「迎え主」になろう。〜Amazon、環境省等と取り組む「保護犬・保護猫 Welcome Family Campaign」で「里親」に変わる新愛称として「迎え主(むかえぬし)」を選出〜
Amazonと環境省が旗を振って、保護犬保護猫を家族に迎え入れた人を指す、「里親」に代わる新愛称を発表しました。迎え主。
これは単なる名称の変更に過ぎませんが、ここから生まれる流れは、日本の保護動物業界の在り方をアップデートすると感じています。私もこの名称の策定に関わることができたので、その経緯や込められた想いについて要所を押さえて説明していきます。
そもそも、なんで「里親」じゃダメだったのか?
「里親」を辞書で引いてみると、「他人の子供を里子として預かり、養育する親。しとね親。育て親。」とある。これが転じて「動物を元の飼い主から引き受けて暮らすようになった人」を指すようになりました。
「育ての親(foster)」という原義を持つ言葉が、「動物と最期まで暮らす人(owner)」という意味を持つのは、どうにもおかしい気がしています。
とはいえ長い間使われてきた言葉ですから、急に変えるのも混乱を招きます。そこで、あくまで「新愛称」として公募し、一般応募の案から「迎え主」が採択されました。
審査のポイント
特設サイトにも記載があるように、「ハートナー」「はぐ親」などのキャッチーな名称もたくさん候補にあがっていました。しかし「一過性で終わらない」「誰もが違和感なく使用できる」ことが審査のポイントとなっていたので、普遍性のある「迎え主」が選ばれることとなりました。
また、保護団体によってはすでに「エンジェル」「ずっとの家族」などのように、迎え主(もとい里親)に向けた愛称が存在していました。なのでキャッチーな名称にしてしまうと、表現が重複してしまうので避ける意図もありました。迎え主(もとい里親)は、そうした団体ごとの愛称とはレイヤーの異なる表現であるからです。
未来への期待
迎え主が受け入れられると、次に疑問になるのは「なにをもって迎え主とするか?」です。私たちは「保護犬保護猫を家族に迎え入れた人」としているので、それは「保護犬保護猫とはなにか?」という疑問と同義ということになります。
ここが本題。実は保護犬保護猫の定義って、曖昧なんですよ。そこを抜け道に、いろんな人が保護犬保護猫の業界に入り込んできています。もちろん善意と誠意をもって活動されてる方がほとんどですが、そうでない方がいるのもまた然り。
しかしいまは、その善悪の判断ができないのが実情です。それは、保護犬保護猫の定義が曖昧だから。善意をもって解釈すれば、「なにかの事情で保護され新しい家族を探す犬猫」となりますが、いまはまだペット流通で余剰となった犬猫も含まれて解釈されてしまっています(そう呼ばない整体販売業者もある)。そこに解釈の穴が生まれ、「保護犬保護猫」とされる犬猫が、理解が浅い生活者に「売られる」現状があるわけです。
やや遠回りに見えるこの動きですが、そうした業界の根本的な課題解決へ向け、第一歩を踏み出すことができました。
ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。
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