教育・研究に携わることになりましたが,変わった経歴ということもあって,ありがたいことに各種学会のお仕事をさせていただいたり,教科書の執筆に携わらせていただいております.

ちなみに臨床工学技士は人工透析だけで無く,人工呼吸器や人工心肺装置,新型コロナウイルスの治療にも使われたECMO(体外式膜型人工肺),心臓カテーテル治療,ペースメーカ業務,内視鏡治療,集中治療室業務,手術室業務,医療機器管理業務,医療安全に携わっている医療系国家資格です.

チャレンジ

そんな変な経歴をたどってきていますが,現在は本務以外に,看護学生さんに物理を教えるということもやらせて頂いています.
物理嫌いな人が多い中,自分にとってもある意味チャレンジですが楽しく講義させて頂いています.

この「物理とライフ」もそんなチャレンジの1つといえます.
音声によるリアルタイムの説明の中では,イメージしやすいように,若干不正確なことを口走ることもあるかもしれませんが,こちらのnoteで補足していければと思っていますので,気長にお付き合い頂ければと思います.


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※Macと配信サイトとの相性がよろしくなくて、画像が固まっていますがご容赦くださいm(_ _)m

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