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怒られるかもしれないけど、保護猫業界が目指すべき未来を考えてみる。

まず、僕は猫が好きです。この写真は3歳の頃の僕ですが、生まれた時から常に家には猫がいたし、しつこくしては猫に怒られていたのをよく覚えています。

そんな僕にとって猫という存在は、家族の一員、いや、自分の一部分というほうが適切かもしれないですね。それくらい、そばに居て当たり前、幸せを願って当たり前の存在です。そして保護猫業界に身を置く方々は、きっとこの感覚がよくわかると思います。

ではそんな人たちが活躍する保護猫業界は、なにを願い、なにを目指せばいいのでしょうか?


猫の幸せ。

幸せのカタチはいろいろあるでしょうが、ここはブレることのない共通認識だと僕は思っています。では、日本の猫はいま幸せか?たぶん、いいえ。なぜか?

だって、人間によって大量に生み出され、大量に売買され、大量に廃棄されているから。

問題なのは、①この工程がすべて人間都合であること。②結果的に大量の廃棄を生んでいること。どう捉えても歪なこの構造を変えようと、殺処分ゼロを共通目標とし、業界全体がそこを目指して進んでいます。

その過程では、猫を不幸な状況(多島飼育崩壊やネグレクト、虐待、過酷な自然環境など)からレスキューし、不妊去勢手術を施し、野に帰すか新しい家族のもとへ縁を繋いでいます。殺されてしまう命を減らすために、そのような命が増えすぎないようにします。

ここで最初の目的に立ち返ってみましょう。

猫は、これで幸せか?

恐怖を伴い捕獲され、生殖本能を奪われて、猫は幸せか?僕らが当初望んだ猫の幸せを実現できているのか?そんな疑問がたまに頭をよぎることがあります。

もちろん殺処分を減らすという指標に対しては有効です。だから現時点では必要な手段だと僕も思う。猫の幸せを実現するには、まずは殺処分という大きな問題を解消する必要があるはずだから。でも、その手段が目的化し、本質的な目的である猫の幸せを見失うと、逆に僕らが、猫の福祉を侵害する可能性を孕んでいることも、自覚する必要があります。

ここで例え話。コロナ陽性者は、一定期間隔離されますよね。陰性者を隔離するのは人権侵害にあたるかもしれませんが、陽性者に対してはそうではない。これは、「感染者を増やさない」ことを指標とした場合の必要悪だといえます。誰も、人を閉じ込めることを正しいとは思ってない。でも、その手段を取らなければもっと大きい不幸が訪れてしまう場合、それは必要ということになる。

同じ理論で、「殺処分数を減らすための不妊去勢手術」は容認されるべきだけど、あくまで「猫を幸せにするためには殺処分数を減らすべきで、そのためには不妊去勢手術が必要」というだけ。これが「猫を幸せにするために不妊去勢手術をする」「不幸になる命を減らすために生まれてくる命を減らす」という思考ロジックになってしまうと、なかなかディストピアですよね。「戦争をなくすために人類を滅ぼす」と同じ思想なので。

では、どうやったら「猫の幸せ」を実現できるのでしょうか?僕たち保護猫業界はなにをしていけばいいのでしょうか?

鼻の調子が良くなってきた白

答えは意外とシンプルで、不妊去勢手術をしなくても猫と人間が共生できる社会です。綺麗事だと言われそうですが、目指すべき未来なんて、最初はそんなものでしょう?

矛盾するようですが、そのためにいま必要なのは猫のTNR/TNTA(不妊去勢手術を伴う保護猫活動)です。いまはまだ、増えすぎる猫に社会システムが追いつかず、殺すことでしか対応できないから。

でもそれだけじゃ足りない。殺さなくても減らさなくても一緒に生きている社会づくりを同時に進めていかないといけません。

そのために何をすればいいのか?その答えはまだ僕のなかにありませんし、ひとりで見つけられるとも思っていません。だから、助けてもらう。みんなで考える。そのためのneco-noteです。

保護猫業界がどうあるべきか?何が正しくて、何を変えたいのか。猫にどうあって欲しいのか?そんな哲学的な問いをジブンゴトとして考えてくれる仲間を増やすために、保護猫団体の"自続性"をあげていく必要があると思うんです。

ここで自覚を持たないといけないのは、neco-noteが誰にとっても正解であるわけではないということ。

これまで書いてきた通り、保護猫業界のあり方や取るべき行動はこれからもっと多様化していくべきです。だから、必要となる手段も異なってくる。neco-noteを使って大きくなって保護数や譲渡数をぐんぐん伸ばしていく団体。ボランティアだからこそできるアプローチで地域に根を張り活動する団体。法律の面からアプローチする団体。いろいろあるべき。

いまは「保護猫団体(動物愛護団体)」で大きく括られがちなので、それぞれ異なる思想を持った人たちが十把一絡げに評価され議論の対象になってしまう。もっと各々のポジションやミッションを明確にすれば、それぞれが抱える課題や取るべき解決策も明確になっていくと思うんです。(団体間のわだかまりも少しへ減るはず)

そのために、保護猫業界の底上げを行い、それぞれが自分の立場を明確に主張できるような強さを培ってもらう。そんな経済循環を生み出すためのneco-noteです。

保護猫団体の"自続可能性"を高め、多様化を促す。喧々諤々、保護猫業界が育っていく。結果、猫が助かっていく。

そんな未来へ向けて一石を投じる役目になりたいし、遠くへ行くための笹舟になっていきたいです。

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