【ロック名盤100】#13 The Rolling Stones - Let It Bleed
今回紹介するのは、ローリング・ストーンズが1969年12月にリリースしたアルバム「Let It Bleed」だ。前作「べガーズ・バンケット」で見出したルーツ・ロック路線を地で行く内容で、僕はストーンズのアルバムの中では本作が1番のフェイバリットだ。
グループは本作の制作途中にブライアン・ジョーンズが脱退し、その1ヶ月後死去という悲劇に見舞われた。グループは彼の後釜にジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズで活動していたギタリスト、ミック・テイラーを招聘する(彼が本作で参加した曲は2曲のみ)。さらには本作のリリースに伴い行われたツアーで、警備を担当していた悪名高きヘルス・エンジェルスの手により黒人青年が殺害されるという事件(オルタモントの悲劇)が発生。本作の歌詞に戦争、殺人、麻薬中毒などといった内容が取り上げられているのも、当時がベトナム戦争を始めとして暴力的な時代だったからとミック・ジャガーの口から語られている。全体的なカントリーやカッコいいロックのサウンドの裏では、暗き出来事が立て続けに起こっていた。
1 Gimme Shelter
2 Love in Vain
3 Country Honk
4 Live With Me
5 Let It Bleed
6 Midnight Rambler
7 You Got the Silver
8 Monkey Man
9 You Can’t Always Get What You Want
オープナーの「ギミー・シェルター」はロック史に残る大名曲で、当時のベトナム戦争に影響を受けた内容となっている。どことなく暗く焦燥感を掻き立てられるサウンドがカッコいい。2曲目は伝説のブルースマン、ロバート・ジョンソンのカヴァー。ストーンズのシングル「ホンキー・トンク・ウィメン」の別テイク「カントリー・ホンク」も注目すべきトラックだろう。表題曲「レット・イット・ブリード」もカッコいいブルース・ロックのナンバーで、ピアノとギターの掛け合いが魅力的。ブルース・ロックで言えば「ミッドナイト・ランブラー」も見過ごせない。ハーモニカも印象的。そしてアルバムは「ユー・キャント・オールウェイズ・ゲット・ホワット・ユー・ウォント」で締めくくられる。曲は壮大なコーラスで始まり、メロディアスな展開が魅力的であるといえる。
先程も書いたが、本作の曲では当時の暗い側面が切り取られた詞が歌われている。でも、それをカッコいいルーツ・ロックに仕上げるあたりはさすがストーンズ、と思わされる。このアルバムは入門編としても最適な、ストーンズの最高傑作だといえるだろう。
↓「ギミー・シェルター」