【ロック名盤100】#64 Ramones - Ramones
今回紹介するのは、ラモーンズが1976年4月にリリースした1stアルバム「ラモーンズ」(邦題は「ラモーンズの激情」)だ。クラシックなパンク・ロックとしての基本形を形作り、アメリカン・パンク最重要アーティストとして高く評価されているラモーンズのデビュー作。全員が「ラモーン」の姓を名乗っており(元ネタはポール・マッカートニー)、セクシーな響きのバンド名はそういうわけ。
ラモーンズはニューヨークのパンク・ムーヴメントを象徴する有名なクラブ「CBGB」で研鑽を積んだバンド。アンダーグラウンド独自のサウンドを持ったバンドが多く生まれたわけだが、ラモーンズが生み出したのは後にイギリスで旋風を生み出したようなシンプルなパンク・ロックだった。本作のサウンドも悪く言えば単調だが、楽器を掻き鳴らしストレートな感情をぶつけるだけでティーンエイジャーの共感を呼ぶには十分だったというわけだ。
1 Blitzkrieg Bop
2 Beat on the Brat
3 Judy Is a Punk
4 I Wanna Be Your Boyfriend
5 Chain Saw
6 Now I Wanna Sniff Some Glue
7 I Don’t Wanna Go Down to the Basement
8 Loudmouth
9 Havana Affair
10 Listen to My Heart
11 53rd & 3rd
12 Let’s Dance
13 I Don’t Wanna Walk Around With You
14 Today Your Love, Tomorrow the World
怒られるかもしれないが、わりと一本調子だ。粗削りなロックンロールがほとんどといっていい。だが歌詞を見ると、明るい曲調と相反して暴力的なトピックも扱っていることがわかる。バンドの代表曲「ブリッツクリーグ・バップ」も第二次世界大戦のドイツの戦略から着想を得たというし。クラブに押し寄せる若者と一斉に攻撃する軍隊のダブルミーニングというのは、パンクらしいマインドを感じる詞だ。繰り返される"Hey, ho, let’s go!"のフレーズが印象的。
僕がこのアルバムの中で最も好きなのは「ビート・オン・ザ・ブラット」かな。シンプルではあるがとにかく立っているベースラインがツボ。ちなみにこれは「ガキをバットで殴れ、オーイェー」とひたすら歌われる。なんなんだ?
70年代に至るまで多彩にわたるジャンルに派生してきたロック。そこから純粋なエネルギーだけを取り出した燃え上がる嵐のようなアルバムがこれだ。パンクの雛形を作ったアーティストとして語り継がれてきたラモーンズだが、商業的成功はさほど収められなかった。このサウンドがセックス・ピストルズやクラッシュ、ダムドらによってイギリスで旋風を巻き起こすのはもう少し後の話。
↓「ブリッツクリーグ・バップ」